「カーネーション」 第42回
昭和9年(1934年)。
連日、客でいっぱいの末松商店。
[年が明けて、あっちゅう間に2か月がたちました。結局、うちの生活は何も変わってません。]
接客をする糸子。
手伝う店主。
[相変わらず、店には毎日ごっついお客さんが押し寄せてきて、それに追われてる間に一日が終わります。]
すんません、ちょっと待っといて下さいと客に断って、昼食のお握りを頬張る糸子。
こんな忙しかったら、食べる間ないわなあと言う客。
店主は微笑みながら糸子を見ているけど、何を考えてるんでしょう?
小原家。
善作が弟子に謡の稽古をつけています。
稽古が終わり、弟子に稽古は今日が最後と伝える善作。
わしも、弟子がわし一人になってもた時から、「こら、わしはやめられへんなあ」ちゅうて困ってたんやしと打ち明ける弟子。
そうでしたか…と苦笑いの善作。
謡やめて、何かやるんか?と尋ねる弟子。
いや、もう…きれえさっぱり…千秋楽やと寂しそうな善作。
木岡履物店。
こそこそと出かけようとする木岡。
あんた!また飲みに行くんちゃうやろな?と木岡の前に立ちふさがる妻の美代。おっかないです。
今日だけは行かせてくれ、善ちゃんがな…善ちゃんのな、その善ちゃんがな…と、美代に手を合わせる木岡。
善ちゃんが何や?善ちゃんがどないしたんや?言うてみ!と迫る美代。
恐ろしすぎます。笑
木之元電キ店。
木岡がやってきます。
うちのおかあちゃんにな、今晩の訳話したら、「ほら行ってこい!」ちゅうて小遣いまでくれよったと笑顔の木岡。
あ~そら、よかったのう!と笑う木之元。
おっ、これか!でけたんけ?と、大きな長方形の包みを見る木岡。
おう、でけたで!と答える木之元。
吉田屋。
廊下を急ぐ奈津。
帳場から、夫、康夫の笑い声が聞こえてきます。
帳場の戸を開け、ちょっとあんた!この忙しいのに何してんの?と康夫に言い、一緒にいた芸妓に、あんたら、竹の間でお客さん待ってんやで!と叱る奈津。
すんませんと謝り、出ていく芸妓達。
奈津から目を逸らす康夫。
玄関。
お待たせしました~、いらっしゃい!と客を迎えに出る奈津。
泰蔵が立っています。
泰蔵の姿にちょっと固まり、えっ、あっ…何?と尋ねる奈津。
えっ?聞き直す泰蔵。
うちに何か用?と尋ねる奈津。
あ…いや、今晩、小原さんにここへ呼ばれてるよってと答える泰蔵。
ああ!そうかとようやく理解し、すんません!ど、どうぞ!あがって下さいと迎え入れる奈津。
奈津も人との関わりが増えて成長したのか、泰蔵への応対もちょっぴり変わってきましたね。
廊下。
失礼します、安岡さんがお着きですと座敷に声をかける奈津。
おう!来た来たと言う善作の声が聞こえます。
襖を開ける奈津。
すんません、遅なりましたと挨拶する泰蔵。
10人くらいの人が集まっています。
よう来てくれた、これでみんなそろたなと言う善作。
襖を閉める奈津。
辺りに誰もいない事を確かめ、座敷を覗きます。
座敷。
集まってもろたんは他でもない、これまでのお世話になった岸和田の商店街、五軒町の皆さんにお礼と一つ頼みたい事があっての事ですと挨拶する善作。
善作の後ろには木之元電キ店に置いてあった大きな長方形の包み。
この~小原善作、岸和田商店街で呉服店を開いて22年・・・と挨拶を続ける善作。
廊下。
座敷を覗き見する奈津。
そこに、お客さんがお帰りですと伝えに仲居がやってきます。
玄関に向かう奈津。
玄関。
客を見送る奈津。
おやっさん死んでもうて、わしにでける事あったら何でも言うてくれ、な!と言う酔っ払い客。
座敷が気になる奈津。
酔って、その場で寝ようとする客。
廊下。
酔っ払いが!何もせんでええから、はよ帰ってくれ!と怒りながら座敷に急ぐ奈津。笑
善作の座敷を覗く奈津。
善作の挨拶が終わり、一同が酒を飲んだり、芸妓と踊ったりしています。
あ…終わってしもてる、何やったんやろ?話と気にする奈津。
座敷。
部屋の隅に置かれた大きな長方形の包みは一度開かれたらしく、結び紐が解かれています。
朝。小原家。店。
善作が掛け布団一枚で寝ています。
行ってきます~!と、善作の前を横切る糸子。
行っちょいで~と言う千代。
目を開け、糸子を目で追う善作。
出かけるため、善作の前を横切る静子達。
娘達を見送る千代。
朝や、善作を起こすハル。
起き上がる善作。
今日やろ?と聞くハル。
ああ・・・と答える善作。
そやけどな、あんた…と何か言いかけるハル。
わしが決めた事や、好きなようにさしてくれと言う善作。
善作を見るハルと千代。
寂しそうな善作。
表。
店の貼り紙を一枚一枚剥がす善作。
すべて剥がし終え、店の前に立って、小原呉服店と書かれた看板を見つめます。
目に涙を溜め、善作を見ている千代。
看板を見つめている善作。
善作を見つめる千代の頬に涙がこぼれます。
夕方。
仕事から帰ってきて、木岡履物店の前を通る糸子。
おっちゃん、ただいま!と、木岡に声を掛けます。
おっ!お、おう…と、いつもと違う様子の木岡。
首を傾げ、家へ向かう糸子。
うん?灯りが消えていて、家には貼り紙が一枚もありません。
屋根を見て、えっ?看板どこ行ってん?驚く糸子。
店に入る糸子。
何?これ・・・、大きな長方形の包みが置いてあります。
部屋に入り、灯りを点ける糸子。
おばあちゃん!?お母ちゃん!?みんなどこ行ってんな?と声をかけます。
台所。
揚げ物をするハルの姿があります。
おばあちゃん!安心したかのように声をかける糸子。
ああ、びっくりしたと言うハル。
何べんも呼んだわ!と言う糸子。
油の音で聞こえなんだと言うハル。
どないしたん!?みんなどこ行ったん!?何で家ん中空っぽなん!?と尋ねる糸子。
まあ、落ち着きと言うハル。
何があったん?と尋ねる糸子。
あんなあ…、今日から、うちとあんたの二人っきりや!と言うハル。
えっ?驚く糸子。
はや~!!
来週の予告で糸子が白無垢着てるし!善作が孫?抱いてるで!
さて、今日の回はまさかの展開。長方形の包みが何であるか想像できたんで、糸子が帰ってきたら看板が小原洋裁店に変わっていて、善作が「今日から店はお前に任せた!」とでも言うのかなって想像していたら、全然ちゃいました。
みんな出て行ったんですね。清子達の通学や静子の印刷屋への通勤を考えるとそう遠くでもないでしょうけど、どこ行ったんや?
ミシン越しに見える、看板を見つめる善作の姿がよかったです。自分が一代で気づいた店ですもんね。