晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


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先週土曜日5月24日、
春の阪俗研セミナーの民俗学概論Ⅱが終了しました。
参加者は11名でした。


参加者からのレポートが届かなくて
井東一太郎会員にお願いしましたところ
早速、戴きましたので
まずは紹介します。

●民俗学は過去から現在に
 つながっているだけに理論的な解釈がしにくい,
 あることを見ても
 個人の思想が入り込んでの解釈になるので,
 定見がみえないのではないでしょうか。
 民俗学の真の目的は
 人間の思考形態を探り,
 なぜ、このような表現になるかを
 追究するのではないでしょうか。
 人間の喜怒哀楽を
 表現する方法が
 民俗になると思います。
 私はこのように民俗学を捉えました。


以下、田野からのコメント
「民俗学の真の目的は
人間の思考形態を探り,
なぜ、このような表現になるかを
追究する」こととの投げかけは
そのとおりだと思います。


その表現・パフォーマンスには
きっと共同体に共通する意味が
ひそんでいると思います。
それを読み解くのが
民俗学の使命かもわかりません。


今、ボクの頭に浮かべていますのは
「心意の伝承」で取り上げました
神がかりした祈祷師の写真です。

あるプロセスを経て
託宣が下されます。
そのプロセスには
共同体による鉦や太鼓による囃子や
導師自身による読経がクライマックスを招来します。

この時初めて
共同体全員に共同の幻想が生じます。
あるいは共同の幻想を強いられます。
その幻想は、時に幻聴であったり
幻視であったりもします。


ボクが民俗学に興味を覚えましたのは
思春期前期に
加持祈祷の体験を受けたことです。
「思春期前期」とは微妙な時期です。
子どもでもなく、大人でもない時期です。
子どもなら恐れおののくか、
親の言いつけに従って
共同体の幻想に眠り入ることになります。

その場にいる大人は、みな
すっかり共同体の幻想に眠り入っているのです。
それが思春期前期のボクにはできませんでした。
半目を開けて大人のようすを伺っていたのです。
大人たちはボクを指して
「ノボルには狸の霊が憑いている」なんぞ云うのです。


「人間の喜怒哀楽を表現する方法が民俗」とは
直截な記述です。
神仏への信仰の衰退にともなう
共同体意識の弛緩によって
「喜怒哀楽」が偽りに見え
形骸化しているのもまた事実でありましょう。


今回は、井東一太郎先輩に
お願いして
急遽戴いたメールに
ボクなりに反応しました。

春の阪俗研セミナーは
これで終わりました。

秋になって、
10人ぐらい集まるようでしたら
また開講します。
阪俗研メンバーからの声に
しばらく耳を傾けようと思っております。


究会代表 田野 登

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毎日文化センターでのお地蔵さんの話は6月11日です。
手違いにより5月28日スタートで連絡しました。
お詫びします。


したがいまして日程は
2週間ずつ遅らせまして次のようになります。
 第1講 6月11日(水) 地蔵信仰概論 
 第2講 6月25日(水) 民俗宗教の世界
 第3講 7月9日(水) 地蔵調査実践論


さて第1講「地蔵信仰概論」ですが、
《3 地蔵信仰の基礎知識》では
 (1)尊容、(2)民俗としての地蔵信仰に続き
 (3)地蔵和讃の世界を取り上げます。


出典は宝田正道、1984年
『地蔵さま入門』大法輪選書⑮所収の
「地蔵和讃の由来と伝承」に
挙げられているところの
松濤 基作曲の「地蔵和讃」です。
26句からなり、
同論考所載の「賽の河原系和讃」8種中、
最短のものです。


写真図1 地蔵和讃1




これはこの世のことならず
死出の山路の裾野なる
賽の河原のものがたり
聞くにつけても憐れなり
二つや三つや四つ五つ
十にも足らぬみどり児が
賽の河原に集まりて
父上こいし母こいし


室町時代時代の賽の河原図が
古いもののようで、
三途の川とともに
「賽の河原」の世界は
和製地獄のようです。


写真図2 地蔵和讃2




河原の石をとり集め
これにて回向の塔をつむ
一重くんでは父のため
二重くんでは母のため
日も入りあいのその頃は
地獄の鬼が現れて
くろがね棒をとりのべて
積みたる塔をおしくずす
そのとき能化の地蔵尊


耳馴染みのある章句ですが、
「一重くんでは」の「くんでは」が「積んでは」とも。
涙をそろる場面ですが、
地獄の鬼の登場しないのもあります。
「能化の地蔵尊」は右手に錫杖の
お馴染みのスタイルを想像します。


写真図3 地蔵和讃3




われを冥土の父母と
思うてあけくれ頼めよと
幼き者をみ衣の
裳裾のうちにかき入れて
憐み給うぞありがたき
未だ歩めぬみどり児を
いだきかかえてなでさすり
憐み給うぞありがたき
南無阿弥陀仏あみだぶつ


裳裾に縋り付く
嬰児の姿を想像します。
この章句から
お地蔵さんに
母性を見る向きもあります。


哀調帯びた地蔵和讃の世界を
鑑賞するのも一興かと思います。

毎日文化センターでの
「大阪のお地蔵さんの世界」の
お申し込み、お問い合わせは
06-6346-8700までお電話下さい。


究会代表 田野 登

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前回、「梅田スカイビルがゴールです」の
先を書いてみたくなり
梅田スカイビルから先の世界を
続きとして書きます。


ただお断りしておきますのは、
梅田スカイビルの建つあたりを
「梅田」と称してよいのかなといった
ためらいが
ございます。

梅田は「埋田」や、
低湿地やと言い放てば話は別ですが・・・・。

歴史的に「梅田」と称してよいのは
梅田スカイビルを含む新梅田シティを
貨物線に突き当たり、南に行った所です。
それは『摂陽群談』によりますと
貞享年間に、設けられた「梅田墓所」で
「梅田三昧」とも称された場所です。


写真図1 貨物線




現在、貨物駅は廃され、「うめきた」として
再開発のため
更地になっております。
いっこうに遺骨の記事が出ませんが
はたして、いかがなものでしょう。


今回は、阪急梅田駅の先、茶屋町の
ちゃやまちアプローズに出るということで
この造成地を、いかにして東に抜けようか
思案しました。

新梅田シティを東に
貨物線にしばらく沿って北に
斜面を下りますと
「北梅田地下道」があります。
梅北道路も云います。
200メートルほどの隧道です。
これを抜けますとグランフロント大阪です。
その先には阪急梅田駅です。


今回は、中津陸橋を渡りたくなりまして
線路に沿って北へ歩くことにしました。
中津陸橋からの光景は、
再開発工事が進むにつれて
かつての貨物駅、操車場を思い起こすことが
いよいよむつかしくなってきています。


写真図2 中津陸橋から南を臨む




マチは変貌します。
陸橋から見下ろす操車場の光景も
失われてしまいました。


昭和43年3月、
高校卒業のボクは一人
この地に立って空想していました。
萩原朔太郎の「漂泊者の歌」の光景です。
朔太郎詩のじっさいの舞台は
東京田端の尾久停車場のようですが・・・。

以下、*青空文庫「氷島萩原朔太郎」より引用。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/4869_14066.html

●日は斷崖の上に登り
 憂ひは陸橋の下を低く歩めり。
 無限に遠き空の彼方
 續ける鐵路の棚の背後に
 一つの寂しき影は漂ふ。


今や高層ビルの足下
更地が広がり
新大阪駅方面に向かう線路だけが敷かれています。
のろのろと行き交う貨物列車など
ボクの記憶だけの光景です。


もう50年程、昔の自分を回想しています。
人生経験の乏しい当時のボクは
ショーペンハウエルやニーチェと云った
朔太郎に感化された世界に耽っていました。


中津陸橋を下りきりますと

元の大阪府立北野中学の跡地で

済生会中津病院があります。


写真3 済生会中津病院


歩道橋を渡りますと
阪急の北野架道橋です。


写真図3 北野架道橋




北尾 鐐之助『近代大阪』1932年刊行の
グラビアにある場所はここです。
トライアングルの連続。
電車の轟音。

目的地のちゃやまちアプローズには
ほぼ定刻に到着しました。


写真図4 ちゃやまちアプローズ





今回、大阪あそ歩の浦江・大仁コースの
ゴール地点の梅田スカイビルから
「梅田の裏」を歩いてみたわけです。


大阪あそ歩の浦江・大仁コースは
6月1日(日)午後1時
JR福島駅を出発します。
参加費1500円

お申し込みは
お早めに
大阪あそ歩事務局まで
  ↓ここをクリック
https://www.osaka-asobo.jp/


究会代表 田野 登







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梅田スカイビルが

大阪あそ歩浦江・大仁コースのゴールです。


昨日、5月25日(日)、

福島区西部の野田新家で聞き書きをし
その足で
北港通りを東に
野田阪神からは
北区茶屋町の関西学院梅田キャンパスのある
アプローズタワーに向かいました。


現代語のまさに「五月晴れ」のもと
途中、大阪あそ歩浦江・大仁コースを
歩いてみました。


今回のアップは福島聖天・了徳院から。
かつての浦江聖天です。
山門から境内、境内の背後に
見える高層マンションは
かつての蓮料理が十八番の冨竹の現在です。


写真図1 了徳院




了徳院はコンパクトに
神仏を祀る寺です。
今回は水かけ地蔵をアップします。


写真図2 水かけ地蔵




水かけ地蔵こと延命地蔵の手水鉢には
「宝暦六丙子歳/三月/了徳院
「施主 河内屋弥右衛門」と
刻字されています。
宝暦六丙子歳は1756年です。
この時代には、了徳院についての記事が
大坂案内の類いには見えます。


料亭「冨竹」旧地を通って
妙壽寺。
今回は、違ったアングルからとて
阪神高速道路
福島出路からのショット。


写真図3 妙壽寺




「浦江の稲荷 とげぬき稲荷」の
朱色の幟が見えます。
寺に稲荷とは
まさに寺を守る
鎮守の神さまなのです。


JRのガードを抜けると北区大淀南。
浦江庭球場の先
すぐ浦江の八坂神社が鎮座します。


写真図4 浦江八坂神社




お社の背後には住友の超高層マンションが見えます。
浦江コースは、大阪の都心部に隣接する
かつての農村を歩きます。


東にコースを取り大仁を過ぎますと
ゴールが見えてきます。
梅田スカイビルのある新梅田シティです。


写真図5 梅田スカイビル





開業21年の梅田スカイビルは
今や「外国人ラッシュ」と報じられる
スポットです。


朝日新聞5月15日夕刊によりますと
英紙タイムズで紹介された
「世界の建物トップ20」に
日本で挙げられているのは
ただこの「梅田スカイビル」だけのようです。


新梅田シティには「中自然の森」といった
高層ビルの足下に
瀧をあしらった庭園があったりします。


写真図6 「中自然の森」




この人工の瀧を眺めながらの
お食事は、その名も「滝見小路」という
昭和レトロを再現した商業施設があります。

大阪あそ歩でゴールした勢いで
展望台に上るのも
グイッとジョッキを飲み干すのも
ついでに地下歩道を抜けて
グランフロント大阪に出るも良し!


6月1日(日)pm1:00 JR福島駅出発
参加費1500円

お申し込みは
お早めに
大阪あそ歩事務局まで
  ↓ここをクリック
https://www.osaka-asobo.jp/


究会代表 田野 登

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本日、妙壽寺住職からはがきをいただきました。
6月の浦江塾のご案内です。

今回は、関西学院大学社会学部教授の
島村恭則氏から
「民俗学」の最新の定義を解説していただきます。
島村先生は、大阪民俗学研究会の会員でもあり
ボクはちょくちょく相談に乗っていただいております。


写真図 はがき




文面は、以下のとおりです。

郷土誌を見直す『浦江塾』のご案内
今回は郷土史を見直すならぬ「民俗学」の新たな定義を
やさしく説明して戴き、民俗学の可能性と将来の展望を
具体例を入れてやさしく解説していただきます。
今後、郷土史等の調査、研究に大いに参考になるのでは
ないかと思われます。本格的な授業です。
 日時 6月7日(土曜日)午後7時より9時迄
 場所 妙壽寺(福島区鷺洲2-15-10)駐車可
 テーマ「民俗学とは何か
     -最新の定義と可能性の展望-」
      関西学院大学社会学部教授
         島村恭則先生
終了後、情報交換等の雑談を行います。ご参加下さい。


以下、田野が記します。
島村恭則氏とは
2000年2月に他界された宮田登先生の生前から
知己を得ておりました。
彼は大学院生でした。


東北で震災の起きる前年2010年の秋
東北大学で学会がありました。
帰りは仙台駅まで一緒に歩こうとなり
大学のある青葉城から
廣瀬川の河川敷に出ました。

かつて、その場所には
引揚者住宅が並んでいたとのこと。
なるほど河川敷という場所の所有について
考えさせられたものでした。
往き道に歩いた時とは
違った発見に心地よい刺激を受けたものでした。


このたびは、中津川中州の鼠島のことで
在日朝鮮半島系住民についての呼称のことや
阪俗研セミナーのテキスト選定のことで
アドバイスをいただいたことが
きっかけで、浦江塾で
お話ししていただくことになりました。


話の内容は
日本民俗学会研究雑誌『日本民俗学』に
近々発表なさる内容と聞いて
びっくりしました。


それも「folkloreとは何か?」と
最初お聞きし、これまたびっくりしました。

島村恭則氏の研究領域は
めざましく進展しております。
今回、folkloreを再定義なさるとは
実に楽しみです。


なお島村恭則氏は
来る5月31日(土)午後、
関西学院大学梅田キャンパスにて
「理論民俗学研究会」を立ち上げます。
気鋭研究者の意気軒昂は
頼もしい限りです。
  ↓詳しくはここをクリック
http://d.hatena.ne.jp/shimamukwansei/


興味ある方はご参加ください。
ボクも参加します。


究会代表 田野 登

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