今日は、公立の中高一貫校(適性検査)でよく出題される「月に関する問題」についてです。
月に関する問題は,適性検査では非常によく出題されていますが,
小学生にとっては非常に苦手とする分野です。
これは,教える側の先生でもよくわかってない人が多く,
わかりやすく教わっていないことが1つの要因です。
しかし,
月に関する問題は,解法のテクニックやコツさえつかんでしまえば,簡単に点数が取れる分野なのです。
まずは,最低限おさえてほしい用語・ポイントをまとめてみました。
■月の満ち欠け
・月は太陽のように自分で光を出しているのではなく,太陽の光を反射して光って見える。
・月が地球の周りを公転しているために,太陽・地球・月の位置関係が変わるので,地球から月を見ると月が光っている部分の見え方が変わり,月の形が変化する。これを月の満ち欠けという。
・月の形は,
新月 → 三日月 → 上げんの月 → 満月 → 下げんの月 → 新月
と変化し,新月から次の新月になるまでに約29.5日(約30日と覚えてよい)かかる。
■月れい
・新月の日を0として,そこから経過した日数を数値で表したもの。
・月れいは,新月は0,三日月は約2,上げんの月は約7,満月は約15前後,下げんの月は約22となる。
■月の動きの平面的イメージ
ポイント①……月は傾きを変えながら,東の空からのぼり,南の空を通って,西の空に沈む。
(平面図で考えたとき,図1のようになる。)
ポイント②…… 平面図で考えたとき,月のとがった部分を結ぶ線が南にくる。(図2,3参照)
■月の見える時間と位置と形 ← 最大のポイント!
時刻がわかれば,太陽のおおよその位置がわかる。
例えば,午前6時ごろは東,正午は南,午後6時ごろは西にある。
しかし,同じ時刻でも,月は毎日同じ場所にあるわけではない。南の空に見えたり,西の空に見えたり,その時刻に見えないこともある。また,形も変わる。
では,月のある時刻での位置や形はどうやって知ることができるのか?
まずは,3つのポイントをおさえ,解法を理解しましょう!
☆ポイント①…… 月は太陽側で輝く。
☆ポイント②…… 月と太陽は角度をほぼ一定(月の形によって角度は異なる)にたもちながら, 同じように回っていく。(実際は,月は1時間に約14.5°,太陽は1時間に15°ずつ移動するので,わずかに月の方が遅い)
☆ポイント③…… 月の形は月と太陽との角度によって決まる。この角度は月と太陽の位置からも求めることができる。
※例えば,月が東に,太陽が南にあったら,角度は約90°。
下記,例題を通して解説します。
■日食
・月が公転によって,太陽と地球の間に入り,3つの天体が一直線に並んだとき,月にじゃまされて太陽が見えなくなる現象を日食という。
太陽-月-地球という位置関係のとき日食が起こるので,日食は新月のときに起こる。
しかし,新月のたびに必ず日食が起こるわけではない。
・月の公転によって,月は太陽の前を西(右側)から東(左側)に移動するので,日食では太陽の西(右側)から欠けていき,太陽の西(右側)から現れる。
・太陽が月に完全に隠されたときの日食をかいき日食,
太陽の一部がかけたように隠された日食を部分日食,太陽のふちがはみ出した日食を金環日食という。
■かいき日食と金環日食が起こる理由
太陽の直径は月の直径のおよそ400倍で,地球から太陽までのきょりも地球から月までのきょりのおよそ400倍なので,地球から見た太陽と月の大きさはほぼ同じである。(図1参照)
しかし,月の公転する軌道はだ円形をしているので,地球から月までのきょりが変化し,月の見かけの大きさも変化する。
地球と月のきょりが近いとき(図2参照)は,見かけの大きさが太陽よりも月の方が大きいので,太陽が完全に隠れるかいき日食になる。
地球と月のきょりが遠いとき(図3参照)は,見かけの大きさが月よりも太陽の方が大きいので,太陽のふちが月からはみ出す金環日食になる。
☆Point !
かいき日食が起こる理由 …… 地球と月のきょりが近く,太陽が完全に隠れるため。
金環日食が起こる理由 …… 地球と月のきょりが遠く,太陽の一部しか隠れないため。
■月食
・月の公転によって,地球が太陽と月の間に入り,3つの天体が一直線に並んだとき,地球のかげで月が見えなくなる。これを月食という。
太陽-地球-月という位置関係のとき月食が起こるので,月食は満月のときに起こる。
しかし,満月のたびに必ず月食が起こるわけではない。
・月の公転によって,月は地球のかげに東(左側)から入っていくので,月食では月の東(左側)から欠けていき,月の東(左側)から現れる。
■なぜ,月食は毎月起きないのか?
平面で書かれた図1は,一見,月と地球と太陽が一直線に並び(月食が起こる位置関係),月は地球のかげに入っているように見える。しかし,実際には紫枠で囲われた図2のように,月の公転面は地球の公転面に対して5°傾いているので,地球のかげは月の下側にできる。
月食が起こるのは,例えば,青枠で囲われた状態のときとなる。
※日食も同じような理由で毎月起きない。
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特に適性検査で出題されているのが
・月の満ち欠け(月の写真があり,満ち欠けの順番に並べなさいという問題がよく出る。)
・月の見える時間と位置と形←これが超頻出!
・日食に関する問題
・月食に関する問題
です!
ここで,月の満ち欠けに関する過去問題の例を紹介します。
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■問題(2015年 奈良県立青翔中学校)
よしおさんは,9月4日の下校前,南西の空に太陽,南東の空に写真1のような月を見ました。月の形の見え方に興味をもったよしおさんは,月について調べました。各問いに答えなさい。
(1) よしおさんは,月の形の見え方を観察し,9月9日,16日,20日,28日に,次のような写真をとりました。ところが,それぞれの写真をとった日が分からなくなってしまいました。
写真2~5をとった日はいつですか。それぞれ書きなさい。
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■解答・解説
月は右側から満ち,右側から欠けていき,約1週間で半分満ち欠けします。
このことより,
写真1から始まるとして順番に並べると
写真1(9/4)→写真3(9/9)→写真5(9/16)→写真2(9/20)→写真4(9/28)
となります。
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いかがでしょうか?
その他の問題
(奈良県立青翔中学校、岡山市立岡山後楽館中学校、千葉市立稲毛高等学校附属中学校、宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校、岩手県立一関第一高等学校附属中学校、さいたま市立
浦和中学校、福山市立福山中学校、福井県立高志中学校、沖縄県立与勝緑が丘中学校、仙台市立仙台育陵中等教育学校、京都府立園部高等学校附属中学校)
の詳しい解説とまとめ集は、「自宅でできる受験対策ショップワカルー!」にて販売しております。
★こちらでは,超頻出の「月の見える時間と位置と形」など
どの参考書よりも詳しく解説しています。
2013年から2019年までに出題された問題はココに公開しています。
是非挑戦してみてください!