里見香奈女流王位が先勝した、女流王位戦五番勝負第2局は、
115手で先手の里見香奈が勝ち、2連勝で防衛に王手をかけました。

オールラウンダーを目指す先手里見香奈、居飛車の出だしに、後手
岩根忍は中飛車で対抗。お互いの角を3段目に上げて、後手が美濃に
囲い、先手は左美濃か穴熊に移行中に9筋の端のつき合い、そして
5筋で歩がぶつかり合いました。先手は金銀で中央を守り、後手は左銀が
6四に上がって中央攻撃を示し、先手は交換した歩を打って阻止。
後手の銀がいったん6四に戻ったので、先手は左美濃に落ち着きます。

ここから両者玉側7~9筋の歩を上げて睨み合い。先手は右側に唯一
残っている飛車を使おうとこちら側の歩も上げていき、後手は香車を
一つあげて態勢作り。さらに飛車を3筋に回して向かい合います。
先手も角が移動。一転2筋が激突する構えとなります。

後手は桂馬を飛ばして2筋攻撃の構えなら、先手はそれをあえて無視。
後手の飛車が利かない4筋6筋を攻撃目標に転じます。こうなると
今度は2筋でついた後手の歩が重く、飛車が活用しづらい状況。
自由度の利く先手の飛車がどう動くのかがこれからの鍵になりそう。

先手は6~8筋の歩をぶつけて後手の反応待ち。角が上がって後手玉の
こびんをも狙います。さらに後手の飛車角を左に釘付けするの役目が
終了した飛車も6筋に移動。一気の攻めが始まる気配。優位が拡大します。

後手は遊び駒になってしまった飛車を、動かせる位置に移動させるのに
精一杯。その間、先手が先に攻撃を開始します。玉の守りの銀が
1枚こびんから移動。ここではさらに金狙いの歩が進出して後手玉の
こびんが手薄になる順が予想されましたが、先手里見はそれ以上に
厳しい、後手玉頭に歩を打ち付け、先手の攻め駒がさらに活躍する
順を見せてきました。

銀交換の後、後手岩根は顔面受けしか有効な手段はなく、見る間に
後手の守り陣は崩壊。後手玉は8筋に先手の押さえの歩を取る
こともできずに撤退を余儀なくされ、無傷の先手にはまだ飛車が
出番を今か今かと待ち構えており、駒の働きの差がはっきりと
現れています。

なんとか一矢を報いたい後手岩根は、歩の連打と銀打ちで後手飛車を
攻めようとしますが、先手里見は、飛車が攻められる先に攻撃。
先に飛車を前進させることで活用させる手を見つけ出しました。

飛車を取り損ねた後手には、もはや先手玉に迫りながら後手玉への
攻撃をかわすすべはなく、ミスを誘う手にも冷静に受けられては
万事休す。数手のだめ出しの後、投了に追い込まれました。

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加藤桃子女王が防衛に王手をかけた、マイナビ女子オープン五番勝負
第4局は、93手で先手の加登桃子が勝ち、対戦成績を3勝1敗とし、
マイナビ女子オープン初の三連覇を達成しました。

先手加藤桃子居飛車の出だしに、後手室谷由紀はいったん飛車を
4筋に振った後、3筋の歩を伸ばして3筋に飛車を振り直す一手パスを行い、飛車を4段目に上げます。そこで先手は石田流に組ませない
ために角交換。後手は金で2筋を守ってから銀を3三に上げて先手の
飛車先に伸ばした2四地点を守ります。

お互いの玉は飛車と反対側に。先手は矢倉模様、後手は美濃。
先手が1筋の歩を伸ばすとここで後手から2筋の歩をぶつけます。
ここは先手からは取らずに後手から歩の交換。自然と先手が1歩
手持ちに。
後手は2三に歩を打って飛車先を止めます。

先手は7筋の歩を上げて後手玉のこびんを開けていきます。対する
後手は3筋の歩をついて歩の交換で飛車が前進。先手の飛車を釣り上げたので、裏に回って成り込もうという作戦か。
構わず先手は9筋の端攻め。2枚の歩を使って香車を釣り上げて
角打ち。さらには飛車を中央に回して成り込む構えですが、それほど
影響は少ないと見た後手は予定通り飛車を2筋に回して成り込みます。

先手は桂馬だけは逃がしますが、成り込んだ飛車当てに後手の角打ちが
桂馬取りに。後手は竜馬を作って横からの攻め。先手は角で香車を
取りましたが、後手玉に迫る手は難しそうです。

後手は歩を打ち込んでと金で迫ろうとします。先手も歩を打ち込んで
桂取りに。さらに後手玉頭に香車を打って一気に優位を築こうと
します。

ここで後手室谷由紀は馬を引いて守りにつかせ、その間先手加藤桃子は
2筋でできたと金が桂香を補充。後手が竜当てに桂馬を張ると先手は
竜を5三に入り込ませて玉の逃げ道を封鎖。しかも竜取りに打った
桂馬が自ら後手玉の壁となり、さらには先手が馬取りに打った桂馬に、
後手は馬を元の場所に戻す始末。この数手で後手の配置は
変わらないままなのに、先手は桂馬と竜の2手得したことになって、
この2手パスがこの後に響くことに。

後手は先手玉に迫ろうとしますが、寄せるには数手かかる模様。
その間に先手は攻め駒がすべて好位置にあって一斉攻撃。
先手玉は逃げ道も広がり、対する後手玉は完全包囲されて
もはや受けようがなくてここで投了。加藤桃子の逆転勝利と
なりました。

4局すべて終盤入り口まで挑戦者室谷由紀が押していたにもかかわらず、
経験不足から来たのか、ちょっとした綻びを逃さずに逆転に結びつけ、
3勝をもぎとった女王の終盤力は見事な物でした。
敗れたと言えども力の差はないどころか、優性に進めていった
室谷由紀も、この経験をいかして、いつかはタイトル奪取するのも
夢ではないでしょう。



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里見香奈女流王位に岩根忍女流三段が挑戦する第27期女流王位戦
五番勝負第1局は、 96手で後手の里見香奈が先勝しました。

振り駒の結果先手岩根忍、後手里見香奈、共に角道を開けた後、
4手目で早くも後手から角交換。これにはちょっと驚いた先手ですが、
飛車を回して石田流三間飛車。対する後手は居飛車で迎えます。

囲いは先手が美濃、後手は金無双。後手が早々と銀を5五に繰り出すと、先手は飛車を守りに4筋に移動させますが、後手が角を3四に
張ったので、成り込み阻止に8八へと再び移動。後手は左銀も前に
繰り出して中央突破をはかる構え。そこでやむなく先手も守りに角を
張ったので、ここは不満なしと上げた2枚の銀をいったん退けます。

陣形は後手が金銀4枚と角でしっかりとした囲い。先手は金銀3枚の
美濃で、銀角が前に出て戦いを仕掛けようという構え。先手の攻めに
後手はカウンターを狙うという作戦か。先手陣内に潜り込めれば後手にも
攻めのきっかけができようというところ。

手番は後手ながらもカウンター待ちの後手としては一手パスの端歩つき。手を渡された先手はとりあえず飛車先の歩を角で取りますが、
隙の出来たところで後手も角を上げての歩取り。これで持ち歩が2枚の
後手は端からも、飛車先からも攻めの幅が出来て、戦いやすくなって
きました。

先手は6筋の歩を交換。8筋の歩を自ら上げて後手からの飛車の
突入を誘います。ここは誘いに乗って先手飛車頭に歩を貼って
後手は飛車の前進。先手は飛車が6筋に回って6筋からの突入狙い。角も上げて角成りが果たせる場所に移動しました。

角成りやむなしと、後手はと金作りを優先。先手は飛車道を通しながら、
後手角に当てる銀引き。ここで後手は角切りを決行。美濃囲いの一端が
崩れた後、後手はじっくりとと金を寄せる手に。
先手は予定通り、角成りから飛車の前進。歩で阻止する後手に先手は
馬を捨ててでも飛車成りを決行しようと。しかし後手は馬は相手にせず
あくまで飛車の阻止を重視。後手からの無理矢理の馬捨てから角打ちで
攻めを継続しようとするも、後手は先手の飛車取りを優先。後手は角成りで
後手陣の囲いを崩しましたが、一気の寄せはないと読んでいるのか、
後手は攻めの継続をはかります。

持ち駒は後手が大駒3枚と銀桂。対する先手は馬と金2枚。先手は
金銀3枚の守りで後手龍の横の攻めを防ごうとしますが、冷静な後手は
香車を奪って着実に攻めを継続していきます。
後手は底歩を張って横利きを止めますが、後手は先手玉を上段に
上げての龍切りから桂馬打ちで玉を押さえ込みます。

後手里見香奈の確実な攻めは、即詰みはなくても必至をかければ
十分。対する先手岩根忍には後手玉を寄せきる手もなく、すぐ近くまで
迫りながらも後が続かず、やむをえずの投了となりました。

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加藤桃子女王、挑戦者室谷由紀女流二段、1勝1敗のタイで迎えた
マイナビ女子オープン五番勝負第3局は、114手で後手の
が勝ち、対戦成績を2勝1敗、防衛まであと1勝の王手を
かけました。

先手室谷由紀振り飛車、後手加藤桃子居飛車の対抗形。後手が
飛車先を伸ばしたので、先手は角を7七に上げて向かい飛車に
振ります。
互いの玉を移動させ、銀が双方中央3段に上げた後、後手から
角交換。互いの銀が4段目に上がり、先手は飛車を下げた後
中央に振り直し。空いた8筋に後手はつっかかり、角を打ち込んで
飛車成りをはたします。

対する先手は桂馬を飛ばして中央攻撃。桂銀交換からこちらも
飛車成り。後手は角が成った馬を飛車に当てますが、ここは歩で
遮り、さらに龍先に歩を打たれても、打ち込んだ銀で金を奪うと
龍取りは後回しで尻に火の付いた部分をとりあえず消します。
丁寧に処置をされると先手も無理攻撃はできず、いったん龍を
下げます。

後手が離れ駒の金を引きつけると先手は桂馬先に歩を打って
奪おうという所。後手は龍を引いて金取りと桂馬を取ったと金を
狙いますが、先手が金を引きつけたので、と金の消去。攻めに
使おうとしていた龍が下がってしまったので、後手としては攻めの
迫力不足。依然として先手の手番が続きます。

先手は龍先に歩を張り、取れば龍当てに打つ予定の角が攻撃にも
使えるところ。やむなく後手は龍を交わしますが、これで龍が使い
づらくなったので、先手は角を打ち込んでの攻めの継続。
後手は狙われている龍の逃げ道を作って3筋に移動。先手は龍が
8筋に回って、と金作りと共に相手陣に攻め込む構え。
先手からの横の攻めが早いか、後手が3筋に回した龍を使っての
3筋攻撃の方が早いのかの勝負となりました。

後手は歩を貼って龍の横利きを止めますが、先手は落ち着いて
香車を取って駒得に。後手が香車を追加して3筋攻撃を目指すと、
先手は2筋に香車を貼ってさらなる桂馬の追加に備えます。
ここで後手は戦線から離れていた馬も攻撃に参加。先手は対応に
困ってしまいます。やや先手変調か。

後手は5四から桂馬を張って先手の桂馬との交換を要求。先手は
銀を犠牲に後手の馬を戦線から遠ざけ、角成りと龍が後手玉
狙い筋に移動します。しかしまだ寄せきる順はないと読んだ後手は
一気の攻めを敢行。先手の守り陣を崩した後に要の桂馬を張って、
駒さえあれば寄せが完成まで。

ここで先手室谷由紀も後手の守り駒である龍頭を攻めますが、
金を渡すことになる危うい指し手に。金が入れば自玉が詰むので、
ここは読み切っていないとできないわざ。大胆な攻めに後手
加藤桃子も慎重に受けていきます。
しかし実は読めていなかったというのが正確なところ。無理筋は
暴走だったようで、攻めが切れた先手はここで投了となりました。

終盤まで優勢だった先手でしたが、攻め駒がそっぽを向いてしまう
流れで自滅気味に進み、対して後手はそっぽを向いていた駒が
すべて戦いに参加していくという理想的流れで勝利を呼び込みました。
ここまで3局ともすべて後手勝ちという結果。次局がどうなるのか
楽しみでもあります。



加藤桃子女王の先勝で幕を開けたマイナビ女子オープン五番勝負第2局は、

104手で後手の室谷由紀が勝ち、対戦成績を1勝1敗のタイとしました。


先手加藤桃子居飛車に対し、後手室谷由紀は角道を止める中飛車に出ます。

囲いは先手がイビ穴模様(実際には潜るチャンスはありませんでしたが)、

後手が美濃。6筋で銀が上がってにらみ合うと、後手は飛車を4筋に替え、

対する先手は飛車を浮かせて4六を守ります。そこで後手が角を上げて飛車に

当てると先手は飛車を3六に。この飛車を狙って後手は飛車を3筋に移動。

先手飛車を目標にします。


先手は2筋の歩を突き捨てた後、後手角の頭の歩の交換で飛車が4筋に回り、

後手も飛車を回して受け、先手飛車は下段に落ち、後手からの叩きの歩に

2筋に回って突き捨てた2筋からの突入狙い。

いったんは角を引いて受ける後手ですが、先手が6六の銀を引いて角交換からの

飛車成り込みを狙ったのに対し、後手から角交換。桂馬をあげて先手の突入に

対して飛車をぶつける構えに。


先手はここで角打ちで揺さぶりをかけ、歩の打ち合い、角の打ち合い等激しい

駆け引きでお互い一歩も譲らない構え。どちらが先に相手陣に拠点を作れるかが

中盤の鍵となりました。


後手は歩の成り込みから銀との股間からの桂馬の成り込み。その間に先手は

香車を奪っての角の成り込み。先手は成桂の紐についている飛車を遮っての

成桂取りに行きますが、後手は飛車を下段に下げての馬取り。ただしこれは

先手からの飛車の成り込みが後手飛車に当たる想定内の織り込み済み。


しかし嫌な順があったのか、馬を取られる順を避けて飛車成りとする先手に

後手は角成りで取られそうだった成桂にひもをつけました。

飛車が使えた上に拠点までできた後手に対して、先手は馬の自由がなくなった

ために形勢に差が付いたかも。


先手は馬の活用を目指して後手の浮き駒の金に当てますが、後手は成桂で

銀を奪った後飛車馬交換。先手が一手損した形になりました。

後手は攻防の角打ちから一気に先手陣を崩す構え。必死で受ける先手、と状況は

1局目と似たような進行になります。攻めている室谷は今度こそ攻め損ないを

しないで寄せきりたいところでしょう。


2枚角を有効に攻めに活用する後手室谷由紀。対して飛車を手にしながらも

有効な守り駒を持たない先手加藤桃子は必死の守り。前局のように脅威の

粘りで持ちこたえられるか。後手は馬が先手陣奥に入り込み、角馬銀の

3枚で金銀香の先手の守り陣に襲いかかります。


数では対応できないと見た加藤は玉の早逃げ。しかし室谷はさらに駒を足して

確実な寄せを狙います。進退窮まった加藤は形作りにと攻めの飛車打ち。

しかしこれは詰めろにはなっていないため、室谷が間違えない限り、詰めろを

かけていけば先手玉を仕留められます。

先手の攻めが詰めろではないと読み切った後手は王手ではなく詰めろを

かけます。この慎重さが前局でも欲しかったところ。イベントでは室谷の方が

加藤に連勝しているとか。落ち着いた差し回しでタイトル戦初勝利を得ました。