キングカズ伝説 | Wandering Football

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サッカーを中心として、興味あることを徒然と書きなぐるブログ

今日のジャンクスポーツにキングカズが出ていたので、思わずキングカズ伝説をいくつか御紹介。


最も有名なのはこれ。


キングカズは神だと思っている。
7年ほど前の正月休みに両親と静岡市のカズ実家(もんじゃ焼き屋)に食べに行った時の話。
両親と3人で鉄板を囲んで食事をしているといきなりキングカズが玄関から入ってきた。もんじゃ焼き屋に似合わないイタリアンないでたちで。
カズが「俺いつもの~」と言って二階へ上がろうとすると、店内にいた高校生集団が「カズさん!」「カズさんかっけー!」などと騒ぎ出し、カズが戻ってきてくれて即席サイン会になった。
店内に13、4人ほど居合わせた客全員に店内にあった色紙を使いサインをしてくれた。
高校生達がカズの母校静岡学園のサッカー部だとわかったカズはいい笑顔で会話を交わしていた。
そしてカズは「またな~」と二階に上がっていき、店内は静かになった。
私と両親はカズの気さくさとかっこよさに興奮しつつ食事を終え、会計を済ませようとレジに向かうと、店員さん(カズ妹)が階段の上を指差しながら
「今日のお客さんの分は出してくれましたから。また来てくださいね」と。
あれには本当にびっくりした。



そのほか、


ブラジルのサッカー選手を夢見る孤児たちを育てる団体に、カズがサッカーボールを送ったことがあった。
それも、200個ものボールを。 子供たちは、とても喜んだ。

しばらくして、やはりJリーグが同団体にボールを寄付することになった。
エージェントが現地へ赴き、少年たちにボールを渡す。
少年たちはやはり喜んだが、渡されたスポルディングのボールを見て
「スポルディングではなくて、メーカーは『カズ』が良かった。」
「『カズ』のボールはとても使いやすかった」
と口々に言う。

Jリーグのエージェントは首をひねった。カズ?そんなメーカーがあっただろうか。
「これだ」と、手渡されたボロボロのボールを見てエージェントは驚いた。
すでにかすれてしまっているものの、ボールにははっきりとサインペンで

「夢をあきらめるな カズ」

と、現地の言葉で記した跡があった。
200個ものボール全てにカズは自筆のメッセージとサインを入れ、
それを子供たちは「カズ」というメーカーのボールであると思い込んでいたのだ。


や、


私がカズに惹かれ、尊敬し、チケットを買い三ツ沢に足を運ぶ理由、それはカズが私にとってスーパースターだからだ。カズをスーパースターと決定的に感じたのは、今から10年以上も前の(私の記憶では)1994年、当時会員であったヴェルディ川崎市民会主催の”ファンの集い”(みたいなイベント@とどろきアリーナ)に参加した時だ。
ヴェルディ選手たちのトークショーなどがあった後、選手のお宝グッズプレゼント大会が催された。
北澤、武田、菊池新吉らがジャージやTシャツなどを提供し、それを欲しがって手を上げたり、叫んだりして目立ったファンを選んでプレゼントするという企画であった。幸運にも選ばれるファンは、会場前方ではしゃぐ小学生の子供ばかりで、必死に手をあげるオヤジの私などは見向きもされない状況であった。

そんな中、最後にカズが登場してきた。
当然、会場のボルテージは最高潮、子供、ギャル、おばさん、おじさんのみんながカズのジャージを欲しがって「欲しいー」と叫んでいた。
その時、会場後方の端にひっそりと1人のチャーミングな女性が居ることに、誰も気づいていなかった。
カズを除いて。
カズは、前方で騒ぐガキには目もくれずに言った、

「そこの後ろにいる素敵な女性にプレゼントします」と。


それまで騒いでいた私を含めファン全員が後ろを振り返ると、そこにチャーミングな女性がご主人(らしい方)に付き添われて居た。彼女は立ってはいなかった、車椅子に座っていた。加えて、遠目からみても、かなりの(重度の)ハンディを背負っている様子が見てとれた。
彼女が会場に来ていることに気づかず、席や前方のスペースを譲ることもしなかった自分がとても恥ずかしかった。
でも、カズだけは彼女をしっかりと見つけ、彼女に自分の試合用ウォームアップジャージをサイン入りでプレゼントし、こう言った「昨日の試合で着てから洗ってないので、クサいです」。
場内は大爆笑。そして、彼女とカズに大拍手。

その瞬間のカズからは、光り輝くオーラが発せられていた。
フットボーラーやアスリートとしてのオーラではなく、人間としてのオーラが。
その時から、カズは私にとってのスーパースターになった。
その後、かの女性に何回か等々力競技場で会って話をした。

「その着ているジャージ、カズのですよね?」と聞くと、
「そうです。もちろん、あれからも洗ってません。今日もヴェルデイを応援しましょう。勝って欲しいですね」。

彼女は、幸せそうな笑顔が素敵な、とてもチャーミングなサポータでした。
カズは彼女と私に、幸せをプレゼントしてくれました。
これからも、ずっとカズを応援して行きます。


や、


Jリーグが始まった年だから、もう何年前になるんだろう。
名古屋の栄の焼き肉屋へ家族で行ったときのこと。
座敷席にカズさんと北沢選手と、数人の女の子がいた。
多分遠征中だったのだろう。

当時高校生の俺の小学校三年の弟はサッカーをやっていた。
せっかくだからと、尻込みする弟をカズさんの前へ連れて行き、「お楽しみのところすいませんが」 弟がサッカーやっているんで、何か言葉をいただけると励みになるんですが。
と厚かましく、言った。
カズさんは、「お、サッカー少年か」と楽しそうに言いながら、座敷席の奥からわざわざ立ってこちらへ来てしゃがみ込み、弟と目線を同じ高さにした。

「サッカー少年は勉強がよくできるか?」と、いきなりキングは弟に聞いた。
弟の成績はそれなりによい。弟はうん、と答えた。
するとキングは
「頭のいいやつは、トップ下MFがあってる」と、カリオカ、ラモスの名前を挙げた。
さらに何かを言おうとするキングに、連れの女の子が、ねえまだーと露骨にいやそうな顔をした。
カズは、振り返って一言言った。
表情は向こう向きだったから、わからなかったが、多分厳しい顔をしていたのだろう。
「うるさい。俺たちは今サッカーの話をしているんだ」

など。


カズにまつわる、いくつもの感動的な話・・・これらは、「伝説」だ。

伝説だから、事実ではないのかもしれない。

でも、カズだから、キングカズだから、本当なのかもしれない、と思わせる魅力がカズにはある。

それゆえに、カズは今までも、これからも、キングと呼ばれ続けていくのだと思う。


カズは、間違いなく、日本サッカー史上に残るキングである。