【英語勉強中、英語を教える】「英語一般論」は無視して良い理由。

 

 

おはようございます。英語を教えながら
英語の先生の先生をしています、ミツイです。

 

 

ベレ出版さんのNoteブログにて
私ミツイのブログ記事、公開中です。
良かったらご覧ください。 


第2回目の「多様性」に関する記事はこちら

 
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昨年末、家の大掃除をしていたのですが
特に本の数を減らそうと決意をして
本棚から本を全部引っ張り出し
何をキープし、何とお別れをするのかを決めていました。

そこで見つけた
一般向けの、英語学習関連の記事のコピー。

おそらく、20年ほど前のもので
英語学習系雑誌の特集
として組まれていたものだと思います。
残念なことに
記事を書いた人の名前もなければ
雑誌の名前も分からないのですが
内容がとてもとても…興味深かったので(苦笑)
このことについてもブログ記事にしてみようと思いました。



おそらく20年ほど前のものということで
今とは大分異なった見解のものもあります。

ただ、私は英語教育の専門家ですが
そうでない方は、未だに「間違った見解」を真実だと
信じてしまっているかもしれないので
一応、確認…という感じで読んでいただけると良いなと思います。

そして、このブログを読んでいただくことで
巷で騒がれている「英語一般論」は
時代と共に変わるところが大きいので①無視してしまっていい、
それよりも②本質的な学習を継続するよう注力する方がいい、

ということを、ご理解いただけたら良いなと思います。
 

 

 

こんな感じでとっておいたものです。
今回は左にある1~10のポイントをみていきます。
 

 


1.翻訳の達人でも会話ができるとは限らない

これはその通りですね。
この記事では「聞く」と「読む」では脳の使う場所が違うからだとか
書かれていますが
そうしたうんちく関係なしに、単に
「聞く」ためには「聞く訓練」が必要で
「読む」ためには「読む訓練」が必要
だということです。
あまり難しく考えずに、そこだけおさえておけば
「じゃあ、自分はどんな訓練が必要か」と見定めることができますね。


2.読むことから始まる日本の英語教育

この記事では、母国語の言語習得順と異なる
日本の「読み書きから始める英語学習」を批判しています。

ただ、それって駄目なことではなくて
どこから始めたとしても「じゃあ、これもやろう」とか
「じゃあ、その次はこれをやろう」という感じで
アレンジして学習を継続すれば良いだけのことであって
別に何から始めようと人間は外国語を学べます。

「リスニングから始めないとダメ!」とか
こうしないとダメ、あぁしてはダメ、とかって
断定的に何かを否定しているものこそを
疑うようにしてください。


3.赤ちゃんは、まず聞くことから始める

第1言語習得と第2言語習得、外国語学習は異なります。
ですので、赤ちゃんの言語習得から
外国語学習のヒントを得るのは良いことですが
全く同じにする必要はありません
し、
同じにしたところで、同じ学習効果は望めません。

「聞き流すのではなく、聞き取る」と書いてあるのですが
それは正しいですね。
聞き取る努力をしないと脳に定着なんてしていきません。
雑音で終わってしまいます。


4.いかにして英語を聞く習慣を身に付けるか

確かに大量の英語を聞くことは大事です。

でもそれは、この記事が語っているように
「語彙や文法よりも英語を聞く習慣を身に付ける」

ということではありません。
語彙も文法も同じくらい大事です。
そちらもシッカリ学び、そのうえで「聞く」ことが大事。

強いていえば「聞く」だけでなく「話す」ことも大事ですし
「読む」ことも「書く」ことも大事
なので、細かく言うと
「大量の英語を聞く習慣」ではなく
「大量の英語に触れる習慣」こそが大事
なわけですね。


5.その学習法で英語は本当にマスターできるのか

もそも「言語をマスターする」という表現から
この文章のレベルが垣間見えます。

(言語学の世界では
言語をマスターすることは不可能だと言われています。) 
 
「どの学習法も上達するかは努力次第」
と書かれていて

「英語が聞けるようになるには、まず脳の中に英語の
「辞書」(言語心象)をつくることが、第一ステップです。」

とあり、
「いまだにリスニング力が向上していないのであれば」
それはダメな学習法だ、と書いてあります。

普通に
「どういうこと?努力次第って書いていましたよね?」
となりました。


6.英語を聞くには英語脳が必要

「聞き取る力(リスニング力)を身に付けるというのは、
英語を受け入れる「英語脳」を構築することにほかならない」
「脳の言語習得の手順は、まず聞くことから始まる」
「英語脳を構築し、聞き取ることができさえすれば、
話す、読む、書くは、自動的にできるようになるのです」


「英語脳」の定義は個々の記事を確認すれば良いとして
「英語を受け入れる脳」ってなんだろう?と疑問に思いました。

人間である以上、私達は英語を受け入れることはできます。
Human Languageなわけですから。
 
でも、英語の音を聞いた時に
「それが雑音ではなく、意味を持った言語だ」と認識するには
その言われている単語の意味を知らないといけません。


また、「聞く」ことができたからといって
話すことや読むこと、書くことが自動的にできるようになる、
だなんてことはありません。


そうしたらTOEICのリスニングセクションが満点の人は
別セクションも良い成績を収められることになってしまいますよね。
それぞれ、異なるトレーニングが必要です。


7.英会話スクールで効果を上げるには
相当な時間とコストがかかる


ここには、スクールに行く時間だけで英語ができるようになる
なんてことはないよ
、と書かれています。

これに関しては「その通り!」ですね。

英会話スクールに通う方は
その上手な利用法についてシッカリ考えてみてください。

 

 



8.あこがれの語学留学は学習環境の見極めが大切

ここでは、留学をしても学習環境はそれぞれ異なるから
キチンと見極めましょう
、と書いてあります。

これも正しいと思います。
「留学さえすれば英語が伸びる」というのは幻想ですから。

ただ、言うならばお薦めしたいのは
語学留学ではなく(語学留学=その言語習得が目標)
学位留学(高校卒業、大学や大学院の卒業などが目的)や
交換留学(高校もしくは大学の卒業単位取得が目的)。

「外国語/第二言語を学ぶ」時よりも
「外国語/第二言語で、何かを学ぶ」時のほうが
良い学習効果を生む、というのは
既に沢山の研究で分かっていることですので。


9.通信教育やテレビ・ラジオ講座は本人のやる気と努力次第

ここでは、継続は本人のやる気次第、とありますが
それはそうですね! 

そして「テレビ・ラジオ講座では[…]
英語脳構築の効果はあまり期待できないでしょう」
とありますが
これも正しいと思います。

英語を英語で理解していく力を身に付けるには
短い英文説明だとか、ロールプレイの英文だとかでは不十分で
どちらかというと一定以上の文章を読んだり聴いたりすることが
必要
となると思います。

特に学習初期には「声を出して読む(音読)」ことは
非常にお薦めです。

 

 




10.耳慣らし効果はあるが
一冊で英会話の達人にはなれない


参考書付属のCD程度では英会話の達人になれない、と
書いてあったのですが…
20年前はこんなに甘いことを考えていた人が
多かったのでしょうか?(^^;;

また
CD付き英会話学習書籍は初級者より上級者に向いているとありますが
それは使い方次第だと思います。
CDの音声を真似て音読を繰り返すのであれば
初級者にも絶大な学習効果を及ぼすでしょうし。 

それにしても…20年ほど経った今、
書籍のおまけでついているCDに頼らずとも
ネットで簡単に無数の英語に触れることができる時代。
本当に恵まれていますよね。

有難い限りです。(*^^*) 



という感じで…

20年ほど前の英語学習系雑誌の特集記事を見てみたのですが

正直、内容に関しては「どうかなぁ…」と思うものばかりでした。

20年前は「これ」が通説だったのかもしれませんし
著者の方がどうのこうの、ということではありません。

一般的に騒がれる「こうあるべき!」というのは
話題作りのためだけのものだったり
マーケティング目的のためだけのものだったりするので
あまり、そうしたものに振り回されなくて良いよ、ということです。


学習効果の高い英語教授法だなんて
そんなにころころと変わるものではありません。

なぜかというと
人間の脳は、そんなにころころと変わらないから。



ダイエットも同じですよね。
バナナダイエットが流行ったり
16時間ファスティングが流行ったりしますが
結局痩せるために必要なのは
摂取カロリーを使用カロリーより抑える、ということ。
本当にすべきことである
運動やカロリーコントロールというところは
どんなに時代が変わっても、絶対に変わらないのです。 


なので「最新の英語学習法!」だとか謳っているものは
疑ってかかった方が良くて

大抵の場合、①そう言っている人が
十分な英語教育の知識を持っていないか、
②少しだけ見た目を変えた「既存の教育法」を
マーケティング目的で
パッケージングを変えただけのものにしか過ぎなかったりするのです。
 

 

それらしく書いてあった、この記事でも
20年経った今、見ると
こんなにも「おかしな点」満載なのです。

でも、20年前も
地道に音読練習だとか、シッカリと
基礎的な勉強を継続してきていた人は
今では英語を話せるようになっているでしょう。

 
ですから、巷で騒がれるような「英語一般論」は無視をして
自分がすべき学習にだけ意識を向け
そこに注力するようにしていきましょう。

そうした方がずっとずっと
良い学習をおこなっていけると思います。

 



Happy Learning & Happy Teaching!!!!!
 


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