日露戦争の最終局面であり、バルチック艦隊を破る大勝利を収めた日本海海戦。この作戦を立案したのが「坂の上の雲」の主人公として知られる秋山真之です。「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」の名文もさることながら、秋山の研ぎ澄まされた戦術によって、日本は危機から救われたと言っても過言ではありません。
 
 秋山の力の源は、型破りな気質や寝食も忘れるほどの戦術への熱意でした。特に米国留学時に、海戦の権威マハン大佐に師事したことで、戦術とは教わるものでなく、古今東西の戦史から、独自の原理原則を構築していくことを学びます。それが臨機応変な作戦立案を生み出しました。
 
 日本海海戦では、「七段構えの戦法」と呼ばれる周到な迎撃作戦を練りつつも、当時の海戦の常識から外れた丁字戦法を採用します。一見すると無謀な戦法のようですが、実は敵艦隊の十分な分析や自艦隊の力量を見極めた、合理的で奥の深い作戦でした。
 
 また、軍という硬直しがちな組織で秋山の型破りな能力を活かし切った東郷平八郎の存在が欠かせません。東郷は秋山を「智謀湧くが如し」と高く評価し、東郷は大局的な決断、秋山は作戦立案の面で最高の力を発揮しました。翻って、今の日本の行政は常識や前例に凝り固まっている気がしてなりません。出でよ、平成の秋山真之!

(『いどばた稲毛』2012年6月号掲載)


千葉から、日本維新! 日本維新の会・田沼たかしの挑戦-秋山真之(写真の出典:Wikipedia)