特に、米国国際貿易委員会(ITC)の報告書には驚いた。
昨年10月の合意では、コメ(主食用米)は、アメリカに無税の輸入枠7万トンを設けるというものであった。
ただ、この7万トンに加えて、従来のミニマム・アクセス米(MA米)の中に中粒種6万トンの輸入枠を設けるとされている。
この中粒種の枠は、必ずしも特定の国に対するものではないが、今回のITCの報告書で明らかになったは、この中粒種6万トンの枠のうち8割の4.8万トンは、「文章化していない約束(undocumented commitments」で、「米国に保証する(guaranteed)」とされている。
これは「密約」と言ってもいい内容だ。
![{4574FFA3-83DA-41A2-B0A8-C3FD65BD02B9}](https://stat.ameba.jp/user_images/20160519/23/tamakiyuichiro/d1/31/j/o0480036013650434526.jpg?caw=800)
国内的には、アメリカからのコメの輸入は最大7万トンだと説明しておきながら、実際アメリカに約束した輸入枠は、7万トン+6万トン×80%=11万8,000トンだったということだ。
事実、ITCの文書の中にも、アメリカはコメで「118,000トンの新たな市場アクセスを得られるだろう」と明記されている。
なお、これにオーストラリアに約束した8,400トンの輸入枠を加えると、今回のTPPによる主食用米の新たな輸入枠は、11万8,000トン+8,400トン=12万6,400トン≒13万トンになる。
今回、国内対策として備蓄米100万トンの備蓄期間を5年から3年に短縮することによって、年間の備蓄米の買い上げ最大数量を、計算上20万トンから33万トンに約13万トン増やすことができる。
この増加分13万トンは、新たに増える米・豪からの輸入量13万トンにピッタリ一致する。やはり、アメリカに約束した輸入枠は、7万ではなく11万8千トンなのだ。
安倍総理は、私が交渉過程に関する黒塗りの資料を批判した際、「交渉結果がすべてだから交渉過程は公開しない。協定文を見て議論してくれ。」と言ったが、文章にしていない約束(undocumented commitments)があるなら、協定文だけを見て議論しても本質的な議論はできない。
政府は情報を隠している。
この際、こうした「密約」も含め、すべてを明らかにすべきだ。
![160407TPP特別委員会](https://stat.ameba.jp/user_images/20160414/10/tamakiyuichiro/2e/f2/j/t02200147_0800053313620043605.jpg?caw=800)