キョーコはずっと俺を思ってる。
だから俺も頑張れる。
なんて幸せなんだろう?
そう思って頑張っていた。
この時までは幸せの絶頂だとかんじた。
それを自分のこの手で握りつぶすとは思わずにいた。
脆くも薄氷の上に立っているとも知らずに傲慢さがやがて深い泥の中に埋まることになろうとはこの時思わなかった。
「クオン・・・・クオンなの?」
丁度撮影の合間すっかり秋色めいた広葉樹がふりしきる。
撮影が押して自分の出番があと4時間後となり、あたりを散策する。
そうすると公園の片隅に小さな喫茶店があった。
まるで不釣合い
このハリウッドでもこんな公園あったのか?
と思わず足をその店へ向けた。
店の戸を開くとき響いた懐かしいカランからんという音
端の目立たないであろうその場所は初めて見つけたゆっくりできる空間であり、アンティークを思わせるイスとテーブルが立ち並んだ場所へと移動をした。
ゆっくりと腰かけると、ドリップしたであろうコーヒーの香りと年配な男性が新聞を広げ前の座席に腰かけている光景が目に入る。
そんな時に声をかけられた。
ジャズの音が店内に響き渡るそうすると懐かしい声色で話しかけられた。
それは、昔キョーコよりあとになるが一緒に育ってきた幼馴染。
「エミリア?」
振り返った時にメイド服のいでたちのままこちらに頼んだコーヒーば運ばれてきた。
見上げると昔より少し成長しポニーテールにまとめた金髪をきつめに纏めた美少女がそこにはいたのである。
「クオンなの?」
不意になつかしさで口元を緩ませた。
「懐かしいな?こんなところで働いてるなんて思わなかったよ」
「え?うん!実はここからが一番近いし」
何が近いと言うのか?小首をかしげていた。
「実はね?映画に出てたじゃない?だから、此処なら逢えるんじゃないかって」
流石に幼馴染と言える。
好みは今もなおわかってると言わんばかりの口調。
こういう店だと落ち着くと付き合っていたときに言っていたのだ。
「突然あなたが消えてしまった時にどれだけ心配したと思ってるの?」
「そっか悪かった心配させて」
その時カウンターからチリンと音がした。
料理が出来たという合図。
「あ、ごめんね今就業中だから」
メモ帳をポケットから取り出し携帯番号を書き始めた。
「私仕事あがるの20時過ぎだから、あとで電話頂戴」
「解った!」
思わずほわりとした笑顔を向けると頬を赤く染めたエミリアは足早にカウンターに向かっていった。
この時過ちであると、気づいていたらどれだけよかったのか知れない。
つづく
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だ~ぶだぶだぶるプリンのお話になりそう。