「おひさま」 第71回
丸庵。陽子の部屋。
育子がケガをしているらしいと知り、心配する陽子と真知子。
育子のご家族は何て?と尋ねる陽子。東京まで行ってやるのはとても無理ですってと答える真知子。
何でだよ?親なら行ってやれよ。
東京の病院。
ベッドに横たわった男性、上原を見る育子。
お加減いかがですか?と尋ねる育子。ありがとうと返事をし、君は?と尋ねる上原。
私は大丈夫ですと答える育子。よかった…それはよかったと言う上原。
どうしてあんなむちゃを?と尋ねる育子。がれきの下にいる育子さんを見て、一目惚れしたんですと答える上原。そんなからかわないで下さいと言う育子。
ホントですよ、恋ができてよかった、私、医大生なんです、もうすぐ入隊する事になってました、でも私は行きたくなかった戦争なんて、人を殺したり殺されたりするのも嫌なんです、でもこうやって死ねるならうれしいです、恋する事もできたし育子さんに、すばらしい人生だと語る上原。
死ぬだなんて言わないで下さいと言う育子。実を言うと、もう手も足もあるのかどうかすらも分からない、それに目も…、あなたの顔も…あまりよく見えないんだと言う上原。
上原に顔を近づける育子。ありがとう…と言い、育子を見つめる上原。
涙をこらえる育子。
育子と上原って医大生は以前からの知り合いではないんですよね。がれきに埋もれていた育子を偶然見つけて、そして助けたんでしょうね。でも、がれきに埋もれて死にそうになってる女性に見て、惚れるか??
何かいきなりの育子の初恋エピで・・・。
丸庵。居間。
お願いします!どうか東京に行かせて下さい!どうしても育子のところに行きたいんです、もう心配で心配で頭がおかしくなりそうなんです、お願いします!と、徳子と道夫に頭を下げる陽子。
東京はどんな事になってるだか分からねえだよ、えっ?危険に決まってるでねえかと、行かせたくない様子の道夫。
お友達の事が心配なのは分かるよ、でも…行かせる訳にはいかない、大切な娘を… そんな危険な場所に行かせる親がどこにいるだいね!私は絶対許さないよと、ついには泣き出してしまう徳子。
ごめんなさい、申し訳ありませんでした!と、畳に両手をつき、頭を下げる陽子。
夜。
ため息をついた後、隣の布団で眠る道夫を見る徳子。
寝言を言う道夫。
道夫を起こし、陽子が泣いてると言う徳子。
2階。
布団の上に座り、育子の写真を見ている陽子。
ごめんね…ごめんと泣いています。
昼。居間。
陽子に、東京に行きなさいと言う徳子。いや、でも…、躊躇する陽子。
そのかわり、約束しなさい、本当に危険だと思ったら、途中でもそこで諦めて戻ってくる事、それから…私を絶対に1人にしない事!と言う徳子。
お母さん…、ありがとうございます…約束します、ありがとうございますと感謝する陽子。目が涙で潤んでいます。
あの…1人っていう事はねえんでないの?とツッコミ入れる道夫。ああ、そうかと笑う徳子。
丸庵。店。ナレ[そこからのお母さんの切り替えはすごかったわ。]
陽子のために、薬をいろいろと用意してくれる徳子。それを見て、ちょっと緊張してくる陽子。
戸が開き、真知子が入ってきます。真知子も両親を説得して陽子と東京へ行くことになったのです。
節子と安子が入ってきます。2人のために護身用のカミソリを持ってきてくれた節子。
スルメイカを持ってきてくれた節子。ありがとうございますと礼を言う陽子と真知子。
表。
陽子と真知子を見送る徳子達。
では…行ってまいりますと頭を下げる陽子。
陽子を抱きしめ、あんたは私の娘だ!絶対大丈夫!分かるね?と言う徳子。はい!とうなずく陽子。
体を離し、陽子を見つめる徳子。
徳子達に頭を下げる陽子と真知子。
現代の陽子の店。
小学校の時に夏休みの宿題で、おじいちゃんとおばあちゃんに戦争の事を聞いてきなさいっていうのがあったんですけど、おばあちゃんね、話してくれなかったんですよ、「もう全部忘れた~」とかって・・・と語る房子。
それでいいのよ、言いたくない事、思い出したくない事って喋らない権利だってあるわよ、だって自分の思い出ですもの、それは本人の自由だわと言う陽子。
で、行ったんですよね?東京にと尋ねる房子。ええ、だんだん東京の中心に近づいていくとね…2人ともひと言も喋らなくなった。あまりの恐ろしさにね、もう足がすくんだわ、それでもね、2人は歩いたのよ、手をぎゅっと握りしめたままね…と答える陽子。
病院の廊下。
手を繋ぎ、陽子と真知子がやってきます。
怪我人ばかりの病室に入る2人。
居合わせた女性に、筒井育子という人がこの部屋にいると聞いたんですが、ご存知ありませんか?と尋ねる真知子。首を横に振り、立ち去る女性。
別の人に育子のことを尋ねる真知子と陽子。2人の背後から育子が病室に入ってきて、2人に気づきます。泣き出す育子。
入り口を見る真知子と陽子。育子!育子さん…、ようやく再会です。