「カーネーション」 第43回
小原家。
糸子が帰宅すると、小原呉服店の看板がなくなっています。
家には家族の姿はなく、ハルのみです。
店に置かれた大きな長方形の包みの前に立つ糸子とハル。
布を捲る糸子。
現れたのは「小原洋裁店」と書かれた真新しい看板です。
これがお父ちゃんのけじめのつけ方や、黙って受けちゃりと言うハル。
看板を見つめる糸子。
お父ちゃん…どこ行ったん?と尋ねる糸子。
隣の大松町や、神宮司さんの伝でな、質屋の店主になる事になったんやと答えるハル。
その質屋には住む家がついていて、千代や妹達もそこで暮らす事になったのです。
あんたは7人も家族、養う事あらへん、うちとあんたの2人分で十分じょと言うハル。
うちは嫌や、家族がバラバラになんのなんか嫌やと言う糸子。
分かっちゃりて、お父ちゃんかてな しんどかったんやし、あんたの稼ぎで食わせてもらうのが、ず~っとなと打ち明けるハル。
善作達が出て行ったんは、糸子が負担にならないようにって配慮からだったんですね。
住み慣れた家を出て行くなんて、並大抵のことやありませんから、なかなか決断ができずに酒ばっかり飲んでたんでしょうか?
台所で2人分の食器を洗うハル。
[急にガランとしてしもた家は寂しいし、心細いし、ただの雪まで、何か知らん怖い。]
店の電気を消す糸子。
戸をたたく音がします。
へっ!?驚く糸子。
糸子~と呼ぶ女性の声。
幽霊か。笑
嫌!怖がる糸子。
糸子開けて~と言う声。
えっ!?再び電気をつけ、戸を開ける糸子。
はあ~、寒かったあ!と震えながら飛び込んできたのは千代です。
どないしたん!?と聞く糸子。
糸子の事が心配になってきた善作から「今すぐ糸子んとこ行っちゃれ!」と言われ、糸子が仕事から帰ってくるのを迎えてやるつもりで出かけてきたけれど、慣れてへん道やさかい迷ってしまい、今になったと答える千代。
そう言って、座った場所は布をかけた看板の上。
その事に気付き 慌てて立ち上がる千代。
いや…、ご…ごめんな!堪忍 ごめんやてと謝ります。
布を捲る糸子。
小原洋裁店と書かれた看板が現れます。
は~あ~!まあ、ええやんかあ!と歓声を上げる千代。
何や…、お母ちゃんの顔見たら、やっとこの看板、喜んでもええ気ぃなってきたわと言う糸子。
喜びいな、あんた何ぼでも、あんたの看板や!とうとう小原洋裁店ができるんやでと、糸子の体をポンとたたく千代。
うん…そやなとうなずいた後、そやけどな…、うちのせいで家族がバラバラになってしもたんや、お父ちゃんがず~っとしんどかったんやて思たらな…、うちは…なんちゅう事してしもたんやろ、みんなにどないして謝ったらええんやろと思たらな…と泣き出す糸子。
アホやなあ、そんな事思わんでええ、あんたはただ頑張ったんやし、お父ちゃんかて静子らかて、あんたが悪いなんかちっとも思てへん!と、糸子を抱きしめる千代。
そこにハルが来ます。
あれ?どないしてんと糸子に尋ねるハル。
おばあちゃん、あっち行ってて!と泣きながら言う糸子。
微笑み、立ち去るハル。
昭和9年(1934年) 春。
桜の小枝を持って走る木岡。
[それからしばらくして、ちょうど桜が咲いた頃に。]
看板を取り付ける木之元達。
見守る糸子やハル、近所の人。
[うちの屋根に小原洋裁店の看板が上がりました。]
姉ちゃ~ん!妹達と千代がやってきます。
看板を見上げ、うわ~!と歓声を上げる妹達。
3人とも赤い着物着て可愛い事!
善作が来ます。
善作に気づき、駆け寄る糸子。
善作の手には一升瓶。
お父ちゃん、うちな…と話しかける糸子。
お前…肥えたやろ?と聞く善作。
肥えてへん、肥えてへんわ!と答える糸子。
照れ隠しに全然関係ない事を言う善作がかわいいわ。
お~い、酒持ってきたど~!と、看板を取り付けている木之元達に一升瓶を見せる善作。
持ってきたて、そら糸ちゃんの開店祝ちゃうんけ?と聞く木之元。
かめへん、かめへん!はよ下りてこい!と言う善作。
開店、おめでとうさんと、桜の枝を糸子に手渡す木岡。
こら!どこから取ってきた?笑
木岡の妻、美代や木之元の妻、節子もおめでとうって言ってくれます。
一同から起きる拍手。
おおきに!おおきに!うち頑張るさかい見とってな!と感謝する糸子。
一同から起きる万歳。
数日後。小原洋裁店。
[そいでも、やっぱし商売ちゅうんはそんな簡単なもんやありません。店開けてすぐ、駒ちゃんとサエが注文に来てくれたものの、まだまだお客さんはチョロチョロ。人っ子一人来えへん日ぃもあります。]
窓ガラスを拭く糸子。
末松商店の時の客、ヤス子と大山が糸子の店を探して訪ねてきます。
再会を喜ぶ糸子と2人。
悪いねんけど、あの生地切るやつ、やってくれへん?と言って持参した生地を取り出す大山。
そら、堪忍して下さい、うちはもう生地屋の店員とちゃうんやさかいと断る糸子。
あんたとうちらの仲やんか、土産にわらび餅かて買うてきてんでとわらび餅の入った袋を見せるヤス子。
一瞬、わらび餅にニコッとした糸子ですが、いやいやいやいやいや…と2人に背中を向ける糸子。
[結局、押し切られてしもて。]
大山の体に合わせ生地を裁断する糸子。
儲けにならんわなあ。裁断の手間賃もらえばいいのに。
通りを来る背広姿の人物。
[そんなある日、久しぶりの珍しいお客さんがありました。]
千代の兄、神戸の正一です。
どないしたん?と尋ねる糸子。
正一 「ハッハッハ どないや?うまい事いっとうか?」
正一に挨拶するハル。
あ、糸子、ちょっとコーヒーでも飲めへんか?と誘う正一。
カフェ太鼓。
糸子と正一が来ます。
いらっしゃい!と迎える平吉。笑
声、裏返ってんでと笑う糸子。
お連れさん、あっこですと指を指す平吉。
そこにロイヤルの川本の姿。
驚く糸子。
お待たせと川本に言う正一。
開店、おめでとうさん!と、カーネーションの花束を差し出す川本。
ああ!?おおきに…と礼を言う糸子。
テーブルに着く3人。
注文を聞きに来る平吉。
まだ裏返ってんで。笑
コーヒーを頼む正一と川本。
この店はココアておいてんけ?と聞く糸子。
おこわ?聞き間違える平吉。笑笑
ココア!ともう一度言う糸子。
ココアはおいてませんと答える平吉。
ぜんざいを注文する糸子。
店主に注文を伝え、糸子達を見る平吉。
自分を見ている平吉を睨む糸子。
糸子に微笑む川本。
[そやけど…何や?おっちゃんと川本さん。一体、何や、これ?]
えっ?正一と川本が知り合いだったという事はないですよね?そんな偶然。
じゃあ、なぜこの2人が??
週を跨いでヤキモキさせた割にあっさりとした描かれ方で、ちょっと拍子抜け?でも、お母ちゃんの言葉に泣かされました。
糸子が末松商店を辞めるシーンは省略でしたね。あの店主がどんな事言ったか興味があったんですが、ズバッとカット。それも潔し?