「江」を読み終えて。 | 講談師 一龍斎貞寿オフィシャルブログ 「じゅじゅブログ」

「江」を読み終えて。

女流講談師 一龍斎貞寿オフィシャルブログ 「じゅじゅブログ」-2012012409560000.jpg

改めまして。

昨日は「江&茶々」ファイナルにお運びいただきまして、
誠にありがとうございました!!

お足元の悪い中、
また、もの凄く寒い中、
月曜の夜にも関わらずご来場くださいました皆様に、
厚く御礼申し上げます!!
m(__)m


改めて、振り返ってみますと、
長い間よくやったなぁ…と感慨深いですニコニコ

この間、ホントに色々なことがありました。

途中、震災があったり、
日程変更したり、
なんで一年やるなんて決めちゃったんだろうと後悔したこともありました。ガーンあせる

でも、実際やってみて、
確かに物凄く大変でしたけど、
確実に力になったな…という実感があります。

昨日の話なんか、二席分丸々ネタおろしで、
しかも、暗記時間も2日ないくらい。
それでもなんとか高座にかけられるようになった…というのは、
私にとっては凄いことですよキラキラ

この会をやっていたからこその、力です。


今回の「江」

時代は大好きな江戸初期だったので、基本知識はありましたが、
江…という人はこれまでほとんど講談には出てこないので、
今回、これを機に初めて取り組んだ人物でした。


私が「江」の全話を通じて描きたかったのは、
「母子の情愛」です。


母親、市と幼い頃に死に別れた、江。
自分たちをおいて自害した母を恨んでいた江だったが、
秀忠との再婚の際、秀勝との間に産まれた完子を豊臣においてこなければならなくなった。

自分も子供を守るために子供を置き去りにする、という経験を得て、
恨みに思っていた母、市の気持ちが、この時にやっと江にもわかるようになる。

秀忠のもとに嫁いでからも、なかなか嫡男に恵まれず悩み続ける。

待ち望んだ嫡男の誕生に心踊らせるも、長男竹千代は乳母、福に奪われてしまう。
自然、次男の国松をことのほか可愛がるようになる。


そして、宇都宮釣天井へと続く訳です。



「江」の最後は、この宇都宮釣天井にしようと初めから決めていました。


天下の将軍家お家騒動を舞台に、
お互いを愛するあまりに拗れてしまった母子、江と家光を和解させたかった。


「子を思わぬ母はいない」


私自身に子供はいませんが、
自他共に認める母親っ子である私にとって、
母親、という存在ほど尊いものはありません。


母親が子を思う情愛は、
400年の昔も、平成のいまも、
きっと変わらないだろうと。
同じ気持ちを共有できるだろうと。

そんなことを考えながら作っていきました。


途中エピソードに困り、無理やり作った話などもありました。


全部がいい出来だったわけでは決してありません。


でも、最後に、

やっとのことで授かった可愛い竹千代を、
江の胸に抱かせてあげることができた。

決して平坦ではなかったその生涯の幕を、
幸せに下ろしてあげることができた。


とりあえず、ホッとしました。ニコニコ


長い間お付き合いくださいましたお客様に、
心より御礼申し上げます。


ありがとうございました!!

…なんか真面目になっちゃったあせる

長谷部か!?