「ニンフォマニアック vol.1」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。









ニンフォマニアック vol.1
10月21日(火) 18:40~ ヒューマントラストシネマ渋谷





好き度: ★★★★☆ /5点




「人のセックスを笑うな」っていうけど、人のセックスほどおもしろいものもないよね




トリアー新作ということで劇場へ。今回は4時間のポルノって聞いてたし、またトリアーが変なことやってる!とワクワク楽しみにしておりましたよ。というわけで今回は前半のvol.1、前半ですね。感想は、すげぇおもしろかったですよ!これ、トリアー作品の中でも実は一番観易い作品なんじゃないですかね。ドロドロのセックスポルノと思いきや、コメディなので、なんというかトリアー作品の中では一番ストレートにエンターテインメントしてるなぁ~と思いましたよ!

お話は、ボロボロで道に倒れてるシャルロット・ゲンズブールを見つけたステラン・スカルスガルドが家に連れて帰って介抱してあげまして、シャルロット・ゲンズブールがスカルスガルドに自分の過去を語っていくというスタイル。vol.1は全5部構成になってました。

 1.釣魚大会
 2.ジェローム
 3.H夫人
 4.せん妄
 5.リトル・オルガンスクール


Born to be wildでつい笑っちゃう釣りシーン。




で、まぁシャルロット・ゲンズブールがスカルスガルドに自分の過去を語っていくんですが、その2人のやり取りのかみ合ってるように見えてかみ合ってないという微妙なやりとりがすげぇオフビートにジワジワくるおもしろさなんですよね。これ、確かにシャルロットは異常な話をしてるんですが、それに輪をかけてスカルスガルドの受け答えがナチュラルに異常な感じがまずおもしろい。第1章は釣魚大会という章で、幼少時から性感がすごかったという話に始まり、処女喪失、電車の中で何人男とセックスできるかっていうゲームなど、初対面とは思えない踏み込んだ話をガンガンしていくんですが、それを「お、それはね、まさに釣りと一緒なんだよ~」とか「それ、釣りでいうとこういうことなんだ」と、釣りオタクスカルスガルドがマイペースに合いの手を入れていくというこのシュールさに思わず笑っちゃったり。。

あと、処女喪失シーンがすごくて、処女膜が破れるまでのピストンの回数がピストンに合わせて『1、2、3!』と数字が画面にデカデカと出たりで、成海璃子さんも映画秘宝で言ってましたが、なんなんだ、とw あと幼少時のカエルごっこの件とかのぼり棒の件とか、日本では児ポギリギリの幼少時の性感体験描写とかもあって、いきなり1章目からさすがトリアー、やってんな~とw あとなにより今までのトリアー作品に比べるとやっぱ観易いなぁとこの辺から感じました、こんなに笑ったトリアー作品も多分はじめてだと思いますもの。


名場面




笑う。という意味で、一番笑っちゃったのが、第3章に出てくるユマ・サーマン!主人公に夫を寝取られた奥さんが主人公の家に子供を連れて突撃してくるというシーンなんですが、このユマ・サーマン演じる奥さんH夫人のヒステリックっぷりが、ほんとおもしろくてw 可哀想ではあるんだけど、ゲスくて、滑稽で、そして狂ってて…子供を使うとことかすげぇ最悪で酷いんだけどなんか笑っちゃうし、その時の子供の表情の微妙さ、主人公たちの気まずさ、そして「あっ、もうひとりきた!」っていうときのおもしろいオチも含めてすげぇ笑いましたw しかし、子供たちが本当に不憫だ…。喜劇と悲劇は紙一重といいますが、悲劇多めの喜劇を見せられた感じでした。このユマ・サーマンの演技、トリアーがつけたのかなぁ?笑っちゃいけない修羅場なんだろうけど、おもしろかったです。


3分割画面の三重奏




とにかくセックスのために生きているような一日のスケジュール。もはや男は自分の欲望を満たす道具でしかなく、それはもはやセックスじゃなく、オナニーなんですよね。最後は目的に応じて3人の男を使い分けて3分割の画面でセックスを描いていくのですが、最後の最後で、自分の処女を奪いその後再会したジェロームとのセックスで「なにも感じなくなった」というところを見せてvol.1は終わっていきました。

「人のセックスを笑うな」っていう映画がありましたが、やっぱり人のセックスほどおもしろいものはないと思うんですよw 欲望を満たすため、ひたすら男を漁り、ひたすらセックスをしまくる主人公は、もはやエロチックではなく、滑稽なんですよね。その滑稽な様をこれまたまじめに本人に語らせるのがこの映画。まじめに語れば語るほど、ますます滑稽に見えてくる、そんなイジワルなコメディが今のところのニンフォマニアックでございました。そしてなにより、その滑稽な語りに全乗りして聞いてるスカルスガルドがやっぱり一番狂ってるなぁと、思うわけですw



あと、モザイク問題。日本版は例によってモザイク祭りなわけなんですが、う~ん。この映画において、チンコマンコにモザイクかけるっていうのは、ガンアクションで銃にモザイクかけるのと一緒だし、時代劇で刀にモザイクかけるのと一緒なわけですよね。残念ですね~。というか、モザイクって誰得なんですかねぇ。作品のノイズになるモザイクはやめてほしいなぁ。ムリか…。



ま、というわけで、vol.2も楽しみです!


おわり



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スタッフ


監督

    ラース・フォン・トリアー 

製作

    ルイーズ・ベス

製作総指揮

    ペーター・オールベック・イェンセン

    マリー・ゲーゼ・デネッセン

    ペーター・ガルデ

脚本

    ラース・フォン・トリアー

原案

    ジェンル・ハルンド

ストーリー監修

    ビンカ・ウィーデマン

撮影

    マヌエル・アルベルト・クラロ

美術

    シモーヌ・グラウ・ルネイ

衣装

    マノン・ラスムッセン

編集

    モリー・マリーヌ・ステンスゴード


キャスト


    シャルロット・ゲンズブール ジョー

    ステラン・スカルスガルド セリグマン

    ステイシー・マーティン 若いジョー

    シャイア・ラブーフ ジェローム

    クリスチャン・スレイター ジョーの父親

    ジェイミー・ベル K

    ユマ・サーマン H夫人

    ウィレム・デフォー L

    ミア・ゴス P

    ソフィ・ケネディ・クラーク B

    コニー・ニールセン ジョーの母親

    マイケル・パス 年取ったジェローム

    ジャン=マルク・バール 債務紳士

    ウド・キア ウェイター



作品データ

原題 Nymphomaniac: Vol. I

製作年 2013年

製作国 デンマーク・ドイツ・フランス・ベルギー・イギリス合作

配給 ブロードメディア・スタジオ

上映時間 117分

映倫区分 R18+]




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