よく聞かれるのでここに少し書こうと思う

スキー場経営を取り巻く環境は本当に厳しい。
ネガティブな要素をあげるとキリがないくらいだ。
少子高齢化
若者の車の所有率の低下
レジャーの多様化
景気低迷
学校スキーが減り続けている事でそもそも未経験者率が高まっていること
用具の価格の高止まり
業界に本当の意味で商売人がすくないこと
ウソかホントかわからないが温暖化
レジャー消費額の低下
競合が海外旅行やTDLになっている現実t
スキーブーム期に若者だったお客様がファミリー層になっているがそれも数年で終わること


もうスキー場経営なんてお先真っ暗なのでやるモンじゃない
なくなった方がいい
スキー場は早く淘汰されて200くらいになった方がいい

ごもっとなおはなしだ。

しかし
どうだろう。
そもそもスキー場はなんでできたのか?

私が子供の頃乱立していたボーリング場はその殆どが姿を消した
でもスキー場はそんなに無くなってない

それはなぜか?

スキー場はそもそもその立地が限定される
1雪が降る場所(もしくは水があり高標高低湿度で雪が作れる場所)
2道路がある=人の営みがある場所
3山があり、斜面がある場所

上記の3つのうち一つでも欠けたら成り立たない

いや閉鎖になった面白山スキー場は鉄道でのアプローチオンリーだったし
特殊なモノはいくつかあるが
基本的にこの3つは必要だ

バブル期にできたスキー場はこのうち2が欠けるものもある
スキー場にあわせ
道路もつくっちゃったパターンだ

例外はあるにせよ
3条件を満たす場所の共通事項として
もしそこにスキー場が無かった場合

一部の温泉地を除き
猛烈な過疎が進行していただろうし
もうその地域そのものに人が住んでなかったかもしれないような
そんなかつて「冬は出稼ぎ」によって成り立っていた地域が殆どだ

スキー場の黎明期
その殆どは出稼ぎ対策としてスタートしたはず

マックアースの起源も
出稼ぎ対策で半世紀前に始めたゲレンデ食堂だ

その観点で見ると
寒村に冬期何万人、何十万人、場所によっては何百万人と集客する
スキー場という装置はその地域にとってまだまだ必要不可欠なものに違いない
例えばスキー場がダメだからといって
他の対策をうって見たところで
スキー場に勝る冬期の経済対策・雇用対策などあるはずも無いのが実情だ

スキー場が不要になるのは
その地域が無人になってしまう時
そう思う

もちろんお客様あっての商売なので
地域の都合だけで
ニーズを失ったスキー場は
というかその地域ももう継続できないだろう

しかし黎明期
いやスキーブームが来る前
昭和40年代始め
もしくはオイルショックからバブルまでの間の
スキー場の入込客数やコストのかけ方を顧みれば
スキー場経営は本来成り立つハズの場所も多い

スキー場はそのバブル期という
ある意味不幸な時代を経験したが故に
基本的に高コストな体質になってしまった

外注率がふえ
一個一個の経営母体が欧米に比べて小さいため
収益を上げる事業に手がつけられず
コストカットもできない

例えばリフトの建設一つとっても
日本なら索道メーカーに頼む
メーカーさんが建築までを担うのが当たり前の事だが
コレは日本ならではの特異なことで
ヨーロッパのスキー場にはこういう索道のコンストラクションチームが存在するらしい

索道の整備コストたるや
日本のおおよそ3分の1でできると聞く

それはスノーマシンだって
圧雪車だって同じ事

すべてが内製化されメーカーは部品供給のみというのが
ヨーロッパスタイルらしい

しかしコレが持てる規模は
ゲレンデ面積で2000haとか3000haとかの

志賀高原がそのまま8つも一緒になったような
索道本数200本とかのスキー場でないと
そのパフォーマンスを発揮できない

これは
整備だけでなく

商いの肝であるマーケティングや
総務・経理部門の統合
そんなあらゆる部門で組織力を発揮するのが

商いの規模でいうと売上にして50億とか100億とかの規模なんだろうと思う
チームとして100人以上の体制だ

日本の何十ヘクタールや何百ヘクタールの規模で
売上数億から十数億のレベルではコレは達成できない

そもそも
商いの例えば3億とかの規模って家族経営でないと無理な規模だ
コレで会社だ組織だと始めるとまず赤字体質になる
これくらいの組織なら社長が帳面を握り
夜なべで経理をやって営業に歩き社保の手続きやそんなモノも全部やるのが当たり前の世界だ
経理や総務など必要ない

私も売上5億くらいのレベルまでは
社会保険の手続きから
給与計算から月々の支払い
暇があれば営業に歩き
お客様が誰と誰でどうなるか
アルバイトさんはどうするか
そして日常のオペレーションにいたるまですべてをやってきた

素人営業マンの素人経理マンの素人オペレーターだ

だから事業所単体が数億前半のレベル感なら
すべての人がすべてを把握するマルチスキル体制は本来不可欠だが

これの弱点は
すべての分野で素人がいっぱいできるというとこだ

コレが先ほどの
高コストの整備につながり
稚拙なマーケティングとなり
お客様を向いていない接客につながりかねない

なのでそれぞれのスペシャリストをグループ内で養成し
コンストラクションから
メンテナンス
マーケティング
戦略立案
総務経理にいたるまで
すべてを洗練させることで

まだまだスキー場は生き残りをはかれる商いだ

コレには先ほどの
グループで50億から100億程度の売上規模を作るというのが
大前提だ

数億や十数億の単体では無理
生き残れない

特殊立地や圧倒的な後ろ盾があれば別だが
今はよくても数年後には行き詰まる

だから地域にとって業界にとって
少なくなってしまったとはいえお客様にとって必要なスキー場は
しっかりと手を結び生き残りをかけて戦わなければならない

その2に続く