mood and modality - 法と法性のはなし | tanacafe

mood and modality - 法と法性のはなし

昔は英語の文法書に「法」という概念が記述されていたそうですね

助動詞は「法助動詞」という単元名だったそうな

この「法」っていう概念、よくわからなくて調べてみた!


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法とは、簡単に言うと「話し手の心的態度を表したもの。」

主に、直接法・接続法・命令法・条件法に分類できます。


直説法は、事実をありのままに述べた形。


Because I have no money, I can't buy a new computer.

(お金がないから、新しいパソコンが買えない。)


この文全部、事実を言っているだけで、

話し手の心的態度の表れはありません。


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高校のとき、仮定法って習いましたよね

あれは接続法のことです。


If I had some money, I could buy a new computer.

(もしお金があったら、新しいパソコンが変えるのになぁ。)


直接法では「I have」だったのが

接続法では「I had」になりました

これは時制が過去になったのではありません。


気持ちが現実離れをして遠ざかっている

過去形とは、「現在と切り離された事柄」を表します

過去形になると、遠くのもののように感じるのです

時間的な距離も、心理的な距離も表すことができます


条件法は、主節(文の後半)の、「助動詞の過去形」のこと。

If I had some money, I could buy a new computer.


「実際お金がないわけだから」という風に無理であることを悟って

買えないよなぁ…と控えめになっている心理を助動詞過去で表しています


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ちょっと話が逸れますが、

Can you lend me money? (お金貸してくれる?)

Could you lend me money? (お金を貸していただけませんか?)

上よりも下の方が丁寧ですよね

これはなぜでしょう


助動詞が過去形になることで、

これも心理的距離を描いています

自分の要求を遠くから言っている、控えめになっているわけです


仮定法の主節の助動詞過去もこれと一緒

「どうせ叶わぬ夢…orz」と現実味の薄さに控えめになっているわけですね


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ちなみに「法」という言葉とは別に、「法性」という言葉もある

モダリティ(modality)とも言います


これは助動詞なんかを使って

「~かもしれない」だとか「~に違いない」といった

話し手の主観を表現している部分のこと


He is kind. (彼は親切な人です)

→He may be kind. (彼は親切な人かもしれない)

→He must be kind. (彼は親切な人に違いない)


isを使った場合、ありのままの事実を言っているわけですが

may, mustのような助動詞を付け加えることで

話し手の主観を表現しています


I will go shopping tomorroy.

(明日買い物に行くつもりだ。)


He can speak English well.

(彼は上手に英語を話すことができる。)


You may go home now.

(あなたは今帰宅してもよい。)


You mustn't eat this cake.

(あなたはこのケーキを食べてはいけない。)


You should be kind to old people.

(お年寄りには親切にすべきだ。)


いずれにせよ助動詞は、話し手の主観です

「法助動詞」という名前がついていたのも納得。


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法や法制の話をしたら、時制・態・相についても述べたいのですが

時間がかかりそうなのでまた今度にしようと思います