税理士・不動産鑑定士の森田義男先生から書評を頂きました。
森田先生は、相続税や固定資産税の土地評価の税務訴訟を数多くされており、本書の中でも、先生が関与された裁判例・裁決例を多く紹介させて頂きました。
先生の代表的な裁判が東京高裁平成13年12月6日判決です。
これは、家が建つ土地と建築不可の土地で、評価は雲泥の差があるにもかかわらず、相続税評価では建築不可であることが反映されていないとして提起された訴訟でした。
国税庁のルールである財産評価基本通達を否定するのは至難の業です。
ところが、東京高裁は、路線価方式では時価を超える違法があるとして不動産鑑定評価による評価を認めたのです。
それにより、国税庁のルールも変更となりました。
接道義務を充たさない土地が無道路地に準じて評価することとなりました。
実務上この影響は大きなものでした。
また、固定資産税の最高裁平成15年6月26日判決があります。
バブル崩壊による地価下落期において、固定資産税評価が時価を上回るという逆転現象を証明した訴訟です。
この判決以降、固定資産税評価額が時価を上回るという論点が各論文、雑誌で取り上げられ一種の社会現象となりました。
先生は、書評の中でおっしゃいます。
「敵を知り己を知れば・・」
まさに本書を書いた趣旨がそこにあります。
土地の評価について、税務署がどう考え、裁判所がどう考えているのかを知っておく必要があります。
先生がおっしゃる通り、路線価方式を相手に闇雲に突っ込んでも負ける(否認される)だけです。
理論武装が大事となります。
月刊税務事例(財経詳報社)48巻2号〔2016年2月〕55頁
http://www.zaik.jp/sys/zei_contents.php