映画「それでも僕はやってない」 |         きんぱこ(^^)v  

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  きんぱこ教室、事件簿、小説、評論そして備忘録
      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

(2007-12-31から再投稿)


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「被告人を禁固十月(じゅうげつ)、執行猶予三年に処す」

いまから33年前、京都地方裁判所で、この言葉を聞いたのは私でした。

今でも克明に覚えています。

私の場合は冤罪ではなく事実でしたが、裁判で下される判決というものは想像以上に重たく記憶に残るものです。

私の裁判は痴漢ではなく人身事故。

運転未熟によりハンドル操作を謝り、ぶつかった柱の破片が中年女性に当たってしまった。

勿論平謝りに謝ったが、その女性の兄が京都で一番大きな暴力団の組員だったから大変どころか、人生が本当に煉瓦造りの建物がくずれおちる様に感じました。

そして、その時の検事の言葉はひどいもの。

お前など生きていると世の中に害を与えるだけで何の役にも立たない。

と言われたのをよく憶えています。

裁判と言うのは、本当に手厳しいとおもいます。

私の場合は本当の加害者だし、今でも被害者に申し訳なく思っています。
そして今でも石の様に記憶に刻まれています。

これがもし冤罪なら・・

想像を越える辛さだろう。

この映画は痴漢と間違われた、一人の若者の話。

私も満員電車の経験はあります。

満員電車に慣れてくると、一番気をつけるのは、やはり痴漢に間違われること。

変に間違われると大変だから、空いている手は出来るだけ吊革や、手を上のほうに上げながら乗る。

手を万歳しながら乗るのは流石にアホみたいなので胸元辺りを軽く掴むようにする。

痴漢を見た時も、対処が難しい。大概は見て見ぬふりをしているのでしょうね。

何も言わずに両手を女性に見える様に背中を向けて、痴漢男性との間に割り込んだことがありました。

しかし、それだけでも勇気がいるし、いつもそんな手は使えない、なにしろ体が斜めになっても倒れないくらいの満員電車だし。

この映画は冤罪、裁判、そして裁判の現実、人間それぞれの意識の違いについて考えさせられるところがありました。


監督      周防正行
製作総指揮  桝井省志
製作    亀山千広
  関口大輔
  佐々木芳野
脚本   周防正行
出演者  加瀬亮
      瀬戸朝香
      役所広司
      竹中直人