ブローニングM2重機関銃(キャリバー50・12.7mm重機関銃) | 戦車のブログ

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自衛隊でキャリバー50と呼ばれている自衛隊創隊以来使われている重機関銃として知られている。


ブローニングM2重機関銃という名称だが自衛官は「キャリバー50」か「12.7㎜重機関銃」と呼ぶ。


陸上自衛隊の戦車の砲塔上に常にあるキャリバー50。


私も射撃訓練で撃ったが一番「撃ってるなー」って気分にさせてくれる機関銃だった。


故障も少なく連装銃と比べると格段に信頼できる機関銃だった。



陸上自衛隊の戦車1輌に必ず配備されているキャリバー50は歴代戦車と共にあった陸上自衛隊戦車の生き字引だ。



ブローニングM2重機関銃(ブローニングエムツーじゅうきかんじゅう)は、ジョン・ブローニングが第一次世界大戦末期に開発した重機関銃である。


M2がアメリカ軍に制式採用されたのは1933年であるが、信頼性や完成度の高さから現在でも世界各国で生産と配備が継続されている。




第二次世界大戦以来、現在でも各国の軍隊で使用されている著名な重機関銃である。


M2のストッピングパワーや信頼性は伝説的で、口径が50口径(0.50インチ=12.7mm)であることから別名"キャリバー50"(Caliber .50)や"フィフティーキャル"(.50 Cal)と呼ばれる。


現場では"マデュース"(Ma Deuce)や"ビッグママ"(Big Mama)などの愛称もある。



アメリカでは、M2の後継として1950年代後半に車両搭載用途を更新するものとしてM85機関銃が開発されたが、問題が多くM2の後継とはならないままに終わった。



1990年代後半より再び後継用機関銃の開発が進められ、XM312、XM806といった新型機関銃の開発が進んでいたが、2012年に開発が中止された。



結果、設計されて80年以上も経つが、費用を考慮しての基本構造・性能トータル面でこの重機関銃を凌駕するものは、現在においても現れていない。


FNハースタル社が代表的な改良型として、銃身交換を容易にしたFN M2HB-QCB(M2 Heavy Barrel-Quick Change Barrel)を開発し、先進諸国を中心に現有M2重機関銃のQCB改修、生産の切り替えが進んでいる。



日本では住友重機械工業の田無製造所が1984年からライセンス生産しており、主に自衛隊で使用している。



陸上自衛隊では主に車載機関銃や対空用として「12.7mm重機関銃M2」という名称で採用しており、海上自衛隊でも護衛艦などに不審船対処用として搭載しているほか、航空自衛隊でも採用されている。


現在では前述のQCB仕様のものが調達されている。調達価格は約530万円である。



M2の原型となった水冷式のM1は、敵の砲兵用観測気球を撃つことを目的に配備されたが、その威力と射程は様々な標的に対し有効であった。


以降、M2は戦車や装甲車、トラックやジープなどの車載用銃架、地上戦闘用の三脚架、対空用の背の高い三脚銃架、連装、または四連装の動力付き対空銃架、艦船用対空銃架、軽量銃身型の航空機用固定機銃、航空機用旋回機銃架、動力付き航空機用旋回機銃架など、様々な銃架に載せられ陸・海・空軍を問わず広く配備された。


簡単な部品交換だけで左右どちらからでも給弾できることも柔軟な運用を可能にした。



M2は、12.7mm弾を音速の3倍の速度で発射する。M2の精度は素晴らしく、800m先の標的にも正確に命中する。


第二次世界大戦時、給弾ベルトの長さが9ヤード(およそ8m)あった事から、それを全部撃ち尽くすという意味で「9ヤードをお見舞いしろ!」という表現が生まれた。


歩兵が運用する場合には3名のチームが基本となるため、アメリカ軍ではスリー・メン・ウェポン(3 men weapon)とも呼ばれる。


画像にある三脚は対地攻撃用のM3三脚架で、銃自体とは別の装備品である(本来は(実際には不可能だが)他の機関銃同様、ハンドルの保持だけで撃つもの)。


M60パットン・M1エイブラムスなどの戦車やM113・M109といった装甲戦闘車輌では主に車長用武装としてキューポラに、ソフトスキン車輌ではキャビン上にマウントリングを追加して自由に旋回させられるようにして装備している。


さらに近年はM2を搭載した遠隔操作銃座(RWS)が複数種開発され、ストライカーICVなどの車輌に搭載されている。



M2は、第二次大戦中に使われたアメリカ軍航空機の代表的な武装でもあった。


しかし高いGのかかる空中戦では、翼内の弾薬の長いベルトリンクがねじれ、装弾不良が頻発、装備法に改良が加えられたが、完全とはいえなかった。


このため、航空機には1機当たり多数を搭載することで、ねじれの発生で火力を失う事態を避ける工夫が成された。


しかし、口径20mm以上の機関砲に火力で劣るため、現在ではM61などの航空機関砲に取って代わられ、アメリカ軍の固定翼機でこの銃を搭載する機種は運用されていないが、アメリカ海兵隊ではUH-1N、CH-46E、CH-53Eなどのヘリコプターにドアガンとしてキャビン内から乗員が対地射撃をする際に使用している。


また、アメリカ海軍の一部艦艇にも最終防衛ラインの一翼を担う兵器として装備されている他、アメリカ沿岸警備隊も使用している。



銃身交換の際は、100発程度で銃身の温度が約130-230°Cに達する。


すると、銃身底部と機関部の間隔を調整する頭部間隙(ヘッドスペース)の調整と、撃発と排莢のタイミングを最適化するタイミング調整という作業が必須となる。


これを怠ると命中精度が著しく損なわれる他、排莢不良や過大な発射ガス漏れによる射手の負傷など、事故へとつながる。


調整にはそれぞれ専用のシックネスゲージを用いて行われる。本稿冒頭で紹介したFNハースタル社のFN M2HB-QCBはこの調整作業を省略できるようにした改良である。



陸上自衛隊でも戦車や装甲車への車載用の他、各部隊が対地対空兵器として装備しており、年間80挺を新規調達している。


M3銃架は96式40mm自動てき弾銃と互換性がある。


対空兵器として地上設置する場合はM63対空銃架を使用する。


海上自衛隊でも護衛艦などに数挺搭載していたが、一時期搭載する艦艇は無くなった。


しかし、北朝鮮の不審船事件などを受けて再び搭載されるようになった。


なお、M2は艦艇固有の装備ではなく搭載品として扱われている。


海上保安庁では「13ミリ機銃」と呼称され、多くの巡視船に装備されている。



なお、国内でライセンス生産されたM2は過去数十年に渡り「耐久性、発射速度、命中率が要求性能を満たしていない」にも関わらず合格基準に達しているように、試験データを改竄し納入していたことが判明し問題とされてるが何も対策がされていない現状であり、現場の使用者からは「国産は使えん、消耗が激しい」「ジャムが多い、連続射撃後一向に銃身が冷えない、水を掛けないとダメ、供与と国産でどうしてここまで違う?」とまで言われている。



狙撃銃としての使用例


ベトナム戦争において、後に確認殺害戦果93を挙げたアメリカ海兵隊のトップ・スカウト・スナイパーであるカルロス・ハスコックが、この重機関銃の射程の長さと威力に注目して前線基地で単発狙撃に使用し、7.62mm弾よりも弾道特性が良好で射程も威力も充分であると報告している。


実際に、この時の狙撃は当時の最長距離の狙撃記録を大きく上回り(約2,300m)、その35年後に元から狙撃用として作られた対物ライフルによって、やっとこの記録は破られた。


この銃は長時間の射撃に耐えるために長く重いブルバレルを持ち、三脚による固定と本体重量の恩恵で単発射撃では反動の問題もほとんどなく、発射速度が機関銃としては比較的遅いことから、トリガーでセミオート、フルオートのコントロールをするのが容易であったという。


銃身・弾薬の精度は比較的高く、構造上も他の機関銃に比べれば狙撃に向いている。


これは、ハスコックのオリジナルではなく、古くは朝鮮戦争の長期に亘る山岳戦において、長距離での狙撃に使われている。


そこではブリーチをロックしてセミオート化し、上部にテレスコピックサイトを追加する事で、据付の長距離狙撃銃として使用したという記録が残されている。


フォークランド紛争ではアルゼンチン軍がM2にスコープを装備し、イギリス軍に対して単発射撃で遠距離狙撃に用いる戦術がとられた。


これに対しイギリス軍では、有効射程の問題から自動小銃では応射できず(撃っても弾が届かない)、高価な対戦車ミサイル「ミラン」をアルゼンチン軍陣地個々に撃ち込むシラミ潰し砲撃で対抗することになった。


この件は後に、バレットM82などの12.7mm以上の大口径対物狙撃ライフル開発のきっかけとなった。