「カーネーション」 第50回 | たっちん日記

「カーネーション」 第50回

昭和14年 (1939年)。

神戸。松坂家。

糸子が窓辺の椅子に座り、雑誌を読んでいます。

ラジオから聴こえてくるのは軍歌「露営の歌」。

ラジオを消し、蓄音機をかける糸子。

クラッシック音楽が流れてきます。

暇や、ため息つく糸子。


部屋に清三郎、貞子、正一夫婦。

近いうちに紡績はみんな軍需品を作る工場になるか、それが嫌やったら合併か、どっちかを選ばなあかんようになる、もう時間の問題だと貞子に言う正一。

分かったわ私でも・・・、子供みたいな言い方せんといてと!と怒る貞子。

これまで必死で守ってきた松坂紡績ゆう名は、そんな簡単にやすやすと捨てられるもんと違う、軍の衣料品作る工場としてでも生き残りさえしたら、機械かてある程度は残せると悔しそうに言う正一。

まあ、それが現実的やなとうなずく清三郎。

私は嫌や、何で松坂紡績が軍服なんか作らなあかんのや?そんな事したら、おじい様、お父様の申し訳が立てへんと泣く貞子。

ええか?これが時局ちゅうもんや、そら、お父様もお分かり下さると言う清三郎。

軍服なんか嫌いや!あんなカメムシみたいな不っ細工なもん、うちの会社は死んでも作りません!と泣く貞子。


廊下で話を聞いている糸子。

[おばあちゃんらの無念さは、うちには痛いほど分かりました。ちっこいうちとて、いつまでも安穏としてられる訳やない。店の事が気になってしゃあありませんでした。]


よう探してみ!絶対2反あるはずやて、ちゃんと全部隠しといてやと電話で話す糸子。

相手は静子でしょうね。

電話を終える糸子。

会社に出かけていく清三郎、貞子、正一夫婦。

何か思いつく糸子。


部屋。

今からちょっと部屋で休むよって、夜までずっと寝るさかい、起こさんといてなと女中に言う糸子。


玄関に糸子が来ます。

辺りの様子をうかがい、出ていく糸子。

足を止め、家を振り返ります。

[ちょっと店見てくるだけや。堪忍な。]

手を合わせる糸子。


電車の中。

[あれ?」

お腹を押さえる糸子。


河原。

リヤカーを牽きながら木之元が来ます。

座り込んでいる糸子。

どないしたんや?神戸行ったんちゃうんけ?と尋ねる糸子。

苦しむ糸子。

都合よくリヤカー牽いてやってくるっちゅうんは、もうちょっと工夫してほしかったです。


通り。

リヤカーに糸子を乗せ急ぐ木之元。

[ほんまにうちは、何回おんなし事やってんや。]


小原家。

うちのが陣痛始まってもて!と、慌てながら電話で話す勝。

産婆さんを迎えに行こか?と言う木之元。


居間。

糸子がうめき声を上げています。

介抱するハルと静子。

優子ん時と違てな、おんなじ痛みがずっとあんねんと言う糸子。

陣痛、いつ始まったん?と聞くハル。

2時半頃やと答える糸子。

もう4時間くらい経過しています。

よっぽどのゴテが産まれてくるんやろかと言う糸子。

笑うハル。

「ゴテ」とは「言う事を聞かない子」という意味の方言です。


夜。

善作と勝が酒を飲んでいます。

そないゴテてるちゅう事は男に決まってらと言う善作。

ええですね、息子かあと喜ぶ勝。


2階の部屋。

布団に寝て、うめいている糸子。


居間。

時計を見る善作と勝。

陣痛が始まってもう8時間も経過しています。

あんましかかると、子が出てくる前に母親の方が参ってまうどと心配する善作。

えっ?不安になる勝。


泣きながら千代が入ってきます。

お母さん!立ち上がろうとする勝。

な…何や?尋ねる善作。

糸子が…と座り込む千代。

糸子がどないしたんや!?と尋ねる善作。

スルメ持ってきてて、お腹すいてんのに食べられへんさかい、せめてスルメしゃぶっとくて、かわいそうに!と泣く千代。


2階の部屋。

スルメをしゃぶりながら、うめく糸子。


居間。

午前2時です。

こうなったら男でも女でもかめへん、母親と子供が無事でおってくれたらそんでええと手を合わせる善作。

僕かて産まれてさえくれたら何でもええです、犬の子でも猿の子でも何でも育てます!と言う勝。

おい!笑


2階から産声が聞こえてきます。

産まれた!産まれた!と喜び合う善作と勝。


2階の部屋で寝ている糸子。


居間で赤ん坊を抱く千代。

ほう!女の子か、かいらしいのうと言う善作。

ほんま、かいらしいなあ!と言う千代。

猿みたいやんかと言うハル。

そら、さっき僕が猿の子でも育てる言うてもうたさかいと笑う勝。

せや、わしもついな、女の子でも何でもええ言うたさかい、神さんが怒ってこんな猿みたいな顔にしたんやと笑う善作。

聞いている糸子。

[失礼やな。]


翌日。

清三郎と貞子が来ています。

ほんま堪忍な、心配かけてと謝る糸子。

宝や、宝や、子宝や!と赤ん坊を抱いて喜ぶ貞子。

ありがたいこっちゃ、わしらはこんだけ宝に恵まれとんや、少々のもん無くしても何も怖がる事はないと喜ぶ清三郎。


安岡家。

赤ん坊を見せに糸子が来ています。

名前どないしたん?と尋ねる玉枝。

産まれてくる時にえらいゴテよったさかい、素直な子ぉに育つようにちゅうて、素直の直子にしたと答える糸子。

直子ちゃん、かいらしい!と言う玉枝と八重子。


勘助から葉書来たで!」と言って、取りに行く玉枝。

客の髪を巻いている八重子。

[八重子さんは最近パーマネントを始めました。それがえらい評判で、このごろはおばちゃんよりも忙しそうです。]


勘助からの葉書を読む糸子。

[この頃の勘助の葉書はもう、気色悪いほど当たり障りのない文面で。字ぃが相変わらず汚いっちゅう事以外、うちの知ってる勘助やないみたいでした。]

「・・・こちらも暑いです。しかし万事快調です。心配しないでください。・・・」とだけ書かれた葉書。

それでも、玉枝さんにとっては勘助が元気と分かって安心で。


戦争の影がちょっとずつ大ききなってきたけれど、店は順調、子供も2人目。ちょっと安定期っていうか、ここ最近は普通の朝ドラって感じですね。

千代さんがスルメを取りにくるとこが笑えました。

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