――童守町。
放課後になり、下校する小学生達の姿があった。
「ヨシコちゃん、バイバーイ」
「また明日ねー」
クラスメイトと別れ、家路を歩いて行く女子生徒。と、そこへ。
「あれ…?」
ヨシコの行く先、黒のマントにシルクハットと言う怪しい男が立ちふさがっていた。
「何だろう、あの人…」
気味が悪い。
ヨシコは別の道から帰ろうと思い、引き返そうとしたが、
「赤いリボンは呪われる…」
「ひっ!?」
前方数メートル先にいた筈の黒マントの男が、既にヨシコの背後に立っていたのだ。
「赤いリボン…」
ヨシコは頭に赤いリボンを付けていた。
「お前か…」
「あ、あああ…」
「お前かああああああああああ!!」
黒マントの中から鋭い鎌を取り出し、男はヨシコ目掛けて大きく振りかぶった。
見ると、その帽子の下の顔は白い仮面に覆われていた。
「いやああああーッ!」
「クダよ、クダ!」
「!?」
突如、黒マントの四肢に白いクダギツネの群れが絡みつき、その動きを封じた。
「子ども相手に何してんだ、この変態!」
セーラー服に、腰まで届きそうなロングの黒髪の女子中学生、葉月いずな。
イタコの家系に生まれたが家業を継ぐのを嫌い、家を飛び出した霊能力少女だ。
「うわあああーんッ!」
黒マントが動けなくなっている隙に、ヨシコはいずなの元へ走った。
「危ない所だったね、怪我は無いかい?」
「う、うん!!」