レッドファミリー
10月6日(月) 16:30~ 新宿武蔵野館
好き度: ★★★☆☆ 3/5点
こういう映画がつくれるフェアさ。
レッドファミリー、昨年の東京国際映画祭で観客賞作品。良いという評判も聞いていましたし、タマフルで課題映画になったということで新宿武蔵野館へ。なかなかおもしろかったですよ~(・∀・)。
まずこの映画、製作・脚本がキム・ギドクなんですが、それがけっこう意外だったというか、キム・ギドクが書いたにしてはすごい普通にエンターテイメント作品だったなぁというか、割とお話がストレートだし、ちゃんと笑えたりお話として盛り上がりがあったり、あとけっこうストレートに泣かせに来るという。たしかにいびつなところはあるにはあるんですが、キム・ギドクが書いた脚本にしてはすっげぇ見やすくてちょっとビックリしたり。
この映画が豊かだなぁと思うのは、国が抱えているこういう割とハードな社会問題をちゃんとエンターテイメントとして映画にできる映画産業というかエンタメ産業の、フットワークの軽さとそれを受け入れることのできる土壌がちゃんとあるという、この懐の深さとリテラシー。これが今の日本にあるかなぁ…と考えちゃいますよねぇ。
ま、お話は幸せな暮らしを送っているかに見えるが実は北朝鮮工作員による擬似家族と、その隣人であるケンカの絶えない韓国人家族。対照的な2つの家族の交流をコミカルかつスリリングに描くことで、現在の朝鮮半島における問題を浮き彫りにしていくって感じのあらすじ(映画.comさんから拝借)。まぁよくあるスパイもののバレルかバレナイかサスペンスなんですが、これを北朝鮮工作員という設定を使ったというのがまぁやっぱフレッシュですよね。
北朝鮮側のキャラクターがみんなよく立ってましたね。女性陣よかったなぁ。特に娘役の女の子の凛としたたたずまいと美しい顔立ちにグッときました。こんな女の子が、あんなことをせざるを得ないなんて(´Д⊂ヽという悲しいシーンもあったり…。あと恋愛描写もよくてツンデレ具合がちょうどいいバランス。あえて言うと、あのいじめっ子をぶっ倒すシーンはちゃんと見せてほしかったなぁ。
北朝鮮家族
韓国側の家族は、奥さんのダメさが最低でおもしろかったです。ほんと最低の人間でした。
韓国家族
ただ、この映画、良くも悪くもなんですが、さすがにベタベタすぎるのがちょっと肌に合わなかったとこもあったり。わかりやすくするためというのもあるかとは思うんですが、さすがにわかりやすすぎるくらいキャラ造りが誇張されていたり、喜怒哀楽がすげぇ悪く言えば大げさだったり、ラスト周辺はすげぇ大味で、、なんというかテレビっぽかったんですよね。画面も含め。
キム・ギドクの脚本がどの程度生かされてこのバランスになったのかはわかりませんが、ギドクが撮ってたらまちがいなくもっと違った映画になっただろうなぁと思ったり。
まぁでも、こういう映画が成立しちゃう韓国ってすごいなぁと思いました。そこそこ楽しめましたよん。
おわり
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スタッフ
監督
イ・ジュヒョン
製作
キム・ドンフ
製作総指揮
キム・ギドク
原案
キム・ギドク
撮影
イ・チョニ
編集
キム・ギドク
音楽
チェ・イニョン
キャスト
キム・ユミ 妻役・班長/ベク・スンヘ
チョン・ウ 夫役/キム・ジェホン
ソン・ビョンホ 祖父役/チョ・ミョンシク
パク・ソヨン 娘役/オ・ミンジ
作品データ
原題 Red Family
製作年 2013年
製作国 韓国
配給 ギャガ
上映時間 100分
映倫区分 G