大学礼拝「金属弦ハープデュオ~ケルト、スペイン、クリスマスの音楽」  | アイリッシュ・ハープ研究家、奏者、制作者、音楽教育者 寺本圭佑

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大学礼拝「金属弦ハープデュオ~ケルト、スペイン、クリスマスの音楽」 

日時:2013年12月17日(火)12:35-13:00

会場:明治学院記念館(小チャペル)

所在地:東京都港区白金台1-2-37

出演:寺本圭佑、関野麻里子(真鍮弦ハープ)

主催:明治学院大学宗教部

入場無料、予約不要、どなたでもご参加いただけます。


演奏予定曲目

1.「シオガン Suo Gan」
ウェールズの子守唄。1800年頃には知られていたといわれ、クリスマスに歌われることもある。

2.「ロード・ダンディーのラメント~舟人~恋人を亡くしたアイルランド娘のラメント Lord Dundee’s lamentation, Fear A’Bhata, Irish girl’s lamentation for the loss of her lover」
スコットランド音楽のセット。1曲目は、17世紀末にスコットランドと英国との間で行われたキリクランキーの戦いで落命したダンディー公を悼んで作られた曲。2曲目は舟人への恋を歌った女性による19世紀の曲。最後の曲は映画『ピアノ・レッスン』に使われた曲の原曲で、元々は19世紀のフィドル音楽だった。

3.「おお輝く聖処女よ O Virgo splendens」
モンセラート修道院の黒いマリア像にまつわる14世紀スペインの聖歌。カノンで歌われる。

4.「プランクスティ・アーウィン~ファニー・パワー~レディ・ジェシン Planxty Irwin, Fanny Power, Lady Gethin」
18世紀アイルランドの盲目のハープ奏者カロラン (1670-1738) の作品。カロランはアイルランドで最も有名なハープ奏者とみなされており、かつてはアイリッシュ・ポンドの紙幣に肖像が用いられていた。

5.「ノス・ガラン~グリーン・スリーヴス~おめでとうクリスマス Nos Galan, Greensleeves, We wish you a merry Christmas」
「ノス・ガラン」はウェールズの民謡で、ハープでも演奏されていた。Deck the hall というタイトルでも知られる。グリーン・スリーヴスは16世紀英国の民謡で「御使いうたいて What Child is this?」というクリスマスキャロルとしても知られる。今回は18世紀スコットランドで知られていたヴァージョン。「おめでとうクリスマス」は16世紀英国の曲。

寺本圭佑
アイリッシュ・ハープ奏者、研究家、教師。専門は18世紀以前のアイルランドにおけるハープ音楽。演奏会やレクチャーコンサート、ワークショップを通して、世界的にも演奏者が少ない幻の楽器、真鍮弦アイリッシュ・ハープの普及に献身。都内や横浜、京都を中心に精力的に活動を続けている。博士論文『18世紀アイルランドのハープ音楽』で芸術学博士(明治学院大学大学院)。明治学院大学文学部芸術学科非常勤講師(音楽学)。


ゲストハープ奏者:関野麻里子
音楽教室で10年指導後、 CMS子どもと大人のための音楽室を設立。心身医学、児童学を研究。大学での音楽理論非常勤助手、幼稚園補助教諭の経験を活かし、子育て相談を含めた創造的なピアノ教育を行っている。2012年から寺本圭佑に小型金属弦ハープ、キルコイを学び始める。



「使用楽器 キルコイについて」

今回は19弦の小型金属弦ハープ「キルコイ Kilcoy」を使用しています。キルコイという名前はスコットランド北部ストラスペファーにあるお城に由来します。キルコイ城の暖炉にふたりの人魚が小さなハープを演奏している彫刻(17世紀)があり、そこから着想を得てハープ工房アーディヴァル Ardivalが製作しました。

一本の木をくりぬいて作る伝統的な工法にこだわっており、弦は古いアイリッシュ・ハープと同様に真鍮弦が張られています。ここから、かつてフランシス・ベーコンが称賛した長く甘美な音色が生まれます。モダンな楽器と比べて倍音が多く、特に複数のハープでユニゾンを演奏したときに非常に美しい響きが得られます。小型ながら最低音はヴァイオリンのGと同じで、ほとんどのアイルランド、スコットランドの音楽を演奏することができます。

本日は二台のキルコイのデュオでアイルランド、スコットランド、ウェールズの音楽やスペインの聖歌、クリスマスの音楽などをお送りします。