OECDの調査によると日本人の海外留学の割合が34の加盟国中33番目とその内向き志向は明らか。こちらの駐在員家庭の子女も海外で教育を受けていながらも大部分が帰国枠を使って日本の大学へ進学
されていきました。学費や卒業後の就職を考えると日本のトップ大学へ進む方がリスクが少ないという考えは分かるものの、世界中から優秀な学生が集まる海外の大学で鍛えられる最高の機会を逃してしまうのはもったいないと感じます。
駐在員家庭の場合、奥様や子供は自分から好き好んで海外に出たわけではないので、いつ帰国しても適応できるよう常に日本側へ顔を向けています。この海外畑なのにいつまでも日本志向な彼らとは対照的に、日本にいる生粋の日本人の間で「東大よりも海外のトップ大学」を目指す流れが急速に本格化してきているようなのです。
「開成にできないことを!」渋谷教育学園の挑戦
http://toyokeizai.net/articles/-/14647
上の「東洋経済」の渋谷学園の記事にはびっくりしました。実績の半数以上は帰国子女とはいえ今年は渋幕・渋渋の両校で45人が海外の大学に現役合格しているのです。ここの校長のリーダーシップと先見性には目を見張るものがあり、世界情勢を英語で議論する高度な授業など、創立20年そこそこの新興校が開成・灘にできない教育内容と実績を持つに至ったことが、少子化で経営難の他の私立校へ刺激になりそれが現象化していると言ってよさそうです。
渋谷以外では、 筑波大学附属駒場はスタンフォード、コロンビア大など延べ6人合格者
が出ており、昨年から海外進学希望者に論文指導を行うようになった開成でも今年イェールなど4人米国大に合格
しています。
武蔵学園は外国の大学への進学を目指す中高生に英語で科学を教えたり英語で討論をする課外コース
を始め話題になりましたし、 さらに2017年開校を目指し河合塾が海外名門大学を目指す中高一貫校を設立
するという驚きのニュースも。「東大はワン・オブ・ゼム」 のキャッチフレーズには突っ込みを入れたい気分ですが、ベネッセの「ルートH」の向こうを張る気でいるのでしょう。予備校の宣伝にもなりそう。
これまで日本から海外の大学へ進学する道は「インターナショナル・スクール」しかありませんでした。学費はバカ高く、そこでの日本人生徒は日本人色を押し殺さねばならず、英語力・学力もさまざまの子供に対応するスクール内で英語力で劣る日本人は頭角を現しにくかったのではないでしょうか。
その点、首都圏の有名進学校レベルの学校が、日本人として今後必要とされる国際競争力のある人材に必要な教育を行い実績が出てきているというのは喜ばしいことです。海外に出ると必要なのは高度な英語力だけではなく、日本人としての高い意識と愛国心です。骨抜きのゆとり教育世代が社会に出るようになって日本の将来を危ぶんでいましたが、この動きを知って微かに明るさが見えてきました。