先月、傷を負ったドバトが保護され来院しました。動物にやられたのか広範囲に皮膚が裂け、見るからに痛々しい傷でした。傷口を縫い合わせて数日入院すると、徐々に飛ぶ力も出てきて、食事も摂るようになりました。そして、無事自然に帰すことができました。
この鳩は、幸運にも全身状態が回復して自然に帰すことが出来ました。しかし、野鳥の治療は非常に難しいことが多いです。なぜならば、野鳥はとてもストレスに弱く、繊細な生き物だからです。人間に触られるだけでも、相当なショックを受けます。万が一、野生の鳥を保護する際はそういったリスクもあるということを覚えておくことも大切ですね。
また、落ちているヒナを見かけた場合は、安易に拾わないで下さいね。たとえひとりぼっちでいても迷子ではなく、巣立ちの練習中に落ちてしまったというケースが多々あります。このときは、親鳥はヒナを近くで見守っていて、自然の中で生きていく術を指導中なのです。この場合は、人がヒナを保護するという行為はすなわち、親鳥とヒナを引き離してしまう事になってしまいますね。眼の前にいる野生の小さな命が、もしかして消えてしまうのかも知れない!と思ったとき、誰もが助けたいと思うでしょう。しかし、自然には『しくみ』があるのです。人が野生動物に関わる時は、その事を十分に理解していなければなりません。もし、落ちているヒナがじっとして動かない、あるいは怪我をしている、出血をしている、といった場合は、『各都道府県の鳥獣保護担当部署』にご相談ください。また、インターネットで『日本野鳥の会 けがをした鳥』で検索をするか、日本野鳥の会のホームページをご覧ください。以下のURLです。 スタッフ O
野鳥の子そだて応援(ヒナを拾わないで)キャンペーン
http://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/hina-can/