【富山市】あめ屋さん(その3:お店ウラ話編) | 勝手に☆とやまの定住コンシェルジュのBlog

【富山市】あめ屋さん(その3:お店ウラ話編)

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【島川あめ店】ちょっと入ってみたくなる店構え。

お店編商品編に続き、「あめの駅」こと、島川あめ店(島川製飴株式会社)さんの第三弾。今度は舞台裏のお話しです。

●アメも手作り、パッケージも手作り

お店にお邪魔していろいろ話していたら「奥でお姉ちゃんが字を書いてるわよ」と、智子さん。

…あ。そうそう、島川さんとこは、さくら飴の袋に、味の説明がいっこいっこ手書きで書いてあるんですよね。「しょうが」とか「しろ」とか、よく見ると全部違うんです。

せっかくなので、パッケージ製造過程もご紹介しちゃいます。

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【敦子さん】文字の担当は敦子さん。

文字を書く担当は、お姉さんの敦子さん。あめ屋さんの商品パッケージデザインのほぼすべてを手掛けています。

「最初は、味ごとに印刷しよう、って話もあったんやけど、お姉ちゃんが全部書くっていうから…」と、智子さん。「でも、これだと、紙の色だけ変えればいいので印刷代が抑えられるでしょ」

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【ハイスピード】敦子さんすんごい書くの早い。

…たしかに、味のところ以外は共通のデザイン。…と感心している間に、敦子さん〝しょうが〟の束を仕上げ〝抹茶〟に突入。

「コスト削減ばかりじゃないのよ。こうやってひとつひとつ、おいしく食べてねとか、売れますように…とか、お客さんたちのことを考えながら書くのが好きなのよ」と、楽しそうに笑う敦子さん。

間違ったとしても数千枚に1枚だそう。

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【気持ちを込めて】いっこいっこ、おいしく食べてほしいと思いながら…。

「うちはね、アメもひたすら手作りだけど、入れ物も手作りなのよ(笑)」と智子さん。そう言いながら、こちらは〝麦芽のクラッカー〟のパッケージをハサミで切ってます。

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【まだ新商品なので】いっこいっこ切ってます。いずれ印刷するけど、今はいろんな色の紙でつくって日々工夫してるとこ、らしい。

…知ってはいたんですよ、手作りだって。でも、こんなに当たり前で自然で楽しく作ってる光景を目の当たりにして、何だかとっても感動してしまいました。

富山の薬売りだって、丸薬を自分ちで製造してパッケージも自分でやって売りに行ってたんだ、昔は。いろんな人の手が入ることも重要だけど、いちばんよくわかっているからできるやり方があるなぁ、と。

●島川家の歴史

「そういえば、最近、古い写真が出てきてね…」と、えらく古い〝缶カン〟を出してきた智子さん。「この写真は、私の祖父の祖父ね」

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【島川調蔵さん】島川さん姉妹のおじいちゃんのおじいちゃん。明治の初めくらいの写真らしい。

350年の歴史あるアメ屋さんですからね。そして、昔はこの辺の豪商だったので、随分古くから写真があるし、子どもたちにはお手伝いさんが一人ずつついていたというくらいお金持ちだったらしい。「…でも、その子孫はここで、アメの入れ物から作ってるんだけどね(笑)」

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【島川長蔵さん】島川さん姉妹のひいおじいちゃんが写っている写真。(すんません、どの方でしたっけ?)

富山の大空襲で焼ける前の大きなお店の前でみんなで撮った記念写真、おばあちゃんの豪華な着物姿など、いろんな写真をみせていただきました。

どうやら、戦争の統制下でも、アメは作られていたらしい。薬のコーティング剤や健康食品的な位置づけがあったからだろうと思われます。戦後すぐ、東京にいる知り合いから届いた手紙など、結構大変な資料が残ってる。
…売薬資料館の横に、ぜひ飴資料館もつくって欲しいと思ってしまった。

●パッケージのお話

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【パッケージ】さくら飴のパッケージにも思いが…。

さくら飴の入れ物、よく見ると、表にのれん、裏に飴づくりの釜がデザインされています。これも、敦子さんのデザイン。

デザイナーにパッケージを依頼したこともあったらしい。「…でもね、商品のこともろくに理解しないで、どこかから持ってきたものを組み合わせて、はい、できました。って言われてもねぇ…」

これを聞いて、私の尊敬する福岡の高山美佳さんが、お会いしたときにボソッとおっしゃった話を思い出しました。

「心ないデザイナーが、地域に昔からあったいいデザインを壊す。見た目ばかりのものは、デザインなんてなにも知らないおっちゃんが一生懸命つくった町内会のチラシに絶対勝てない」…私もデザイナーの端っくれなので、この言葉、とっても大事にしています。

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【姉妹で作業】お姉さんは筆を片手に、妹さんはハサミを持って…。

高山さんの言葉を思い出しながら、作業するお二人を見ていると、最強のパッケージを作り上げる職人のように見えてきました。

そう、島川さんちのパッケージは、力強いんです。(力は入っていないのに)


たくさんの思いと手間ひまのかかったアメ。飴づくりの工程や薬と飴の歴史など、智子さんがいらっしゃれば、お話ししてくれますよ。
ぜひ、まちなか散策のついでに立ち寄ってほしいスポットです。

さて、今回であめの駅は一応完結。次回は番外編、4つのお話完了予定。

【島川あめ店】
〒930-0058 富山県富山市古鍛冶町6-7
TEL:076-425-5104
お店HP

水曜日定休