リコー杯女流王座戦本戦準決勝第2局、里見香奈VS香川愛生の
対局は99手で先手の里見香奈が決勝に駒を進めました。
挑戦者決定戦は9月1日に西山朋佳と行うことが決定、
現奨励会三段どうしの対決となりました。

先手里見香奈、後手香川愛生、相懸かりの出だしに、後手が
角を3三に上げたところでいきなり先手は角交換。前例のない
始まりとなりました。
先手は2筋の歩を伸ばし、後手は四間飛車に移行し、3筋、4筋と
歩を伸ばすのに対し、先手は右銀を5七に上げて迎えます。
両者居玉のまま進行していきます。

先手はさらに角を打って後手の飛車が浮くのを阻止。これが
3三の桂馬をも狙っているので、後手は金銀を上げて2筋・3筋を
補強。両者膠着状態になったところで玉が移動。しかし先手が
6筋の歩を上げたところで後手は対抗して同じく6筋の歩を
上げると、その歩を狙って角が移動。後手はあわてて飛車を
6筋に回して守ります。

飛車が動いたので先手は5筋の歩を突き超して後手の金を上げ、
そこで2筋の歩を突きます。これを取れば十字飛車が決まるので、
後手は放置して攻撃に入ります。
4筋・6筋の歩を突き捨て、先手玉のこびんを開けてからの2筋の
歩を取って遠見の角。先手は銀を重ね、桂馬を飛ばして守りますが、
かまわずに叩きの歩。桂馬で取って頭が開いたので金が進出。
しかしこれは諸刃の剣。先手の桂成りが直接後手の飛車に当たり
ますが、後手は飛車を見捨てて銀取りに。

駒交換は、後手が銀2枚と桂馬を取ったのに対し、先手は飛車金を
取ったのでこの時点では互角かも。しかし先手からの飛車の
打ち込みが銀・角を奪う形に。銀張りで防ぐ後手に先手は角銀交換で
応じます。先手が駒得の形ながら、後手はここで一気に攻めようという
作戦で、攻めが決まれば良い物の、状況としてはどちらが有利か
不明な段階。

後手は桂打ちから先手玉に迫り、角打ちが決まりそうな形に
なりましたが、持ち駒が銀1枚となって攻めきるには若干駒不足。
どうしても攻めが途切れそうな状況で、手が止まれば先手からの
反撃が厳しくなりそう。

駒補充で攻めが途切れた合間に、先手里見香奈は後手玉に
詰めろをかけます。対する後手香川愛生は、自玉を守り抜くのは
無理と見て、一気の攻めを狙いますが、ここは無理筋。確実な
受けの前に攻めが無くなり、無念の投了となりました。

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リコー杯女流王座戦本戦準決勝 伊藤沙恵VS西山朋佳戦は、
92手で後手の西山朋佳が勝ち、決勝に駒を進めました。決勝では
里見香奈VS香川愛生の勝者と対戦します。

先手伊藤沙恵、3手目に端歩を突いて様子を見ます。対する
後手西山朋佳石田流三間飛車。先手は角を7七に上げると、
後手は角を1三に上げて中央からの攻めを見せます。
後手が3筋の歩を交換するタイミングで先手は向かい飛車に
移行。すぐさま8筋の歩を伸ばして歩の交換。直後に後手は
飛車を4段目に下げ、それから先手が傷になる3七に歩を
埋めます。両者金無双の構え。

後手はあくまで先手玉頭を目標に攻撃の構え。先手は飛車を
6筋に回して銀を押し出して責める構え。
先手が飛車角銀をそろえて6筋から5筋に攻めようとしますが、
後手は銀を5五に上げて攻防に利かせます。先後手とも
桂馬を上げますが、ここは後手の方が効果が高く、早くもここで
差がついたかも。

先手は銀交換で糸口をつかもうとしますが、後手はただちに
再び銀張りで攻めの態勢は維持したまま。飛車を飛びだたせ、
すぐに横に移動、先手の角をを狙いながら今にも成り込もうと
する勢いに先手は防戦一方。6五の地点にいる後手の桂馬が
効果十分で、先手の銀張りでの受けも、飛車角交換から銀が
先手陣に入り込み、一方的に先手陣形を乱していくと、もはや
風前の灯火。桂馬交換でもお代わりの桂馬を打たれて先手玉は
下がらざるをえず、決め手の角の打ち込みが、1三にある角の
効果でもはや受けきれず、一方的に寄せきられてしまいました。

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リコー杯女流王座戦準々決勝は、すでに香川愛生と伊藤沙恵が
勝ち上がっていますが、残り2局が行われ、
里見香奈VS貞升南戦は107手で先手の里見香奈が、
西山朋佳VS室田伊緒戦は105手で先手の西山朋佳が勝ち、
それぞれ準決勝に駒を進めました。

準決勝での組み合わせは、 香川VS見香貞升、伊藤VS西山と、
現奨励会員VS元奨励会員の図式となりました。


里見香奈VS貞升南戦
先手里見香奈、先手番ゴキゲン中飛車。後手貞升南は居飛車の
出だしから囲いを優先。先手が美濃に組むと後手は玉を3二に置き、
金銀3枚を横に並べます。
この状態からようやく後手が8筋を突き、先手は7七に角を上げ
そこを狙って後手は7筋から銀を上げ、角頭を狙う作戦に。
先手は7筋の歩成り捨てから歩の打ち込み。後手は飛車を7筋に
回して突入をはかります。

後手は歩の打ち込みで先手の飛車を8筋に移動させて、角が5五に出、
銀の進出を支える構え。先手は角を回して6六の地点を守ります。
さらに駒を足して6六を破りたい後手。先手は打ち込んだ歩が成って
攻めの拠点としたいところ、後手は手を戻してそうはさせじと守ります。

先手からの攻めが難しいところ、後手からはいろいろな手が見えて
逆に迷うところ。先手が角の利きを止めたけれども後手は6筋の
歩を伸ばして攻め決行。銀が前に出て突破目前。対する先手は
8筋の歩を伸ばしてなんとか眠っている飛車を攻めに使いたいところ。後手の攻めに先手は飛車交換でなんとか間に合わせようと
しました。

3筋の攻防は後手が金得となりましらが、お互いの角が使えない状況で、
成り駒が多い先手が攻めの継続としては有利かもしれず、終盤戦に入り、
どちらが相手の玉に早く到達するかの争いになりました。
後手は先手玉のこびんの位置に角を移動。玉角両当たりの桂打ちが
決まると先手玉は一気に寄るので先手は角を後手玉に狙いを合わせて
移動させます。後手はとりあえず先手の飛車角を危険地帯から
遠ざけますが、下がった先手角が、これもまた後手玉の逃げ道封鎖に
役立つ場所。

ここで後手貞升南は端攻撃を開始。しかしこれはまだ駒不足。
先手里見香奈は目障りな後手角をこびんから追い払いますが、
結果的にはここが勝敗の分かれ目だったのか。
攻めが途切れた後手はここから防戦一方に。対する先手は飛車を
逃がしながら奪った香車を2筋に貼り付け、後手の守りは一気に手薄に。左右挟撃態勢が見事に決まって、中盤優勢だった後手は
知らぬ間に追い詰められることに。終盤力の違いがここに来て
はっきり現れ、後手玉はあっというまに寄せきられてしまいました。


西山朋佳VS室田伊緒戦
先手西山朋佳、後手室田伊緒、相三間飛車で22手まで先後まったく
同じ動きで飛車を4段目に上げ、金無双に構えますが、先手が角を
7七に上げたところでようやく後手は端歩をついて別の流れに。
ここで後手から角交換。後手は金銀を横一列に並べて4筋を狙う
構えに対し、先手は銀を5七に上げて4筋を守ります。
かまわず後手は4筋を突き、銀上がりで飛車の横利きが
止まったのを見て2筋で歩の交換。陣形は乱れた物の、2枚の銀が
2筋を守ります。

いったん飛車を自陣に戻した後手に対し、先手は角打ちで飛車先を
破ろうと狙います。飛車を回して2筋から飛車を攻めようとする先手に
後手はぎりぎりの受け。さらには隙が出来た8八に角を打ち込んで
角成りを狙います。さらには2筋に伸びている歩を使って、先手玉頭
からの攻め。対する先手は最小の受けで防いだ後、いよいよ後手の
飛車側から銀成りでの銀金交換から飛車の成り込み。後手玉に
じわじわと迫ります。

後手室田伊緒はなんとか交わしながら、飛車を攻めの場所に移動
させますが、自陣は火のついた状態。とても攻めを決行する余裕は
ありません。詰みを読み切ったか、先手西山朋佳は一気の攻め。
着実に攻める先手にもはやこれまで。終わってみれば一方的に
寄せられたかっこうになってしまいました。

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リコー杯女流王座戦2回戦が2局行われ、香川愛生、伊藤沙恵が
準々決勝に駒を進めると共に、次期シード権を手に入れました。


伊藤沙恵VS室谷由紀戦は93手で先手の伊藤沙恵が快勝しました。

93年組3名が顔をそろえた本日、直接対決となったこの対局。
先手伊藤沙恵、3手目に9六歩。後手室谷由紀が合わせます。
その後先手向かい飛車、後手三間飛車の相振り飛車。後手が
早々と3筋の歩の交換。飛車を4段目に引きます。対する先手も
8筋で歩の交換。飛車を5段目に引いて後手からの駒のぶつけに
備えます。

先手は傷を埋めての矢倉。後手は美濃。先手が当初の目標通りに
端攻めに出ます。香車を交換し、中央を制して後手の飛車を
下げさせて角が前進。後手は受けながらも先手の飛車狙いに
金を移動。先手はすかさず飛車を下げます。

先手は角成り込みを狙う中央から銀狙いの香車打ち。後手は構わず
飛車狙いの香車打ち。先手は飛車は逃げずに銀取りに。さすがに
続かれると危ないと見た後手は受けますが、そこで先手は飛車を
6筋に回して一気に攻め込む構え。

防戦一方の後手は角取りに歩を打ちますが、先手は後手守りの
金銀両当たりの銀打ち。駒割的には駒得となった後手ですが、
銀に入り込まれ、自駒の飛車角がまったく活用できていない分、
戦局はあきらかに先手有利に展開されていきます。

後手室谷由紀は先手の飛車取りを狙っていきますが、先手
伊藤沙恵は飛車はもう用なしとこれを無視。小駒だけで後手玉を
寄せて行く構え。
結局は上部脱出を阻止。上下からの挟み撃ちで後手玉を押さえ
込んだ先手の快勝となりました。室谷由紀は先月までの快進撃が
嘘のように現在絶不調に落ち込んでいます。早い立ち直りが
望まれます。


中澤沙耶VS香川愛生戦は72手で後手の香川愛生が結果的には
快勝しました。

先手中澤沙耶、後手香川愛生、相居飛車の出だしに、お互い角を
3段目に上げての睨み合いから、先手が中飛車に移行し、銀を
繰り出して5五の位を奪います。そこで後手も飛車を5筋に移動。
相中飛車で飛車角共ににらみ合う形となりました。

その後玉の移動で後手は美濃、先手は矢倉模様となり、中央の
攻め合いはやや先手有利に進むも、後手が繰り出した桂馬が
上手くいくと両当たりに飛び出しそうな気配で、先手は手が進め
られず、その間に、後手は飛車を8筋に戻して、8筋の守りが
薄くなったところで攻め込み、飛車が押し寄せます。
対する先手も銀を相手陣に打ち込み、今にも襲いかかる態勢で、
両者の言い分が五分に渡り合います。

まだまだこれから長い戦いが続くと思われた戦いは、あっけない
幕切れに。
後手香川愛生が垂らした歩が先手玉の逃げ道を封鎖。持ち駒が
なくなった先手中澤沙耶にはうまい受けが見つからず、飛車を
止めるのが精一杯。そこで5筋に回った後手飛車が急転直下
先手玉の息の根を止めることに。角タダ当たりとなったために
王手で角を逃がしますが、角で受けられて角交換やむなし。
そこで手に入った角を後手が玉の腹に打ち込んでゲームセット。
終わってみれば中央の攻防でうまく桂馬を飛ばして先手の
攻撃を止め、しかも飛車回りで活路を開いた後手の大局観が
物を言った戦いでした。


リコー杯女流王座戦本戦1回戦、残り5対局が一斉に行われ、
上田初美VS香川愛生戦は90手で後手の香川愛生が勝ち、
西山朋佳VS中村真梨花戦は101手で先手の西山朋佳が勝ち、
伊藤沙恵VS里見咲紀戦は101手で先手の伊藤沙恵が勝ち、
山口恵梨子VS貞升南戦は56手で後手の貞升南が勝ち、
里見香奈VS山根ことみ戦は113手で先手の里見香奈が勝ち
それぞれ2回戦に駒を進めました。

これで1回戦の対局はすべて終了し、2回戦準々決勝は、
香川愛生VS中澤沙耶、西山朋佳VS室田伊緒、
伊藤沙恵VS室谷由紀、貞升南VS里見香奈で行われます。


上田初美VS香川愛生戦。

先手上田初美四間飛車美濃、後手香川愛生向かい飛車美濃。
先手が左銀を中央に繰り出すと、後手は2筋玉頭の歩の交換。
そのまま先手は銀冠に。後手が金銀3枚を3段目に上げたので、
先手は向かい飛車に振り直して、こちらも玉の正面攻撃。

先手からの攻めが難しい中、攻撃は後手から。金を上げての
2筋攻撃から、チャンスと見ての角交換。先手は2筋にある
飛車を釣り上げて止めようとしますが、これを軽く4筋に回す
ことで攻めの継続。逆に守りの銀を釣り上げることで2筋に
貼った垂れ歩が取れなくて先手玉危うし。

後手香川愛生は打ち込んだ角が効果的に働き。先手上田初美は
防戦一方。落ち着いた差し回しで後手玉は無傷のまま、先手玉は
寄せきられてしまいました。


西山朋佳VS中村真梨花戦。

先手西山朋佳三間飛車美濃、後手中村真梨花三間飛車金無双。
互いに飛車を4段目に上げ、後手は飛車を8筋に転換、さらに
角を左右に移動させてゆさぶりをかけ、先手が後手の飛車を
捕らえると、後手は角捨てで飛車を生かして成り込みを狙いますが、
先手は7筋玉の正面に置いた飛車を使って攻め込みます。

先手西山朋佳の猛攻で7筋が敗れそう。後手中村真梨花は
端の攻防で得た香車で田楽刺しを待ちますが、先手は挟撃
態勢から飛車を切っての一気の寄せ。これが見事に決まって
後手玉は寄せきられました。


伊藤沙恵VS里見咲紀戦。

先手伊藤沙恵居飛車銀冠に後手里見咲紀三間飛車美濃。
先手が2筋の歩を突いて後手の飛車をおびき寄せると、銀を
上げて飛車を狙う構え。ここで飛車交換要求から、後手が
いち早く飛車を打ち込み、飛車角が先手陣に襲いかかります。

先手は銀で飛車角を追いますが、後手は竜角交換で先手玉の
こびんを開けますが、先手はとりあえず銀角交換で急な寄せは
阻止。すぐには攻撃再開はないと読んでの飛車の打ち込みで
後手玉陣を揺さぶります。
後手は攻防の角打ちに先手は2枚飛車。後手は金を引きつけ
守りを完璧にしますが、先手はさらに角打ちで大駒3枚で一気に
寄せようとします。

先手伊藤沙恵は角切りからの一気の攻めを目指します。覚悟
を決めた後手里見咲紀はまだ間に合うと一気の攻め。しかし
詰めろをかけてもそこは読み筋。先手は王手をかけながら
詰めろをはずしていきます。
しかしなお厳しく迫る後手。ぎりぎり逃げ切りを図りながら
先手玉を追い詰めようとします。

しかし最終的に寄せきれないと読んだ後手は受けに回りますが、
これが結果的には敗着となり、攻めを続けていればまだ
難しい状況でしたが、受けるには遅すぎて、包むような先手の
寄せに屈しました。


山口恵梨子VS貞升南戦。

先手山口恵梨子後手貞升南相居飛車の出だしから、後手は
一手損角替わりに。先手は銀2枚を上げ、銀交換から先手は
5三に銀の成り込み。後手は銀を取った歩が6七に成り込んで
早くも終盤模様。

派手な駒交換で先手は飛車・金を取ってと金が後手玉側
3二に迫れども、後手も飛車角銀を奪って、と金と馬が先手陣に
成り込んでいる状態。この段階で先手玉に詰めろがかかって
いる模様だが、先手は飛車の打ち込みで王手をかけてと金を
払いますが、竜取りに歩を打ち、逃げる竜に詰めろ竜取りの
角打ち。

いったん後手玉に王手をかけて竜角交換しますが、取っての
歩成りがまたまた詰めろ。自玉の詰みを読み切れなかった
先手山口恵梨子は後手玉に詰めろをかけますが、後手貞升南は
落ち着いて先手玉を寄せきりました。


里見香奈VS山根ことみ戦。

先手里見香奈ゴキゲン中飛車矢倉に後手山根ことみ中飛車美濃。
両者がっちりとした守りの態勢で歩の交換以外のぶつかりが
ありません。後手は5八に歩を打ち込んで2四に上げた角が
成り込むタイミングをはかりますが、先手も8六に上げた角が、
タイミングを計って3一に成り込みますが、後が続きません。

中央から攻撃を仕掛ける後手。先手はじっと防戦一方ながら
後手の攻めが切れるのを待って、おもむろに馬飛車交換から
飛車を打ち込んで反撃しますが、まだまだ後手は攻めを
あきらめてはいません。飛車角交換で打開しようとしますが、
先手の守り陣はますます固くなる一方。

後手山根ことみも先手の守り陣をはがしにかかりますが、
受けには定評のある先手里見香奈の前には歯が立たず、
駒をはがした物の。持ち駒を使い切ってしまい、急遽守りを
固めますが、
時既に遅し。十分な駒を持った先手は守りを
固めた玉の横を相手にはせず、端攻撃で一気に寄せきりました。