「バルディッシュ!?」
【Emergency.】
蓄積していた魔力が衝撃を加えられた事で暴走し、爆発を起こした。
「ああッ!?」
爆炎に巻き込まれるフェイト。すぐさま煙を振り払い、杏子の姿を確認すると。
「…いない…」
ライトニング・バインドによる拘束は常に意識を集中しなくてはならない。
杏子を拘束しつつ、魔力をチャージすると言う高等技術。
杏子はその一瞬の隙を突き、フェイトの集中を乱す事で脱出したのだ。
「バルディッシュ、大丈夫?」
【デバイスにダメージ。修復が必要です】
『フェイト、大丈夫?』
頭に響くテレパシー。
「アルフ…」フェイトの使い魔、アルフからのものだった。
投『別の地点でジュエルシードの反応をキャッチしたよ』
「…分かった。アルフと合流する。こちらはハズレだったみたい」
フェイトは結界を解除し、彼方へ飛び去って行った。
「…行ったか…」
ビル影に隠れ、フェイトの姿を見送る杏子。
変身も解除し、魔力の反応を消して居場所を気取られないように。
「…ったく、何だったんだあのガキは…あーっ、ちくしょう!」
緊張を解き、杏子は大股を開いて壁にもたれかかった。
「やあ。災難だったね、佐倉杏子」
「うわああっ!? …ンだよ、キュゥべえかよ。驚かすなっつうんだよ!」
杏子の傍らに、キュゥべえが歩み寄っていた。
「あのガキも、お前の仕業か?」