タクシーちょっといいはなし 6 | タクシーコンサルタントのブログ

タクシーちょっといいはなし 6

 外国の方が日本のタクシーをどう思っているかについては、何度が取り上げています。 比較的、

お褒めの言葉が多かったように思います。 日本人として嬉しいですね。 ただ、ここでは敢えて辛辣な意見

も取り上げていきたいと思います。 いくつかあるのですが、最も多かったのは、語学に関することでした。 

 「サービスはいいけど、言葉が話せないじゃん!」というものです。 ただ、これはタクシー業界に限った

ことではありませんね。 活きた語学を使いこなせるか否かについては、ハッキリ言って否の割合の方が多

いというのが、日本人のウイークポイントかと思います。 もちろん、流暢な外国語を話す方もたくさん

いらっしゃいます。 問題は、諸外国と比較してどうかという点です。 意識が希薄と言われても仕方ない

のが現状ではないでしょうか。 


 観光庁の長官が定例会見で、公共交通や美術館・博物館などに共通する多言語化ガイドラインを年内

に作成する方針を示しました。 政府の観光立国推進閣僚会議・WTも、今後、空港や都心に外国人用タク

シー乗り場を設置するなどの対策を打ち出しています。 この専用乗り場というのも、かなり慎重に考えて

いく必要があります。 外国人専用と謳うからには当然、言語に対応できるドライバーさんでなければいけま

せん。 ひとくちに外国人と言いますが、英語圏の方もいれば中国語圏の方もいますし、何よりレベルの

問題もあります。 どの程度の会話力・理解力なのか・・・明確に線をひいてしまうことで、供給が追いつか

なくなってもいけませんし、会話にならないということでは本末転倒です。 今後、スマートフォンなどの

翻訳機能の活用なども考えていかなければいけないでしょう。 とはいえ、語学は生きものです。 定型文を

使った四角四面な応対のみでは問題も出てきます。 なんて、偉そうなことを言っていますが、かくいう私

も、日常会話程度の広東語は話せると自分を買いかぶり、香港のレストランで料理を注文した際、全く聴き

とってもらえず恥をかいたことがあります。 香港人の友人に発音をチェックしてもらったところ、

「お粥 dzuk7」と言っていたつもりが、「ムカデ baak8」と発音していたことが判明しました。 

※教院式だと同じ発音記号になる場合有り。


 外国の方に、日本にいる間は快適に過ごしてもらおうという主旨には、大いに賛成します。『おもてなし』の

心は人一倍持っている日本人です。 今回の施策をよい方向に持っていけると信じています。 

 
 知り合いのドライバーさんで、外国のお客さまをお乗せした際、言われたことがどうしても理解できなかっ

たので、語学堪能なホテルマンの方に電話で助けていただいたという話を聞きました。 回りくどいこと

を・・・という人もいるかもしれませんが、ただ笑って誤魔化したり、NO~NO~と手を横に振るよりも、その

ドライバーさんの必死さ、誠意が伝わったと私は思います。 言うまでもなく、世の中の経済は循環して

います。 ホテルの方にとっても外国からのお客さまは、そのままご自分のお客さまにもなるはずです。 


 日本のサービス業の評価は、長い目で見れば私たちにも還ってくるはず。 「日本、やるじゃん!」という

評価は、伏し目がちで自信を喪失していた、ここ数年の日本人の潜在能力を覚醒させるものだと思います。 

 それは、日本経済の回復に他なりません。 お粥をムカデと発音した人間が偉そうなことを書きましたが、

『自分がそうされたら気持ちのよいことを相手にもする』接客業の本当にシンプルな基本を忘れないことが、

観光立国を目指す日本に必要なことではないでしょうか。