想い起こされた第九 | 3年前のしこうの楽しみ

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個人的に毎年恒例になりつつある第九のコンサートに行きました。
昨年までは、数日前に思い立ってチケットを取っていたのですが、今年は12月はじめくらいに予約をしました。
昨年は残念な演奏だったということもあり、今年は一番確実であろう日本のトップオーケストラを選ぼうとしたためです。

それでも場所の一番良い席は取れず、少し外れたところになってしまいました。
とはいえ、なかなか悪くない位置で聴くことができました。
通常、第九の演奏会といっても第九の前座として他の曲がプログラムに入っていることが多いのですが、今回は第九のみの公演でした。

それゆえに、なんとも言えぬ本気度の高いコンサートでした。
遅刻厳禁で途中から客席には入れないので、遅れたら行った意味がなくなるという状況でした。
そんなわけで、時間が一番確実な夕方の満員電車に乗って、駅から歩いて行きました。

学生の頃、同じようにしてこのオーケストラの第九演奏会へ行ったのを思い出す感じでした。
さて、目的の演奏ですが、一言で評するなら素晴らしい演奏でした。
曲が終わるとともに上がったブラボーの歓声が、これほど似合うコンサートも珍しいと思うほどでした。

非の打ち所がほとんどないためブラボーとしか言いようがないのです。
こんなに完成された第九はここでしか聴けないだろうと感じます。
とにかく弦楽器が素晴らしく、奏者にとっては日本で一番怖いオーケストラであることが、手に取るように伝わってきました。

人間味がないくらいに合っているのです。
目の前で人が演奏しているのに、その実態感がないくらいに合っているのです。
それはまるで平面的な絵画を味わっているようでした。
こんなに没個性的かつ精緻な演奏は聞いたことがありません。

そんなことで慣れしんだ第九には聞こえず、ベートーヴェンにも聞こえず、何か別のもののように感じたのでした。
それは若かりし頃は認められなかったであろうスタイルです。

しかし、それは何処かで求めていたもののようにも思えてならないのでした。

2013.12.27 22:59 谷孝祐