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久しぶりにセネカ(ルキウス・アンナエウス・セネカ)を読んでいます。およそ2000年前、セネカはスペインのコルドバに生まれ、エジプト、ローマでの公職の道を歩いた人である。


本書は、『生の短さについて』『心の平静について』『幸福な生について』の三篇が収められている。セネカでもう一つあげると『怒りについて』がある。はじめて読破したのは、20年以上前である。当時のわたしは、古典を読むというマイブームの時期だったことを覚えている。


セネカの言葉に驚くのは、2000年前の哲学者だからではない。この当時、現代のわれわれと同じようにあくせく働き、酒に浸り、野心で疲労困憊し、感謝もされない目上の者への伺候で身をすり減らす、といった人間観察をしていることにある。ですから、セネカの言葉は「私の話は、不完全な人間、平均的な人間、健全さに問題のある人間の話であって、賢者に向けた話ではない」(『心の平静さについて』11.1)として、一般読者に向けたものであることを宣言している。


セネカは「われわれにはわずかな時間しかないのではなく、多くの時間を浪費するのである。人間の生は、全体を立派に活用すれば、十分に長く、偉大なことを完遂できるよう潤沢に与えられている」と説く。


日本では、セネカという偉人が多くの人に知られていないのが残念な気もします。本書はセネカの言葉にある真実の生として、時間を超越して生き続けている。



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