今も「はたけ」のようになって腕や足に残る、猫ノミに刺された跡。
私は体質のせいか、蚊に刺されても赤くなってかなり腫れる。
しかし、蚊の場合はキンカンを塗ってしばらくすれば腫れも治まる。
ノミの場合はそうはいかなかった。

当時、私はまわりの影響もあって環境問題等に敏感だった。
青森の
六ヶ所村再処理工場に反対した「いのちのまつり」に、付き合いで行ってしまう程度の敏感さだった。
当時から原発に反対する人は一定数居たのだ。
当時の心配が現実となった今、皆どうしているのかな。
発狂していないかしら。

当時はフロントラインも出始めで、私は猫の血液に入り込んでノミを駆除する薬なんて絶対危ない!と思っていた。
うちの猫達には使わない!と。
時代小説作家、小松重男の「猫の蚤とり日記」を読んで感銘を受けたこともあり、せっけん水を用意した。
のみとりグシで猫の身体を丁寧にすき、引っ掛かったノミをせっけん水の中へ。
加えてバルサンを利用したり、ダニアースを利用したり。
しかし、こんな方法で猫ノミがいなくなるなら誰も苦労しない。
猫達を外に自由に出していたことも、ノミの繁殖に拍車をかけた。
野良猫もうちに時々出入りしていた。

ノミはどんどん増え、畳からジャンプする姿が目視できるようになる頃には、私の手足は悲惨なことになっていた。
「もう二度と半袖は着られない、スカートは履けない」状態になっていた。
長期間痒いのでかきむしる。
かき壊した後から体液が出てかさぶたになる。
かさぶたが出来てもまだ猛烈に痒かった(そして、私はかさぶたはどうしてもはがしたい性質)。
その悲惨さは、例えるとカポジ肉腫のようだった。
まわりの人には引きぎみに心配され(たぶんエイズだと思われたのだろう)、実家に帰ると父母から「いい歳して結婚もせず猫なんか飼うからだ(意味不明)」と強く非難された。
猫達のお尻からノミが媒介する条虫が出てきた時、私は考えを変えた。

遂に私はフロントラインに手を出した。
購入するため獣医に行き、私の手足と同じ状態になっている小学生の女の子を見た。
「同志よ」と思った。
フロントラインの効き目は凄いものがあった。
1~2週間も過ぎた頃には、もう追加でノミに刺されることはなくなった。
私の手足のノミの跡は、2年ぐらいかけて徐々に綺麗になって行った。
今ではノースリーブも着られるし、半ズボンだって履ける(履かないけど)。

ジローは完全イエネコだ。
昨年の夏は問題がなく、晩秋の去勢手術の前に獣医が1回フロントラインをした。
今のところノミは出ていない。