「ならこうしないか?最上君の養子縁組をしよう・・・・最上君の事は実の子以上に可愛く思っているんだから。」
そんな事を言われたことなどない・・・。
今まで愛されなかった親の存在。
そして顧みられなくなった尚と蓮の気持ち
その気持ちが私より外へ向いてしまったから社さんへの安心感と愛を求めてしまった。
でもまた同じ目に逢ってしまう不安が否定的な気持ちにさせる。
だけど・・・・ひたすら嬉しかった・・・・親からの愛など知らないから親のように愛されていると実感するほどの衝撃
その衝撃に怒濤の様に涙が伝っていく
「本当にありがとうございます。気持ちだけもらっていってもいいですか?社長を親のように心で思いながらここからまた自分の出発地点を探したいんです。」
「最上君・・・・・君を娘のように思ってるんだ・・・・どうかここからいなくならないでくれないか?」
「必ず社長と琴南さんには連絡を入れますので・・・・どうか私を笑顔で見送って下さい!」
決意を込めた瞳は止めるなと言わんばかりのもの
そんな強い光を見た
眩いほどに宿った光は本来の包み込むように強さと優しささえ伺える
「わかった・・・・落ちついたら必ず連絡をしてほしい!」
「ありがとうございます・・・・社長は言われなくても私の父のようでした・・・・今までありがとうございました・・・・私が泣くのはもうこれで最後です・・・・どうかいつまでもお元気にしていてください・・・・・父として愛してます。」
床にこぼれていった涙が今までの辛い膿を出すように流れていった
それは綺麗でそして汚れの無い涙
「では私はこれで失礼します」
「待ってくれ・・・保証人の書類だ・・・・君を何時でも見守ってる意思だと思って受け取ってくれ・・・・家を借りる時などには必要となるだろう?」
「・・・・」
どうすればいい?
こんな重要なものを受け取ってしまっていいの?
保証人は何に使われても何も言えなくなるんじゃないの?
そんな重要なものを私に預けていいの?
「親だと思うから君にこれを持って行って欲しい・・・・最上君いつでも俺を頼ってくれて構わない・・・・・君はマリアの姉なんだから」
心からの言葉は私に一歩先へ行く勇気を与えてくれた。
「それじゃ遠慮なくあずからせていただきます」
でもこれは一生使う事がないのかもしれない
自分自身で切り抜けられるから・・・・最終手段私が亡くなった時にこれを・・・・子供に託す事が出来ると思う。
そしてLMEの事務所を出てタクシーに乗り込みその中から小さく手を振るのだった。
つづく
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あとがき
ララバイ風ですね(笑)