前回の投稿 を受けて、ニューフルハーモニー千葉(NPOC)の楽団員の方からメールを頂きました。

田沼の返事も合わせて、そのやりとりを、以下引用します。



(楽員の方から)============

田沼様

はじめまして。私はニューフィル千葉の組合で委員長をしているAと申します。オケではXXXを演奏しております。貴ブログにてNPOC問題を取り上げて下さっていると聞き、早速拝見致しました。

非常に的確な視点から今回の問題について論じて下さっており、感謝致します。拝読しました上で、私の考えるところをお伝えしたいと思いメールを差し上げました。

田沼様のおっしゃる、「自立経営のために時間と人材をくれ」ということは、実は今回の財政危機が伝えられて以来組合が一貫して主張してきたことです。

NPOCが財政困難に陥った原因の大きな点は、千葉日報にも報じられていたように音楽鑑賞教室をはじめとする公演数の減少にあります。組合としては、少子化が叫ばれている近年、音楽鑑賞教室に大きく依存する経営方針では成り立たなくなるため、オケ
として自立できる規模の楽員数の増員や事務局体制の充実などを長年主張してきましたが、これに対する抜本的改善は何もなされないまま現在を迎えてしまいました。

財団の経営トップにあたる常務理事と事務局長は県からの派遣人事であり、わずか2~3年で交代してしまうことがオケの将来像を描く上で障害になっていることは明白で、ここに民間などから優秀な音楽事業経営のプロを求めることは組合として既に知事や県議会各派、県の文化振興課などにも訴えているところです。

また、私共もNPOCの現状を良しとしているのではなく、さらに県民に愛され、誇りとなるためにもあらゆる面での改革を訴えている最中ですが、現在県及び財団から求められている「改革」は人件費のカットや雇用形態の変更であり、そこにより良いオケとして成長させるための道筋が見えていないことについて大きな疑問を感じているのです。より魅力あるオケのためには楽員数の増員、音楽監督の招聘、事務局体制の確立など考えるべき課題は多くあるにもかかわらず、「とりあえず経営が大変だから人件費圧縮」ということが「改革」の名の下に行われることは納得がいかないのです。

団が債務超過に陥り経営破綻することは避けなければなりません。何よりも、私共楽員は音楽を愛し、その魅力を少しでも多くの聴衆と分かち合いたいと思ってステージに立っていますし、そのためにはこのオケを存続させるだけではなく、さらに充実させるべく努力を惜しまない決意です。今後ともニューフィル千葉をどうぞよろしくお願い申し上げます。12/9には船橋で、12/16には館山で、12/17には習志野で、12/24には佐倉で公演があります。ご都合のつく演奏会には是非足を運んでいただきたく思います。

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(田沼の返事)============

A様

田沼隆志です。
ご丁寧なメール、本当にありがとうございます!


A様の文面から、また少し実態が見えてきたように感じます。おっしゃられることのほとんど、その通りと思います。
「抜本的改善」がなされていなかったことにもちろん問題があるのでしょうが、それを放置した財団の経営責任も見逃せないと思います。
そして財団の提案が「単なる人件費圧縮である」というご意見も、確かにその通りに感じます。戦略性、長期ビジョンを感じさせませんね。

もう少し、財団の提案を具体的にすること、すなわち組合側が受け容れられるものにまで、お互いの知恵で練り上げることが、いまは重要に感じます。
そのためにも、お互いの信頼関係が必要と思います。
そして特に両者を統括するリーダーか責任者のような方、そういった方が、しっかり改革案練り上げプロジェクトと実行を、責任を持ってバックアップすることが、同じくらい重要です。そうでなければ空中分解や不毛な押し付け合いになりかねないと予測します。


私も未熟で非力な存在ですが、できる限り存続を応援したいと思います。公演にも、都合がつけば参ります。
どうぞ今後も、ご健闘を祈念いたします。またぜひご連絡頂ければ幸甚です。


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(楽員の方から)============

田沼隆志様

ニューフィル千葉のAです。ご返信いただきありがとうございました!



私たちの主張がまだ表に出る機会が多くないため、ことによっては現在の問題も単純に「楽員=組合がごねている」という図式にとられてしまうこともあるのですが、決してそのようなことではなく、オーケストラを愛する者たちの集団として存続のために筋の通った主張をしたい、と常日頃から考えております。



> もう少し、財団の提案を具体的にすること、すなわち組合側が受け容れられるものにま
> で、お互いの知恵で練り上げることが、いまは重要に感じます。

その通りですね。まさにこの状態まで話を具体化すべく、ギリギリの交渉が続いています。なんとかこのオーケストラが続くためにも努力致しますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


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田沼は経営コンサルタントでしたし、チラシにも「民間最前線のノウハウで行財政改革をします!」と書いていますが、

改革に近道はありません。


敢えて言えば、近道はないのを知っていること、その中でどこが要諦となるかを知っていること、あとは改革への情熱を持っていること、

それが民間最前線のノウハウとも言えます。



県の対応には、その意味で、

・近道で改革をしようとしている(単なるコストカット)ように見える

・改革をするために、汗を一緒にかく決意、情熱が、感じられない

と思われます。



依然、仮説のままですが、県側、NPOC側、双方の、

音楽への愛着と情熱、そしてそのために努力する誠意を、期待しています。




#なお、上の「音楽」が、そのまま「千葉」に変わっても、同じです。千葉を愛するがゆえに、千葉を放っておけないという想い、改革への誠意が生まれます。

すべての政治家は、郷土愛を持つべきだという私の信念は、ここにあります。