現在の日本の最大の問題は、現状維持派や既得権益者の声が強過ぎで改革が進まないことだ。


社会保障と税の一体改革などの改革は多く提案されているが、いずれも反対意見が強く、中途半端になっている。 直近では、TPPの問題も、様々な既得権益者から反対の声があがる。 年金改革も、一気に改革できないので、小出しに改革を行っているため、逃げ水のように支給年齢が引き上げられるといったおかしなことになっている。 今は景気が悪いから、もっと景気が良くなってから、と増税を先延ばしにする。 


こういった漸進的な改革をしていたのでは、日本は世界から大きく立ち遅れるし、財政破綻は避けられない。 今日、慶応大学経済学部の小幡績准教授がtwitterでつぶやいていたが、いっそのこと、計画的に財政を破綻させて、一気に改革を進めた方がよいのかもしれない。 実際、このまま漸進的な改革をしても、10年以内に財政破綻が起こるだろう。 


全ての問題は、右肩上がりの経済成長を前提とした社会システムをずっと引きずっていることにあるが、日本的な妥協の政治のお蔭でここまで来てしまった。 今のシステムを維持するには右肩上がりの経済を復活させなくてはならないが、それは不可能だ。 客観的に見て、日本は少子高齢化が進み、科学、技術の競争力も非常に低下している。 日銀や政府に文句を言う人たちがいるが、全くのお門違いだ。 バブル崩壊後、20年間も誤った政策をしていたために低成長に甘んじた、というおとぎ話を信じるのは滑稽だ。 今の1%程度の実質成長率が日本の本来の実力であることは疑いようがない。 それなのに過去の豊かな時代の復活を夢見て、政府に景気を何とかしろ、日銀に何とかしろ、と叫んでも、思考停止に等しい。 財政出動をすれば、金融緩和をすれば、という一部の人たちは、真の問題点を全く見誤っている。


最早タイムリミットだ。  早急に、右肩上がりを前提としたシステムを捨て去らなくてはならない。 年収200万円前後の人たちが増え、日本は貧しくなるだろう。 一部の人たちの目には敗北に映るかもしれないが、一旦、貧しくならなくては日本の復活はありえない。 


いい加減に気付くべきだ、高い成長の時代には戻れないということを。 今、我々がやるべきことは、過去の高成長を追い求めることではなく、低成長でも、豊かな心で暮らせるような社会を作ることだ。 浸水して傾きかけた船の上で、富の奪い合いをするような愚かなことはするべきではない。 


日本は、欧米に比べ、今回の金融バブルの傷は浅い。 まだアドバンテージのある技術や資本力で、新興国との連携を進めることで、再び豊かな日本が築けるだろう。 


だが、一旦は、過去のシステムをリセットしないことには、始らない