アナと雪の女王
3月14日(金) 10:30~ TOHOシネマズ六本木
3月20日(木) 14:40~ TOHOシネマズ日本橋
好き度: ★★★★★ 5/5点
時代は変わった。ありのままでいいのだ!
アナと雪の女王、ディズニー映画は全部見る主義の僕ですが今回はかなり期待してまして、アカデミー賞をとった「Let it go」が予告でフルで流れるのを観て、「ミュージカルシーンのないディズニー映画は論外派」の僕は鳥肌立ちまして。ここの多幸感だけで何度も見たいレベルのものだったので、超楽しみだったわけです。
で、この映画、とっても素晴らしかったです~!
僕のマイベストディズニー映画は「プリンセスと魔法のキス」ですが、それには及ばないものの近年のディズニー映画ではトップレベルで好きです。そして、この映画ただおもしろいだけじゃなくて、「ディズニー映画」としてすごく挑戦的なメッセージをもっていると思いましたし、やはりこの映画も今年のアカデミー賞またはグラミー賞の空気=今のアメリカの空気をとても周到したものだったように思います。
やっぱりミュージカルが素晴らしくって、ミュージカルシーンによって登場人物の心情がしっかりと入っていて、ミュージカルシーンも物語が停滞しない。それどころか、物語の中心にミュージカルがあるという、まさに俺たちのディズニーミュージカルでした。語られるべき心情は全部ミュージカルが語ってると思いますよ。サントラほしいなぁ。
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姉エルサと妹アナの物語。イルザはナチュラルボーン魔法使いで氷の魔法を持っています。その魔法がきっかけでアナを傷つけてしまいそれがきっかけでエルサは王室に閉じ込められ、なるだけ他人と触れないようにして育てられます。
Let it goクラスに大好きなこの曲でのミュージカルシーン。2人の不憫さとアナの可愛らしさにいきなり号泣メーン。鍵穴にむかって歌うところの可愛らしさそして不憫さですよね。
そして時は経ち両親が船の事故で死亡。王位継承がエルサに。ひっさびさにお城の扉が開かれ戴冠式が行われます。アナは久々に城の扉が開くということでウッキウキですが、エルサは自分の魔法を知られてはいけない…と違った意味でドキドキ。ここの対比をうまく表現したミュージカルも素晴らしかったですね。
2人の対比がすばらしい
この辺からこの氷の魔法は同性愛のメタファーなのかなぁと思ってきまして、そうだよね…と思ってたところに、アシパンのタマフルイベントではちごろうさんとアナと雪の女王のお話をしてたらそのことで意気投合しまして、やっぱりそうだよなぁと。そして最後にはそれを受け入れるアナという構図がこれもやっぱり今年のグラミーでありアカデミーであり、マイノリティを受け入れる姿勢は今のアメリカの空気にすごくマッチしたのでは、とすごく思いました。まぁ広く普遍的に取れる内容ですが、でも今回は意識的に同性愛者のメタファーによせてきたんじゃないかなぁと思います。直接的じゃないけど。X-MENのミュータントもそういう意味が込められているものですし、すごく象徴的かも。
王室のこどもというそういう考えが許されないであろう保守な環境で育つこどもなわけで、そりゃ王様である父親たちが隠すだろうし、成長することに肥大化していく感じもものすごくわかります。なーんてことを考えてるところに「Let it go」がきて、なんかいろんなことがまんま理解できる歌詞で、やっぱりそうなんだと思うと同時に、今まで抑制してきたアイデンティティを開放したこのシーンはほんとうに感動的だし、とてつもないカタルシスでした。
ちなみにアナの声をやってるクリスティン・ベルは同性婚が認められるまでパートナーと結婚しないと公言してたり、クリストフを演じるジョナサン・グロフはゲイだったり、この後に出てくる「夏に憧れる雪だるま」であるオラフというキャラクターもそういうことを考えるとすごく象徴的だなぁとか思ったり。これは2回目見たときに気づいたんですが山小屋の主人がいますが「My Family!」と言ってサウナに一瞬パンするんですがこのとき子供たちの中心にいる大人が男であれこれゲイのカップルなのかなぁとわかるシーンがさりげなくあったり、エンドロール後エルサがつくりだした雪の怪物がエルサが捨てたティファニーを頭につけてうっとりするというシーンがあったり、いろいろ忍ばせてるなぁと思ったり。
オラフとってもかわいかったです。プリンセスと魔法のキスの蛍のレイをちょっと思い出しました。
このテーマでディズニーが映画をとったことと、今のアメリカの空気をいちはやく感じ取ったということがやっぱさすがだし、だってこれちょっと前じゃありえないと思いますよ。そしてやっぱりこれも今年のグラミー、アカデミーの空気とマッチしてまして、賞をとったのも納得です。まぁそれに限ったことじゃなくもっと広い意味でもとれて、普遍的な内容でもあると思うし、子供が見てちゃんとおもしろい映画になってるのがやっぱ超すげぇと思います。
ラストもエルサを受け入れたアナという構図がものすごく感動的だし、愛の形はそれまでの保守的なものだけじゃないんだよというメッセージにもとれてすごく感動的でした。
ただ、不満もあって、「Let it go」のカタルシスがすごすぎて、ラストの、そんなエルサをアナが受け入れるという場面がすごーく大事なこと言ってる場面にもかかわらずちょっとさらっとしちゃってもうちょいタメというか、しっかりじっくりコテコテ演出してよかったんじゃないかなぁと。全体的にもっと尺を伸ばしてもよかったんじゃないかなぁと思います。あと、後に悪役となるハンスがちょっと単純悪すぎるのと取って付けた感があるのが残念でした。(ハンスに関してはこの記事が興味深かった!) 悪役もうちょいなんとかならなかったのかなぁ…どうせなら超差別野郎をわかりやすく置くとかしてベタの方が良かった気が。
良くできたすげぇ映画だし、実はすげぇことやってるんじゃないかしら。あと単純にディズニープリンセス映画が大好きでディズニーミュージカルが大好きなので、ひっさびさにど真ん中ストレートがきて超アガりました!
俺はもうね、アナちゃんが大好きでして、陽気さと優しさそして少しの愚かしさが最高でした。エルサもすごくよかった泣かされました。久々にミュージカルにカタルシスを置いたディズニー映画を観れて大満足です。
雪だるまが「夏が好きで憧れてる」って言っていい時代になったんだよ。
同時上映のミッキーのミニー救出大作戦もすばらしかったです!これはぜひ3Dでみてほしいなぁ。
おわり
マイベストディズニー。これもすげぇいろいろ挑戦的なことやってる!
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- スタッフ
- 監督
- クリス・バック
- ジェニファー・リー
- 製作
- ピーター・デル・ベッチョ
- 製作総指揮
- ジョン・ラセター
- 原案
- クリス・バック
- ジェニファー・リー
- シェーン・モリス
- 脚本
- クリス・バック
- ジェニファー・リー
- 音楽
- クリストフ・ベック
- 歌曲
- ロバート・ロペス
- クリステン・アンダーソン=ロペス
- キャスト
- クリステン・ベル アナ
- イディナ・メンゼル エルサ
- ジョナサン・グロフ クリストフ
- サンティノ・フォンタナ
- ジョシュ・ギャッド オラフ
- アラン・テュディック
- クリス・ウィリアムズ
- 神田沙也加 アナ(日本語吹き替え)
- 松たか子 エルサ(日本語吹き替え)
- ピエール瀧 オラフ(日本語吹き替え)
- 作品データ
- 原題 Frozen
- 製作年 2013年
- 製作国 アメリカ
- 配給 ディズニー
- 上映時間 102分
- 映倫区分 G
- 上映方式 2D/3D