「カーネーション」 第48回
昭和10年 (1935年) 1月。
朝。小原家。
勝を起こす糸子。
まだ別々に寝てるんかいな?
店の窓ガラスを拭く糸子。
[うちと勝さんとおばあちゃんの3人暮らしも、どないか板についてきました。]
机に向かい、帳簿を見る勝。
旦那いてるけ?と客が来ます。
夜。小原家。
[ある日、とうとう、おばあちゃんに怒られてしまいました。]
新しい職人雇たんちゃうんやで、勝さんはあんたの旦那さんなんやで、
あんたら見ちゃったら、いっこも2人で話してへんと怒るハル。
してるやん、毎日と返す糸子。
あんなん話ちゅえへん!注文がどうちゃら納品がどうちゃら、あらただの連絡や!今日こそ、ちゃ~んと同じ部屋で寝りや、1回ちゃ~んと夫婦で話しい!と言うハル。
2階の部屋。
糸子と勝が布団に並んで寝ています。
うちな…、仕事好きなんやと話しかける糸子。
そら、見ちゃったら分かるよと言う勝。
そやから…、この先…、うちの店がどんだけ繁盛したかて、もう働かんでもええちゅうほど儲けたかて、うちは働くと思う、うちはそんなんや、普通の家の奥さんみたいにこまごました家族の世話やら…死ぬまででけへんかもしれへんと語り、そんなんやけどええか?と尋ねる糸子。
かめへん、と答え、ロイヤルであんたが働いてるとこ見てええなあ思たんや、あんたは思うように働いたらええよ、あとの事はまあ…おばあちゃんがどないかしてくれるやろと言う勝。
2人で稼いで、ええもん食わして長生きしてもらおうと微笑む2人。
[それからいろんな話をしました。これからの事、子供はどないするか、店はどないするか、やっぱし結婚してよかったんや。うちは心からそう思いました。]
ミシンを踏む糸子。
[2年がたちました。]
昭和12年 (1937年) 1月。
[「小原洋裁店」は「オハラ洋装店」になりました。]
屋根に「洋装オハラ」の赤い看板。
善作と千代が来ます。
店。
[新しく縫い子も雇いました。]
縫い子は3人。静子も店を手伝っています。
以前、お姉ちゃんを手伝いたいと言ってましたが、ようやくそれがかなったんですね。
あんまし、事せくなよ、欲張って急に店大きいしたろうやら考えんな、店ちゅうのはな、おできと同じや、急に大きいしたら、あとは潰れるだけじゃとアドバイスする善作。
糸子のお腹が大きいいです。おめでたなんですね。
どないやねん?おなかの子はと尋ねる善作。
もう重たて重たてかなわんわ、はよ出てくれなと答える糸子。
ちょっと触らしてと、糸子のお腹に手を当てる千代。
[おなかの子は何の問題もなく、産み月を迎えてくれてたもんの、うちとしては「せっかく店新しいしたとこやのにやっかいやなあ。まあ産むだけ産んだら、その日のうちからまた店出ちゃろ」そんな事思っちゃったんやけど。]
饅頭を頬張る糸子。
相変わらず食べっぷりがいい。
2階の部屋。
うう~ん…、うめく糸子。
[思い上がりもええとこでした。]
布団に横になり、助産婦に背中をさすってもらう糸子。
千代が来ます。
そろそろお湯沸かしましょか?と尋ねる千代。
いんや、まだまだと答える助産婦。
うめく糸子。
夕方。
千代に背中をさすってもらう糸子。
お握りを頬張りながら世間話する助産婦とハル。
うわ~、おばあちゃん老けたなあ。何か悲しいなあ。
それにしても、助産婦とおばあちゃんが何の話をしていたのか気になる。
[そんだけしんどいお産のあとに…]
赤ん坊を産湯に入れる助産婦。
よかったなあ!と泣くハル。
よかった…ほんまによかったあ!と泣く千代。
寝ている糸子の横に行って頭を撫でます。
[店なんか出られる訳ない。3日間ひたすら寝ちゃると思いました。ところが…]
夜中。
泣き出す赤ん坊。
目を覚まし、赤ん坊におっぱいをやる糸子。
[赤ん坊ちゅうんは寝かせてくれるもんやありません。]
朝。
[けど、一番思いも寄らんかったんは、とにかくこの…赤ん坊のかわいさです。]
赤ん坊の寝顔を見つめる糸子。
この子、勝に似ていますね。
ええ子じゃええ子じゃと、赤ん坊を抱く善作。
[それともう一個は…このお父ちゃんののぼせっぷりです。]
泣く赤ん坊。
貸してみと言うハル。
嫌じゃ、わしが泣き止ますと言う善作。
2階の部屋に「命名・優子」の張り紙があります。
居間。
赤ん坊に優子と声をかける糸子やハル。
明日から昼間はわしが優子の面倒見ちゃら、わしに任せ、心配すな!と言って優子を抱く善作。
はよ貸せ!ああはよ!はよ!あ~はよ!はよ!・・・と手をバタバタさせう善作が可愛い。
昭和12年 (1937年) 9月。
夕方。閉店時間の洋装オハラ。
今日はもう店終わったよって、今から迎えに行くわと電話で話す糸子。
おっ、ついに電話を設置したんですね。
川沿いの道。
「七つの子」を歌いながら、優子を背負って歩く糸子。
[忙しい一日が終わって優子をおぶって歩く。この時間がうちはしみじみと好きでした。そやけど何でか知らん、優子とおるとうちは自分が弱なった気ぃがします。こんなふにゃふにゃした子がしっかり大きなるまで、 何事も起こらんといてくれるやろか、世の中は平和であってくれるやろか、そんな事ばっかし思います。]
自転車に乗り、勘助が来ます。
浮かぬ顔の勘助。
うん?何や?と尋ねる糸子。
赤紙来てもうたと答える勘助。
えっ?聞き直す糸子。
赤紙やと答える勘助。
ついに来ました。
これまで「戦争」という言葉やエピソードは一切語られてこなかったのに、それを表す最初のエピソードが勘助に来た赤紙。あのヘタレの勘助に真っ先に。何かショックです。無事に帰ってきてくれと祈ります。
出産シーンは「おひさま」にもあったし、「てっぱん」もあったけど、出産前とその後で表現するっちゅうんはなかなかええ演出でした。来週は2人目なんですね。進むのが早いですね。