マイナビ女子オープン本戦準々決勝第3局、中倉宏美VS西山朋佳の対局は、
116手で後手の西山朋佳が勝ち、準決勝に駒を進めました。準決勝では
上田初美と対局します。

先手中倉宏美、居飛車の出だしに、後手西山朋佳は角頭歩を突く作戦。
うかつに2筋歩の交換はできないと判断した先手は玉の囲いを優先しようと
玉を上げると、ここで後手は角交換から向かい飛車に振ります。
そのまま両者玉の囲いに入り、先手は矢倉、後手は美濃に囲います。

飛車がにらみ合ったまま、後手は守りを固めつつ中央に駒を集めます。
先手は7筋の歩を上げ、銀が前に出て、あえて金も上げていきます。
後手陣には角の打ち込む場所がないけれど、先手陣には下手をすると
角打ちも考えられる盤面となりました。

6五の地点が焦点になりそうな陣形で、先手は桂馬も上げて闘い開始を
目指しますが、後手は4筋の歩を突きだして飛車が4筋に回ります。
ゆっくりすれば後手からの攻撃が開始されるので、ここで先手から6筋の
歩の交換から歩の叩きで拠点を作り、桂馬が飛びだして攻めを継続させます。

しかしここで後手は4筋の守りの銀を釣り上げてからの角の打ち込みで
先手の攻めの要となっている桂馬を狙いますが、先手は先に
角の打ち込みで
馬を作ってから金を上げて桂馬を守りますが、先手の守り陣が薄くなった分
これが有効かどうかは疑問の所。後手も
馬を作った後に再び先手陣に
入り込んで、じわじわ攻めていく構えを見せます。

先手は桂馬の交換をいどんで、さらに桂打ちで後手の守りの銀をはずし、
金の前進で成り込んだ馬を活用しようとします。両者とも守り陣が薄くなった
ので、一歩間違えると一気に怪しくなる状況です。

先を読んだ後手はあえてこの誘いに乗って銀金交換に応じ、
先手は馬を
引きつけましたが、持ち駒からこの後の攻めが続きません。それを
見越して後手は馬の利きをはずして逆襲しようと狙います。

後手が打った馬当たりの歩に対し、先手は放置で金取りに出る手も
考えられましたが、寄せに結びつかずに角を取られるだけで後々不利に
なると考えられるので、先手はやむなく先に王手となる歩を打ちます。
これを金で取ってくれれば馬が助かる道ができるのですが、そうは
うまくはいきません。後手玉が先に逃げたので、以前馬取りが残ったまま。
馬が逃げれば要の桂馬が払われてしまいます。

やむをえない先手中倉宏美は金銀交換の桂馬を捨てて馬も6筋に歩の
成り込みで、後手の飛車当たりとした後、飛車を6筋に回して、この
飛車道を止められれば後手の飛車を取って攻めの継続をはかり、飛車に
逃げられれば飛車の成り込みを狙う手に出ます。しかしおそらくそれも
後手西山朋佳の読みの内。後手は飛車を釣り上げて馬が回って、詰めろ
飛車取りに出ます。おそらくこれが決定打となったのでしょう。

先手はぎりぎり粘りますが、後手が馬飛車交換から飛車打ちで攻めに
残している先手の持ち駒の金を使わせ、寄せがない状態に。後手は
じわじわと先手玉に迫る手に出ます。あきらめきれない先手は最後の
粘りの手として2枚の飛車両当たりの角打ちを放ちます。しかしこれが
最後のあだ花。余裕を持って詰めろの飛車成りに飛車を取っている
場合ではなく、受けますが、歩が利かない状態での角打ちの王手を
かわすことは不可能。投了へと追い込まれました。