【13:30 再開】
平成7年3月下旬、第10サティアンのベッドでZさんが「土谷さんがサリンの分析をしていたよ」とあなたに話したと。記憶にないですか?
「はい」
そんなことはなかったはず、と思うのか、それともあったかも?と思うか、どちら?
「Zさんがまったく嘘をついているようにも思えないので、あったかもとは思います」
『土谷さんがサリンを分析』なんて、強い印象を持つ言葉ではないですか?
「サリンを作ったという意味でとらえていれば記憶に残ると思うんです。残っていないということは、作ったサリンを分析したと理解しなかったんじゃないかと思います」
でも、教団にサリンがあった、ということですよね?
「Zさんがその通りの言葉を発したかどうか分からないので…」
実際は知っていたんじゃないですか?
「いや、知りません」
Zさんに気づかれた、と思ったんじゃ?
「気づかれたと言われても、知らなかったし予想も推測もありませんでした」
Zさんとのやり取りでは、クッションの中に何か隠しているようだったことは覚えていると。
「あー、はい」
クッションの中に切り刻んだ防護服を入れていたとのことですね。
「はい」
防護服という存在を知っていましたか?
「それは、世の中のという意味ですか?」
じゃあ、その意味で。
「うーん、どうだったかな…。分からないです」
防護服の処分はあなたがZさんに頼んだんじゃないんですか?
「記憶にはないんですけど、Zさんの調書を読んで、クッションのところだけ思い出したんです。確かに見せられたなと。で、見せられたということは、私がもしかしたら指示したのかな?とは思って、それくらいの記憶です」
ハサミを渡したことは覚えてますか?
「覚えていないです」
防護服は危険なものを作るときに着るものだと知っていたんじゃないですか?
「覚えていないです」
平成7年4月前半、あなたはどこで何をしていましたか?(サリン事件後、中川に薬品運搬を頼まれるまで)
「多分、住んでいたのは第10サティアンで、食事は毎日クシティガルバ棟で食べてたような記憶です。あとの時間は暇をもてあますような感じだったんじゃないかな…。あとは、修行ですか」
その頃、K、林郁夫、新実、次々と幹部が逮捕されていますが、そのことは認識していましたか?
「いつ知ったかはちょっと分からないです。テレビや新聞がないので、教団で発表されたり噂になれば知ったとは思いますが…」
信者同士でそういうことを話したりはしない?
「んー、ひょっとしたら隠したりしていたかもしれないですね。だからちょっと分からないです」
4月上旬時点で麻原が逮捕されるかもしれないとは思っていましたか?
「はい」
教団がつぶれるとは?
「つぶれるとは思っていなかったです」
なぜ?
「前から、弾圧は教団が大きくなるためのステップだと説明されていたからです。麻原さんの逮捕がありうると何年か前から言われていましたので…そういうことだったんですけども」
中川さんは何故自分で薬品を取りに来ないと思ってました?
「身を隠しているからだと。不当逮捕される可能性があるから隠れていると思いました」
中川さんが犯罪行為をしているとは?
「まったく思っておりません」
中川さんの指示があれば、あなたの判断であなたが薬品を持ち出せる?
「私の判断ではなく、中川さんの判断です」
中川さんは3つ上のステージですね。
中川さんからのセクハラを土谷さんに相談しましたか?
「いえ、それは誤解です」
実際にはどうだったんですか?
「私自身の問題で、中川さんがクシティガルバ棟に来ないようにしてくれないかと土谷さんに話しました」
問題、とは?
「あまりお答えしたくないんですけど、私自身の問題です」
その当時の中川さんへの気持ちはどのようなものでしたか?
「…尊敬していた、というか、恋愛感情を持っていました。それは事実です」
中川さんの指示には答えたい?
「それはそうですけど、遠藤さんや土谷さんの指示でも薬品を持ち出したと思います」
容器を使うのはあなたの判断?
「中川さんからの指示ではなかったと思います」
液体はヨーグルトパック、粉末はビニール袋に入れてからウェットティッシュの箱に入れた。
「覚えていないです。て一種の箱に入れたのは覚えていますが、ビニールのことは覚えていないです」
<ビニール袋が示される。袋には化学式が書かれている>
これは誰の筆跡ですか?
「分かりません」
中の薬品は瓶のラベルを見て判断したんですか?
「それ以外に方法がないんじゃないでしょうか」
ラベルに「劇物」「危険物」の表記もありました?
「あー、それはあったんじゃないでしょうか」
どんなものだと思っていました?
「んー、劇物…。取扱いに、注意が必要…」
薬品に劇物と書いてあって、何が危険だと思いました?
「素手で触らないとか、イメージできるのはそんな感じです」
理由なく持っていると逮捕される薬品もあるとは知ってまsた?
「そういう法律的な知識はありませんでした」
法律的ではなく、感覚的には?
「試薬を注文すると宅配業者が持ってきますよね。その人たちが持っていても逮捕されないので、ないと思いました」
中川さんからの指示の中で、分からなくて届けることができなかったものはありますか?
「いや、記憶にないです」
運搬したものの中には薬品リストもありましたね。
「記憶がないです。中川さんに、リストを作って持ってこいと頼まれればやると思います」
知らない薬品についてどんなものだろうと調べたりはしなかった?
「はい」
クシテイガルバ棟には本があったので、Zさんは化学事典を調べてみて爆薬が多いと思ったそうですが、あなたは?
「あー、調べたことがないです」
検問を抜けるのは案外簡単なことでした?
「……」
ルミエールセゾンにいる中川さん、井上さんは、あなたが検問を抜けられるか心配していたのでは?
「…心配。んーいや、心配ですか」
検問通って大丈夫か、とか。
「記憶に残ってないです」
検問は通れる、大丈夫だとルミエールセゾンにいる人に話したことは?
「大丈夫…。んー…。言っていてもおかしくはないです」
井上さんの前では?
「その記憶はないです」
その、とは?
「あ、いやー、井上さんと話した記憶がとにかくないんですけども」
女性が下着を入れていると所持品の検査が厳しくないということはあった?
「いつもカバンのふたを開けて見るだけだったので」
そのことをルミエールセゾンの誰かに話しましたか?
「んー、え、私が?下着で?ないと思いますし、その下着を警察官に見せるのはとても恥ずかしいと思うんですけども。下着でそれを隠してその下着を警察官に見せるというのは記憶にないです。恥ずかしいんですけども…」
警察官は毎日違いましたか?
「はい」
人によって検問に時間をかけることもあった?
「そういうことも無かったと思います」
逮捕されて中川さんに薬品を届けられなくなってはならない、と考えていましたか?
「んー、自分が逮捕されるってことはあまり考えてなかったです」
薬品を見つかっても逮捕されないと?それとも、薬品は見つけられないと?
「それもありますね。見つかれば取り上げられるとは思ってましたが、逮捕までは思ってなかったです」
『逮捕されたら終わりと分かってる』とルミエールセゾンで言いました?
「ないと思います」
ルミエールセゾンへはどんな服装で?
「手持ちので適当なのがなかったので、人から借りたりしました」
どこで着替えた?
「上九一色村です」
検問の前から着ていた?
「はい、そうです」
普段信者が着るようなのではない服装?
「はい」
怪しまれないだろうか、とかは思わなかった?
「思っていないので着替えて出たんです」
なぜ着替えたんですか?
「都心に出るからです。スウェットの膝のでたようなズボンでは外に出られません。ルミエールセゾンに出入りするときは、普通の人に見えた方がいいという認識はありました」
信者とばれて薬品を見つけられる、と?
「んー、そこまでは考えてなかったです」
新富士駅まで車、そのあと新幹線、バス、と移動しましたがお金はどうしましたか?
「あー、経費なのは間違いないですが、どう渡されたのか覚えていません」
ホテル代は?
「誰かに渡されてるのは間違いないです」
まとまったお金をもらった?
「額は覚えていないです。もらったのは間違いないです」
一回目の運搬では、新横浜の駅でTさんに薬品を渡した。2回目は東京駅でTさんに会って、ルミエールセゾンに連れていってもらったと。
「はい、そうです」
運ぶとき、薬品の名前は認識してました?
「はい」
中川さんたちはそれで何かを作ろうとしているとは?
「いや、それは思っていないです。検証実験かなにかなのかな?と思っていました」
一人で運ぶには重かったですか?
「重かったと思います」
すぐ使うような薬品だと思った?
「すぐ…すぐ?うーん」
人体に危険があるとは?
「まったく思っていません」
1%も?
「1%もです」
運搬した時、アセトンがありましたね。火事になった時のことを思い出さなかった?
「いや、アセトンは洗い物からして使うので、火を近づけなければ大丈夫なので…特に危険なものという認識はなかったです。日常的に使っていたものなので、手に触れたこともありますし…」
濃硝酸もありましたね。なぜ必要だと?
「濃硝酸を運んだことを覚えていないので、なぜかと言われてもお答えしようがありません」
爆薬を作ろうとしてたと思わなかった?
「思ってません。逆になんでそれを爆薬と思うのか、私には知識がないので…」
ルミエールセゾンにいた中川さん、井上さん、Tさん、豊田さん、所属している部署が違うけど、麻原の側近が集まったとは思わなかった?
「はい、思いました」
省庁が違うのに何故だと?
「別々のワークをしているのかなと」
ルミエールセゾンの雰囲気はごく普通でした?
「はい」
井上さんはCHSの所属でしたが、何をする部署だと思ってました?
「あ、それは知らないです。知らされてないです」
CHSは違法な仕事をしているとは?
「知りようがないです。知りうる方法は何もなかったです」
ルミエールセゾンでSさんを見たと。治療省所属でステージはあなたと同じ師補の女性信者ですね。彼女の調書によると『部屋の中は生活の場という雰囲気ではなく、緊張感があって、アジトという雰囲気だった』とのことですが。
「隠れているとは思っていましたけど、それほど緊張感があるとは思っていませんでした」
Sさんは『警察の捜査をかく乱するために騒ぎを起こそうとしているんじゃないかと思った』とも言っていますけど。
「私はまったく思っていません」
そのような状況でも、教団は黙って見ていると?
「あ、それが忍辱の修行だと思っていました」
ルミエールセゾンにいた側近たちは、この状況を打破するために闘おうとしているとは?
「教団の主張を…(聞き取れず)という意味では戦うという風にも思っていましたが、戦う意味が違います」
ルミエールセゾンの台所に換気扇はありましたか?
「あると思います」
換気扇に垂らすようにビニールを張っていた?
「見ていません」
薬の空き瓶は見ましたか?
「記憶がないです」
ルミエールセゾンでは井上さんとの会話というようなものはなかったんですか?
「中川さんと井上さんが雑談することはありました。そこで、私は中川さんと話をしていたので、途中で井上さんと中川さんが話すことがあって、その時私が会話に加わったことはあるかもしれません。具体的には覚えていません」
井上さんの証言では『君のおかげで準備ができつつある、と言うと、あなたが、頑張ります、と答えた』と。
「覚えていません」
ねぎらいの言葉があれば『頑張ります』と答えるような、そういう意識はありましたか?
「頑張りますと、答えるかな…?という感じです」
記憶がないのか、それとも、そういうやり取りはしていないと思うのか、どちらですか?
「あのー、していないと思うんですけども」
井上さんは、ペンスリット入りのタッパーを示しながら言ったと。
「タッパーがあってもおかしくないですよね、台所ですから。でも記憶にはありません」
台所に行ったら井上さんが髪の毛を茶髪にしていたと。なぜ茶色にしたと思いましたか?
「んー、普通の人に見えるようにしていると…」
井上さんに逮捕状が出ていることは知っていましたか?
「んー、ちょっと、どうだったかな…。わかんないです。えーと、時期が特定できない」
井上さんは茶髪にして警察に捕まらないようにしているとは?
「はい、思っております」
井上さんが事件を起こしていると?
「いや、冤罪なんだと思っていました」
その後、平成7年の4月27日に井上さんが假谷さんの事件で指名手配されてますが、そのことは知っていましたか?
「んー、あの、27日だと薬品は運び終えてますよね。ですから、あのー、教団内にいるときは一切新聞もみられないですから、27日に指名手配されたとしたら、知りうるのは5月12日以降なんじゃないかなと思うんですが」
假谷さんの事件についても井上さんは冤罪だと思っていましたか?
「はい、思っていました」
4月23日の夜、村井さんが刺されて24日の未明に亡くなりましたね。
「はい」
村井さんは教団ではナンバー2とされていた。
「はい」
すぐにそのことは知りましたか?
「多分知ったと思います」
そのあとも、中川さんに薬品を運んでいた。
「はい」
村井さんが刺された、そういう事態になっても薬品を運ぶことに何か思わなかったんですか?
「村井さんが刺されたことと、私が薬品を運ぶことの関連性がよく分からないんですが」
村井さんの次に麻原さんも殺される、とは思わなかった?
「んー……、記憶に出てこないです」
上祐さんが『今度は麻原を殺す気ですか』と言っていましたが、見ましたか?
「それを見た記憶はありますが、いつかは分かりません。逃走中かもしれません」
あなたがルミエールセゾンですりつぶしていたものは何ですか?
「やったこと自体記憶にないので中身も全然わかりません」
すりつぶすような作業をやっていてもおかしくはない?
「指示されればやっていると思います」
黒色火薬を作る活性炭、硝酸、カリウム、硫黄、そういったものでもすりつぶしていてもおかしくない?
「んー、指示されてれば。記憶にはないですけども」
当時、火薬のイメージはどんな色ですか?
「んー、赤いんじゃないですか?」
黒色火薬という言葉は知っていますか?
「記憶にありません」
中川さんは『何をしようとしているか分かるか?と聞いた』、と証言してます。覚えてますか?
「記憶に残っていません」
あなたは『分かりません、と答えていた』と。それも覚えていない?
「はい」
教団内では他のワークを詮索することはしてはいけなかった?
「はい、その通りです」
中川さんに『何をしてるか分かるか』と聞かれても、答えづらいのでは?
「んー…、答えづらい…?」
薬の運搬をしなくなったのは何故だと?
「記憶してないからわかりません」
クシティガルバ棟が差し押さえられたからじゃないですか?
「覚えていません」
薬品運搬以外にルミエールセゾンで指示されたことは?
「…ホテルに泊まること、あとは、Hさんの宿泊予約も多分指示されてます。あとは、Hさんと会ってます。それも多分指示だったはずです」
買い物とかしたことは?新聞とか。
「新聞は買ってないです」
他の物は?
「買ってないです」
中川さんや井上さんから指示されればやる?
「井上さんから何らかの指示を受けたことはないです」
薬品運搬後もルミエールセゾンに出入りしてましたよね。
「はい」
平成7年5月1日から4日に出入りしていたことは?
「ないと思います」
<ルミエールセゾンの外階段を出入りする、スカーフを付けた女性の写真が示される>
最初これは、薬品運搬時のあなただと言っていましたよね。
「はい」
服装からしてそうだと。
「はい」
ルミエールセゾンに行くとき、毎回服装は変えていたんですか?
「いや、そのようなことはしていないんじゃ…」
警察官は、これは5月2日に撮った写真だと証言していました。それを聞いても、この写真は5月2日ではないと?
「あのー、5月2日に呼ばれたとして、何を指示されたのかが分からないんですけども」
眼鏡をかけていたことは?
「当時は両目とも視力が1.5だったので、ないです」
変装のためには。
「いや、記憶しておりません」
ルミエールセゾンで服を着替えたことは?
「記憶してません」
張り込みをしていた証人は、出入りを証言していますが。
「行っていたとして、指示されたことが分かりません。その時期に何か指示された記憶がありません」
中川さんがこの時期にはあなたが来ていないと言っていたから、話を合わせようとしているんじゃないですか?
「いいえ、そういうことはありません」
この時期は新宿青酸ガス事件の準備が活発だったから、来ていないことにしようとは。
「いいえ、そういうことはありません」
新宿青酸ガス事件は教団がしたことだとは(当時)?
「思っていません」
1パーセントも?
「はい。思ってたら、中川さんに駅のごみ箱が使えないことなんて言いません」
あなたが運んだ薬品で青酸ガスに使う硫酸が作られた、とは?
「思っていません。硫酸から青酸ガスが作られること自体知りませんでした」
平成7年3月下旬、第10サティアンのベッドでZさんが「土谷さんがサリンの分析をしていたよ」とあなたに話したと。記憶にないですか?
「はい」
そんなことはなかったはず、と思うのか、それともあったかも?と思うか、どちら?
「Zさんがまったく嘘をついているようにも思えないので、あったかもとは思います」
『土谷さんがサリンを分析』なんて、強い印象を持つ言葉ではないですか?
「サリンを作ったという意味でとらえていれば記憶に残ると思うんです。残っていないということは、作ったサリンを分析したと理解しなかったんじゃないかと思います」
でも、教団にサリンがあった、ということですよね?
「Zさんがその通りの言葉を発したかどうか分からないので…」
実際は知っていたんじゃないですか?
「いや、知りません」
Zさんに気づかれた、と思ったんじゃ?
「気づかれたと言われても、知らなかったし予想も推測もありませんでした」
Zさんとのやり取りでは、クッションの中に何か隠しているようだったことは覚えていると。
「あー、はい」
クッションの中に切り刻んだ防護服を入れていたとのことですね。
「はい」
防護服という存在を知っていましたか?
「それは、世の中のという意味ですか?」
じゃあ、その意味で。
「うーん、どうだったかな…。分からないです」
防護服の処分はあなたがZさんに頼んだんじゃないんですか?
「記憶にはないんですけど、Zさんの調書を読んで、クッションのところだけ思い出したんです。確かに見せられたなと。で、見せられたということは、私がもしかしたら指示したのかな?とは思って、それくらいの記憶です」
ハサミを渡したことは覚えてますか?
「覚えていないです」
防護服は危険なものを作るときに着るものだと知っていたんじゃないですか?
「覚えていないです」
平成7年4月前半、あなたはどこで何をしていましたか?(サリン事件後、中川に薬品運搬を頼まれるまで)
「多分、住んでいたのは第10サティアンで、食事は毎日クシティガルバ棟で食べてたような記憶です。あとの時間は暇をもてあますような感じだったんじゃないかな…。あとは、修行ですか」
その頃、K、林郁夫、新実、次々と幹部が逮捕されていますが、そのことは認識していましたか?
「いつ知ったかはちょっと分からないです。テレビや新聞がないので、教団で発表されたり噂になれば知ったとは思いますが…」
信者同士でそういうことを話したりはしない?
「んー、ひょっとしたら隠したりしていたかもしれないですね。だからちょっと分からないです」
4月上旬時点で麻原が逮捕されるかもしれないとは思っていましたか?
「はい」
教団がつぶれるとは?
「つぶれるとは思っていなかったです」
なぜ?
「前から、弾圧は教団が大きくなるためのステップだと説明されていたからです。麻原さんの逮捕がありうると何年か前から言われていましたので…そういうことだったんですけども」
中川さんは何故自分で薬品を取りに来ないと思ってました?
「身を隠しているからだと。不当逮捕される可能性があるから隠れていると思いました」
中川さんが犯罪行為をしているとは?
「まったく思っておりません」
中川さんの指示があれば、あなたの判断であなたが薬品を持ち出せる?
「私の判断ではなく、中川さんの判断です」
中川さんは3つ上のステージですね。
中川さんからのセクハラを土谷さんに相談しましたか?
「いえ、それは誤解です」
実際にはどうだったんですか?
「私自身の問題で、中川さんがクシティガルバ棟に来ないようにしてくれないかと土谷さんに話しました」
問題、とは?
「あまりお答えしたくないんですけど、私自身の問題です」
その当時の中川さんへの気持ちはどのようなものでしたか?
「…尊敬していた、というか、恋愛感情を持っていました。それは事実です」
中川さんの指示には答えたい?
「それはそうですけど、遠藤さんや土谷さんの指示でも薬品を持ち出したと思います」
容器を使うのはあなたの判断?
「中川さんからの指示ではなかったと思います」
液体はヨーグルトパック、粉末はビニール袋に入れてからウェットティッシュの箱に入れた。
「覚えていないです。て一種の箱に入れたのは覚えていますが、ビニールのことは覚えていないです」
<ビニール袋が示される。袋には化学式が書かれている>
これは誰の筆跡ですか?
「分かりません」
中の薬品は瓶のラベルを見て判断したんですか?
「それ以外に方法がないんじゃないでしょうか」
ラベルに「劇物」「危険物」の表記もありました?
「あー、それはあったんじゃないでしょうか」
どんなものだと思っていました?
「んー、劇物…。取扱いに、注意が必要…」
薬品に劇物と書いてあって、何が危険だと思いました?
「素手で触らないとか、イメージできるのはそんな感じです」
理由なく持っていると逮捕される薬品もあるとは知ってまsた?
「そういう法律的な知識はありませんでした」
法律的ではなく、感覚的には?
「試薬を注文すると宅配業者が持ってきますよね。その人たちが持っていても逮捕されないので、ないと思いました」
中川さんからの指示の中で、分からなくて届けることができなかったものはありますか?
「いや、記憶にないです」
運搬したものの中には薬品リストもありましたね。
「記憶がないです。中川さんに、リストを作って持ってこいと頼まれればやると思います」
知らない薬品についてどんなものだろうと調べたりはしなかった?
「はい」
クシテイガルバ棟には本があったので、Zさんは化学事典を調べてみて爆薬が多いと思ったそうですが、あなたは?
「あー、調べたことがないです」
検問を抜けるのは案外簡単なことでした?
「……」
ルミエールセゾンにいる中川さん、井上さんは、あなたが検問を抜けられるか心配していたのでは?
「…心配。んーいや、心配ですか」
検問通って大丈夫か、とか。
「記憶に残ってないです」
検問は通れる、大丈夫だとルミエールセゾンにいる人に話したことは?
「大丈夫…。んー…。言っていてもおかしくはないです」
井上さんの前では?
「その記憶はないです」
その、とは?
「あ、いやー、井上さんと話した記憶がとにかくないんですけども」
女性が下着を入れていると所持品の検査が厳しくないということはあった?
「いつもカバンのふたを開けて見るだけだったので」
そのことをルミエールセゾンの誰かに話しましたか?
「んー、え、私が?下着で?ないと思いますし、その下着を警察官に見せるのはとても恥ずかしいと思うんですけども。下着でそれを隠してその下着を警察官に見せるというのは記憶にないです。恥ずかしいんですけども…」
警察官は毎日違いましたか?
「はい」
人によって検問に時間をかけることもあった?
「そういうことも無かったと思います」
逮捕されて中川さんに薬品を届けられなくなってはならない、と考えていましたか?
「んー、自分が逮捕されるってことはあまり考えてなかったです」
薬品を見つかっても逮捕されないと?それとも、薬品は見つけられないと?
「それもありますね。見つかれば取り上げられるとは思ってましたが、逮捕までは思ってなかったです」
『逮捕されたら終わりと分かってる』とルミエールセゾンで言いました?
「ないと思います」
ルミエールセゾンへはどんな服装で?
「手持ちので適当なのがなかったので、人から借りたりしました」
どこで着替えた?
「上九一色村です」
検問の前から着ていた?
「はい、そうです」
普段信者が着るようなのではない服装?
「はい」
怪しまれないだろうか、とかは思わなかった?
「思っていないので着替えて出たんです」
なぜ着替えたんですか?
「都心に出るからです。スウェットの膝のでたようなズボンでは外に出られません。ルミエールセゾンに出入りするときは、普通の人に見えた方がいいという認識はありました」
信者とばれて薬品を見つけられる、と?
「んー、そこまでは考えてなかったです」
新富士駅まで車、そのあと新幹線、バス、と移動しましたがお金はどうしましたか?
「あー、経費なのは間違いないですが、どう渡されたのか覚えていません」
ホテル代は?
「誰かに渡されてるのは間違いないです」
まとまったお金をもらった?
「額は覚えていないです。もらったのは間違いないです」
一回目の運搬では、新横浜の駅でTさんに薬品を渡した。2回目は東京駅でTさんに会って、ルミエールセゾンに連れていってもらったと。
「はい、そうです」
運ぶとき、薬品の名前は認識してました?
「はい」
中川さんたちはそれで何かを作ろうとしているとは?
「いや、それは思っていないです。検証実験かなにかなのかな?と思っていました」
一人で運ぶには重かったですか?
「重かったと思います」
すぐ使うような薬品だと思った?
「すぐ…すぐ?うーん」
人体に危険があるとは?
「まったく思っていません」
1%も?
「1%もです」
運搬した時、アセトンがありましたね。火事になった時のことを思い出さなかった?
「いや、アセトンは洗い物からして使うので、火を近づけなければ大丈夫なので…特に危険なものという認識はなかったです。日常的に使っていたものなので、手に触れたこともありますし…」
濃硝酸もありましたね。なぜ必要だと?
「濃硝酸を運んだことを覚えていないので、なぜかと言われてもお答えしようがありません」
爆薬を作ろうとしてたと思わなかった?
「思ってません。逆になんでそれを爆薬と思うのか、私には知識がないので…」
ルミエールセゾンにいた中川さん、井上さん、Tさん、豊田さん、所属している部署が違うけど、麻原の側近が集まったとは思わなかった?
「はい、思いました」
省庁が違うのに何故だと?
「別々のワークをしているのかなと」
ルミエールセゾンの雰囲気はごく普通でした?
「はい」
井上さんはCHSの所属でしたが、何をする部署だと思ってました?
「あ、それは知らないです。知らされてないです」
CHSは違法な仕事をしているとは?
「知りようがないです。知りうる方法は何もなかったです」
ルミエールセゾンでSさんを見たと。治療省所属でステージはあなたと同じ師補の女性信者ですね。彼女の調書によると『部屋の中は生活の場という雰囲気ではなく、緊張感があって、アジトという雰囲気だった』とのことですが。
「隠れているとは思っていましたけど、それほど緊張感があるとは思っていませんでした」
Sさんは『警察の捜査をかく乱するために騒ぎを起こそうとしているんじゃないかと思った』とも言っていますけど。
「私はまったく思っていません」
そのような状況でも、教団は黙って見ていると?
「あ、それが忍辱の修行だと思っていました」
ルミエールセゾンにいた側近たちは、この状況を打破するために闘おうとしているとは?
「教団の主張を…(聞き取れず)という意味では戦うという風にも思っていましたが、戦う意味が違います」
ルミエールセゾンの台所に換気扇はありましたか?
「あると思います」
換気扇に垂らすようにビニールを張っていた?
「見ていません」
薬の空き瓶は見ましたか?
「記憶がないです」
ルミエールセゾンでは井上さんとの会話というようなものはなかったんですか?
「中川さんと井上さんが雑談することはありました。そこで、私は中川さんと話をしていたので、途中で井上さんと中川さんが話すことがあって、その時私が会話に加わったことはあるかもしれません。具体的には覚えていません」
井上さんの証言では『君のおかげで準備ができつつある、と言うと、あなたが、頑張ります、と答えた』と。
「覚えていません」
ねぎらいの言葉があれば『頑張ります』と答えるような、そういう意識はありましたか?
「頑張りますと、答えるかな…?という感じです」
記憶がないのか、それとも、そういうやり取りはしていないと思うのか、どちらですか?
「あのー、していないと思うんですけども」
井上さんは、ペンスリット入りのタッパーを示しながら言ったと。
「タッパーがあってもおかしくないですよね、台所ですから。でも記憶にはありません」
台所に行ったら井上さんが髪の毛を茶髪にしていたと。なぜ茶色にしたと思いましたか?
「んー、普通の人に見えるようにしていると…」
井上さんに逮捕状が出ていることは知っていましたか?
「んー、ちょっと、どうだったかな…。わかんないです。えーと、時期が特定できない」
井上さんは茶髪にして警察に捕まらないようにしているとは?
「はい、思っております」
井上さんが事件を起こしていると?
「いや、冤罪なんだと思っていました」
その後、平成7年の4月27日に井上さんが假谷さんの事件で指名手配されてますが、そのことは知っていましたか?
「んー、あの、27日だと薬品は運び終えてますよね。ですから、あのー、教団内にいるときは一切新聞もみられないですから、27日に指名手配されたとしたら、知りうるのは5月12日以降なんじゃないかなと思うんですが」
假谷さんの事件についても井上さんは冤罪だと思っていましたか?
「はい、思っていました」
4月23日の夜、村井さんが刺されて24日の未明に亡くなりましたね。
「はい」
村井さんは教団ではナンバー2とされていた。
「はい」
すぐにそのことは知りましたか?
「多分知ったと思います」
そのあとも、中川さんに薬品を運んでいた。
「はい」
村井さんが刺された、そういう事態になっても薬品を運ぶことに何か思わなかったんですか?
「村井さんが刺されたことと、私が薬品を運ぶことの関連性がよく分からないんですが」
村井さんの次に麻原さんも殺される、とは思わなかった?
「んー……、記憶に出てこないです」
上祐さんが『今度は麻原を殺す気ですか』と言っていましたが、見ましたか?
「それを見た記憶はありますが、いつかは分かりません。逃走中かもしれません」
あなたがルミエールセゾンですりつぶしていたものは何ですか?
「やったこと自体記憶にないので中身も全然わかりません」
すりつぶすような作業をやっていてもおかしくはない?
「指示されればやっていると思います」
黒色火薬を作る活性炭、硝酸、カリウム、硫黄、そういったものでもすりつぶしていてもおかしくない?
「んー、指示されてれば。記憶にはないですけども」
当時、火薬のイメージはどんな色ですか?
「んー、赤いんじゃないですか?」
黒色火薬という言葉は知っていますか?
「記憶にありません」
中川さんは『何をしようとしているか分かるか?と聞いた』、と証言してます。覚えてますか?
「記憶に残っていません」
あなたは『分かりません、と答えていた』と。それも覚えていない?
「はい」
教団内では他のワークを詮索することはしてはいけなかった?
「はい、その通りです」
中川さんに『何をしてるか分かるか』と聞かれても、答えづらいのでは?
「んー…、答えづらい…?」
薬の運搬をしなくなったのは何故だと?
「記憶してないからわかりません」
クシティガルバ棟が差し押さえられたからじゃないですか?
「覚えていません」
薬品運搬以外にルミエールセゾンで指示されたことは?
「…ホテルに泊まること、あとは、Hさんの宿泊予約も多分指示されてます。あとは、Hさんと会ってます。それも多分指示だったはずです」
買い物とかしたことは?新聞とか。
「新聞は買ってないです」
他の物は?
「買ってないです」
中川さんや井上さんから指示されればやる?
「井上さんから何らかの指示を受けたことはないです」
薬品運搬後もルミエールセゾンに出入りしてましたよね。
「はい」
平成7年5月1日から4日に出入りしていたことは?
「ないと思います」
<ルミエールセゾンの外階段を出入りする、スカーフを付けた女性の写真が示される>
最初これは、薬品運搬時のあなただと言っていましたよね。
「はい」
服装からしてそうだと。
「はい」
ルミエールセゾンに行くとき、毎回服装は変えていたんですか?
「いや、そのようなことはしていないんじゃ…」
警察官は、これは5月2日に撮った写真だと証言していました。それを聞いても、この写真は5月2日ではないと?
「あのー、5月2日に呼ばれたとして、何を指示されたのかが分からないんですけども」
眼鏡をかけていたことは?
「当時は両目とも視力が1.5だったので、ないです」
変装のためには。
「いや、記憶しておりません」
ルミエールセゾンで服を着替えたことは?
「記憶してません」
張り込みをしていた証人は、出入りを証言していますが。
「行っていたとして、指示されたことが分かりません。その時期に何か指示された記憶がありません」
中川さんがこの時期にはあなたが来ていないと言っていたから、話を合わせようとしているんじゃないですか?
「いいえ、そういうことはありません」
この時期は新宿青酸ガス事件の準備が活発だったから、来ていないことにしようとは。
「いいえ、そういうことはありません」
新宿青酸ガス事件は教団がしたことだとは(当時)?
「思っていません」
1パーセントも?
「はい。思ってたら、中川さんに駅のごみ箱が使えないことなんて言いません」
あなたが運んだ薬品で青酸ガスに使う硫酸が作られた、とは?
「思っていません。硫酸から青酸ガスが作られること自体知りませんでした」