グレーゾーンから考える 土地評価/名義預金のブログ

グレーゾーンから考える土地適正評価&名義預金の税務判断
本で書ききれなかったこと、補足説明をブログにしました。


テーマ:

(なるべく)週刊で相続税の裁判例、裁決例を評釈してみたい。

目的は自分の勉強のため。備忘のメモであるためデスマス調でないことをご容赦ください。

 

3回 平成2856日裁決(国税不服審判所ホームページ

 

路線価は建築基準法の道路にしか付かないのか?

建築基準法の道路ではないところについている路線価は間違いなのか?

本件は、この問題に対する判断が示されている。

 

【事案の概要】

建築基準法の道路ではない裏路線に路線価が付されている場合、二方路線影響加算を行うべきか否かが争われている。

 争いとなった土地の概要は以下の通り。

 

  

左側の道路に路線価が付いているが、加算すべきかという論点だ。

 

【問題の背景】

 相続税における土地の評価は、路線価×地積が基本である。

 その路線価は、毎年(最近では)7月に公表される。

 路線価の定義を確認しておく。

「路線価」は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう。)ごとに設定されている。
 

つまり、路線価が付される道路は、「不特定多数の者の通行用の道路」だ。

したがって、路線価というのは、公道であるか私道であるか否かを問わない。

また、道路法上の道路か否か、建築基準法上の道路か否かも問わないとされている。

 

  実務上、不特定多数の者の通行の用に供されている道路とは、一般に通り抜け道路をいう。つまり、通り抜け道路であれば路線価は付くということだ。

 

 ただし、実務家からは、建築基準法の道路でなければ、接していても無価値である、したがって路線価は建築基準法上の道路に限るべきだという意見が強い。

 

 【当事者の主張】

 通達のいう「路線」は建築基準法上の道路に限られるのであるから、西側路線に付された路線価による二方路線影響加算は行わないと主張した。

 また、特定路線価の設定する道路も建築基準法上の道路に限られているではないかと主張した。

 一方、原処分庁は、「路線」は建築基準法上の道路に限られないから加算はすべきだと主張した。

 

【裁決】

 裁決は、通達上、路線価の付される道路を、建築基準法上の道路に限定する定めはないとして納税者の主張を斥けた。

 

また、路線価は建築基準法の道路に限らないとされているのに対し、特定路線価は建築基準法に限るとされている。この整合性について注目が集まる。

 裁決は、特定路線価は、路線価が付されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合に、当該道路を路線とみなして路線価を設定するものだ。特定路線価を設定するよう申し出る対象と路線価の定義内容が異なることは当然であるから、特定路線価に関する事項をもって「路線」の要件を限定する根拠とはならないと述べる。

 なんとも歯切れの悪い判断だ。路線価は建築基準法の道路に限定しないというだけで、なぜ限定しないのかがわからない。

 

【評釈】

裁決の結論には賛成だが、理由がいまひとつはっきりしない。

「『路線』は建築基準法の道路に限らない」だけでは納得しない。限らない理由を述べるべきだ。

 

 2つの道路に接している場合、側方(二方)路線影響加算として、地区によって1%から10%の加算を行う。このとき建築基準法の道路でなければ加算を行う必要がないのかという問題である。

 

 

実務家からは、建築基準法の道路でなければ、接していても無価値であるからから加算はすべきでないという意見が強い。

しかし、今回の裁決では、加算を行うと結論付けられた。

私がなぜ賛成かというと、路線に接すると土地の価値が高くなると考えられるからだ。

普通、1つの道路よりも2つの道路に接している方が価値は高い。人や車の出入りができるし、日当たりや風通しもよくなる。火事の際にも逃げ道にもなるし助けもくる。

電車の座席も、両脇ぎゅうぎゅうよりも、端の席の方が好まれる。

したがって、建築基準法の道路であろうとなかろうと、複数の道路(いってみれば通路)に接している分価値が高くなる。

 そう考えると、道路が建築基準法の道路であるか否かは問われないと考えるのも合点がいく。

 

同時にこの問題は下記の論点に波及する。

下図のように、1つの道路にしか接していないケースである。ただ加算をすべきか否かという問題だけではなくなってくる。このとき建築基準法の道路でないという理由で無視できるのか。

 

 

今回の裁決では、無視はできないと結論付けられた。

路線価の付される「路線」は、建築基準法の道路に限らないからだ。

 

 理屈をこねれば、この土地に通路があることにより、まったく四方を他人の土地で囲まれているよりは価値は高いという点であろうか。

 ただし、つけられた路線価が高すぎるといった別の問題はある。

 この道路が建築基準法の道路ではない、つまり、家が建たないという評価減は、無道路地補正を行うべきである。

 

 次に、特定路線価との整合性だ。

 以下のような、行き止まり私道で路線価がついていないケースである。

 

 かつては、特定路線価を設定すべきか、しないべきかいつも迷っていた。

 それが、平成25年に各国税局から公表された「特定路線価申出チェックシートによれば、「特定路線価は建築基準法の道路に限る」とされたのだ。

当時これを見たときは驚いた。建築基準法の道路でなければ特定路線価は付けないのだという一つの大きな指針になったからだ。

 

したがって、一般の路線価は建築基準法の道路に限らず付けるが、特定路線価は建築基準法の道路に限るということになる。

この点、裁決は、特定路線価は、路線価が付されていない道路に対して、これを「路線」とみなして設定するのであって、特定路線価の「路線」と一般の「路線」の定義内容が異なるのは当然であると述べる。

そうであるならば、「路線」は建築基準法云々は問わない、とされているのであるから、特定路線価は建築基準法の道路であってもなくても設定することになるのではないだろうか。

  

なお、国税局がチェックシートを公表した背景には、次のような見解があったのだと私は推測する。

建築基準法外の道路にしか接していない場合は無道路となる。

無道路に特定路線価を付すと、評価が高くなりすぎる。

このように本来、特定路線価を付けてはいけない(無道路と処置すべき)道路に特定路線価を申出る税理士が多い。

このような道路は世の中にあまたあり、そのたびにすべて特定路線価の申請を出されていては、税務署の事務負担がたまらない。

だから、建築基準法上の道路であれば特定路線価を設定していいが、建築基準法上の道路でないのであれば無道路として評価しなさいよという意味だと、私は考えた。

 

 まとめると、

 路線価は不特定多数の者が通行する道路につく。

 側方路線については、建築基準法の道路であってもなくても、価値が上がるから加算をする。

 建築基準法の道路ではない通路にしか接していない場合、路線価は不特定多数の通行の道路に付されるのであるから、ついてもやむを得ない。ただし、無道路であることは無道路補正により評価減を行う。

 特定路線価を設定する道路は、建築基準法の道路ではないのであれば、近くの路線価から引っ張ってきて無道路地として評価するのであるから、特定路線価は設定不要。

 建築基準法の道路であれば、その路線を使うのが合理的であるから、路線価を設定する。

・・・このような理論立てができるのではないだろうか。

 

【重要度】

★★★★☆

 理屈が今一つはっきりしないとはいえ、

建築基準法の道路でなくても路線価は付く。

特定路線価とは定義内容が異なるから、違ってよい。

という判断が明確にされた点で、実務における影響度が大きく星4つとした。

 

 

 

 

 

 

 

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