茶器としての銀のティーポットの評価について、前回までで銀器がお茶を「お茶本来の香り味を活かすための茶器」としては適していない、とご紹介をしました。
適していないものがなぜ長らく使われ続けているのか・・・今回はこの辺りについて補足として考えて行きたいと思います。

ただしこれは皓斗の個人的な印象論になりますので、まぁ与太話程度にお読みくださればと。

この補足は歴史的な経緯という点についてと、もう一つに美味しいお茶とは?という二つの観点から見て行きたいと思います。

今日は歴史的な経緯についてから。

皆さまも紅茶の歴史について扱った書籍で、英国のアン女王が大人数のお茶会用で使えるクィーンアン・シェイプの銀のティーポットを作らせた・・・というテキストを読まれたことが多いものと思います。

簡単に纏めると、アン女王の時代(1665年-1714年)はようやくマイセンで磁器焼成が始まったばかりのころ・・・この当時、英国では技術的に磁器を作ることは出来ませんでした。
ティーポットを作ると言っても磁器製が無理、ならば別の素材で・・・ということで代用として手頃な素材を探した結果、銀でティーポットを作りました、というもの。

銀は工芸品の金属素材として見た場合、比較的扱いやすい金属の一つです。
英国銀器は925銀で作られることが大半ですが、950銀だと柔らかすぎると言われる事もあるくらい。
硫化こそするものの、腐食にも強いですしね。

また当時では銀はイコールお金、まさに銀のティーポットは富の象徴でもありました。
それは単に贅沢であるだけでなく、上流階級が周囲の人間に対して器量の大きさや(経済的な)頼りがいなどを示す上である一定の効果が見込めたことでしょう。
なんだかんだ言っても、ぴかぴかの銀は綺麗ですし人目を惹きますからね。
他にも上流階級ならではなあたりで、毒殺を防ぐためにといった理由なども言われるところですね。

経緯はともあれ、いったん作ってしまえば、そしてお道具としてそれなりにでも使えることができれば・・・無理になくす必要もありませんから、使い続けることでしょう。

中には1700年代の一時期だけ作られたモートスプーンのように、時代や習慣の変化と共に廃れてしまったお道具もありますが、ティーポットというお道具そのものは、多少の形状の変化はあってもお茶を楽しむ限りまず廃れるようなものではないでしょう。

ヨーロッパの大陸各国で硬質磁器が、英国でボーンチャイナが作られるようになっても、輝く銀の素敵さを思うと、銀のティーポットが廃れないのもわかるという
ものです。


今日のティータイムはダージリンのセカンドフラッシュを・・・。
ティーカップだけでも素敵なのですが、銀のティースプーンをそえることでいっそう素敵に見えますね・・・。

こうしたことからも感じるのは、効率だけではお茶の時間は語れないな・・・ということです。
歴史をはじめとしたさまざまな要素も絡み合って成り立っている・・・。
次回は補足の続きとして、美味しいお茶をどう定義していくのかという点についてを考えてみたいと思います♪


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