【英語勉強中】Frozen劇中歌:英語版と日本語版、切ないのはどっち?


おはようございます。英語を教えながら
英語の先生の先生をしています、ミツイです。
 

少し前に大流行した「アナと雪の女王(現題:Frozen)」。

この中に出てくる
Do you wanna build a snowman?
という歌ですが、


 

こちら、日本語版を観て少し驚きました。
英語版の切なさが、ゴッソリ消えてしまっていたからです。


言語の感じ方は千差万別。
英語力も関係してきますが、
国語力や文化力、その言語との経験、
他にもいろんな要素が絡まって
「皆さん独特の感じ方」になります。

参考までに
私が英語版のほうが「切ない」と感じた理由を
ここに挙げておきますね。


切ないポイント1

英語は断定的な話し方が特徴な言語です。
このメルマガにも書きましたが
英語は曖昧さを極力排除する言語なんです。

でもそんな英語で
"Let's make a snowman."ではなく
"Do you wanna make a snowman?"
という、相手を気遣った聞き方をしています。

そこに、アナのエルサへの遠慮が垣間見れます。

(通常の会話でも"Do you wanna~?"と聞くことは
普通にあります。でもこの場合はアナの性格や
そして二人の間に起こったことを考慮すると
この文章からアナの戸惑いがよく感じられるのです。)



切ないポイント2

日本語訳が
「ドアを開けて、一緒に遊ぼう、どうして出てこないの?」
という箇所、原文の英語では
"Come on, let's go and play!
I never see you anymore.
Come out the door. It's like you've gone away."
と、なっています。

これ、誘い文句(下線部)が
"I never see you anymore."と
"It's like you've gone away." という
"You"にフォーカスをした文章と交互に使われています。

主語を省略出来る日本語では
わざわざ"You"とは言いませんが、
やっぱり実際に"You"という単語が出てくると
"You"の対象の存在感がより良く感じられます。

ですので、ここは
誘い文句→"You"を気にかけたフレーズ→
誘い文句→"You"を気にかけたフレーズ
というような歌詞になっています。

英語版では、アナのエルサへの想いが
単に遊びに誘っている以上のものだと分かります。


切ないポイント3

「雪だるま作ろう」と誘った後の言葉として
英語版では以下のようになっています。

Do you wanna build a snowman?
It doesn't have to be a snowman...

「雪だるまを作ろう」と言っているのですが、
アナは雪だるまにこだわっているわけではないんですよね。
雪だるまを作っていた(仲良く遊んでいた)時のように
エルサと遊べれば、アナはそれで良い。

日本語版では
「雪だるま作ろう、大きな雪だるま」とありますので
そこの部分が少し感じにくくなっています。


切ないポイント4

最初の方のセリフで
エルサがGo away, Anna.と言います。

文章自体は強い主張なのですが
エルサの声自体は弱弱しいのです。
そのギャップから、切なさが感じられます。

日本語版では
エルサは「あっちいって!アナ…」と言うのですが
単にイラついているようにしか聞こえません。


切ないポイント5

アナが一人で柱時計を見ているシーン、
日本語版では
「寂しい部屋で柱時計、見てたりするの」
ですが、

英語版では
It gets a little lonely
All these empty rooms
Just watching the hours tick by...
というように、
具体的に"hours"という単語が使われているために
アナがそこで長時間、時間を潰している様子が
もっと想像しやすくなっています。


切ないポイント6

最後の箇所、英語版では
I'm right out here for you
Just let me in
というように
アナがエルサに歩み寄ろうとしています。

アナがエルサの弱さをも認めて
(もちろん魔力?のことは知りませんが)
そのうえで支えあおうとしていることが伺えます。

でも日本語版では
「ねえ、ドアを開けて」
というように
エルサが出てくるように頼んでいるだけ。

果たしてアナはエルサの弱さに気付いているのか?
単に「二人になっちゃったね」と困っているだけなのか?
ちょっと曖昧ですね。



もう少し時間をかけて丁寧にみていけば
切ないポイントはもっとあると思います。

でもパッと聴いただけでもこれだけ出てきました。


洋楽を聞く時、映画を観る時は
こういう言葉の節々に隠れているようなメッセージを
大事にしていくと
もっと深く楽しめるようになります。
 

 

 

 

Happy Learning & Happy Teaching!!