会社設立・登記は自分でできる けど 大変だったでござる の巻 その1(定款の巻) | Serial Experiments "ONE of THEM,Inc." / 武石幸之助はかく語りき
ブログを1週間も放置しておりました・・・。

最近は、会社の登記後の事務作業をやりつつも、いただいたお仕事を推進するために
毎日夜遅くまでMTGをするなどというハードな生活も続いてたりします。

1分1秒がかなり貴重な価値をもつというのも、ものすごく理解できます。

そんなこんなですが、創業1週間で、一息ついたので、
ここで「会社登記を自分でやるとこうなった」ということで、
振り返ってみたいと思います。

【※注意】結論として、会社登記は自分でもできます。しかし、あくまでこれ は、私が自身で行った登記方法を掲載しているに過ぎず、ここに掲載している例については、公証人役場・法務局で認証を受けることを保証するものではありま せん。会社登記上のフローや書類に関しては、司法書士などの士業の方にご相談することをおすすめします。


なぜ、自分で登記したかと言えば、
本来であれば、司法書士など士業の方にお任せしたほうが早いのですが、
会社ってのは自分の子供のような存在であり、その子供がどうやってこの日本国で
認知され、どのような位置づけで成立しているのかを理解したほうがいい
とのことで、自分で実施してみました。

(もちろん、それ以外の本業についても営業活動はしてましたが、その合間合間をぬって、書類をつくったりをしていました。)

その過程で、書類をつくったりする上で、非常に多くの方々にご協力いただきました。
特に株主であるサイバーエージェントの方々には的確なアドバイスをいただき、本当に助かりました。

ということで、どのぐらい大変かとか含めて参考にしていただきたいとともに、
こんなふうにやれば会社ってできるんだ。俺にもやれるんじゃね?と思ってくれるような
同じ世代~若い世代の戦友の方が増えることを祈ってここに公開します


【その1】 絶対に決めなきゃいけないことを決める

 会社を作る上で、あたりまえに決めなければいけないことを決めねばなりません。
 いわずもがな。

 それを、定款に書く上で「絶対的記載事項」と言われているのですが下記の5点。

 ①商号(ようは会社名) 英字表記も決められます。
 ②本店所在地
 ③目的(事業内容)
 ④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額 (ようは資本金に組み込まれるもの)
 ⑤発起人の氏名・住所

 あとは「相対的記載事項」という、「書かないと法的効力を生じない内容」(たとえば、役員の任期など)や、「任意的記載事項」という、定款以外の部分(発起人会や株主総会の議事録)で決められるものなどがあります。

 さて、なんだかんだいって、この5点を決めるだけでも結構大変だったりします。
 僕の場合、今振り返ると決めて行った順序は

 ①(すでに心のなかできまってた)→②→④・⑤→③

 でした。

 ③がすでにきまってて、それ以外を決める、という
 パターンが普通だと思いますが^^; 

①商号を決めよう

 ある意味、生まれたての子供に命名するようなものですので、慎重に考えたほうがいいです。
 とはいえ、ちょっと、気恥ずかしくもありますけど、会社が成長して、名前がまかりとおれば、
 そんな違和感もなくなりますので、最後はその気概で思い切って命名するのがいいかと。

 ただし、同一住所に同じ会社名があったり、
 有名企業と名前がかぶったりすると、拒絶される可能性があるそうです。

 【記号表記の注意】
 社名には記号が一部つかえます。「・(なかぐろ)」「&(アンパーサンド)」「’(アポストロフィー)」「.(ピリオド)」「,(カンマ)」「-(ハイフン)」の6つはつかえますが、それ以外は使えません。
 ワンオブゼムでは英名表記に「()かっこ」を使おうと思ったのですが、どうやらそれはNGなようでした。


②本店所在地はどこ

 定款の中では、都道府県市区町村までは最小行政区画として記載する必要があります。
 ただし、細かい住所については、先の「発起人会議事録」などで別の文書で定められますので、
 詳細に書く必要はありません。

 むしろ、細かく書きすぎると、本社移転をしたときに、定款を再度記載しなおす必要があり、
 お金がかかっちゃうので、注意が必要です。


③目的を決める


 定款の中に定める「目的」ようは「事業内容」です。
 いろいろな事業を思い描いている方もいらっしゃるかと思いますが、
 あまりにたくさん書きすぎると「じゃ、本業はどれ?」と銀行の方とかにつっこまれてしまうかもしれません。
 「何をやる会社か」「何をやる会社にしたいか」でシンプルに項番ふって箇条書きで記載するのがいいと思います。

 ただし、資格や行政からの認可が必要な事業については、
 明確に記載が必要になりますので、注意が必要です。
 (人材派遣業とか古物取引とかが結構落とし穴。知らず知らずに書いちゃう人いるみたいです。)



④資本金はおいくら?+軽くシミュレーションしてみよう

 1円からでも株式会社は設立可能とはなりました。
 それ以外についても、現物出資といって、パソコンなど差し入れて資本に組み入れることもできるのですが、その現物の価値を客観的に算定してもらうなどのプロセスが必要だったりして面倒かと思います。
 また、その後登記に必要な書類を作成することも考えると、現金が一番強いというのが改めて理解できます。

 資本金はRPGでいうHP(ヒットポイント)みたいなもの。会社にとっては命の火種です。
 回復魔法はほとんど使えないです。

 会社の回復魔法は
  ・創業支援系の金融機関からの借入(国庫・斡旋):デットファイナンス
  ・売上確定後の入金

 の2種類ぐらいしかスタートアップにはなく、銀行などからのプロパー融資などはまず無理。エクイティファイナンスなんて夢のまた夢です。

 内部で破綻しても、自分のお金でまかなえるけど、
 社外を巻き込む大きな取引であれば、不渡りだしてそのまま死の街道に。

 なので、事業計画がみえたら、PLを作り、その流れでCFまでエクセルでひいてみましょう。
 PLやBSがわかれば、CF表もつくれるので、それまでわかれば
 「いつ死にそうになるか」のターンがわかります。

 なお、早いうちにある程度つくっておくと、
 投資家との会話や、金融機関での会話ですごく役立ちます。

 個人的には、上記の考え方でいくと、やはり1円株式会社は無理があるかと思いました^^;
 資本金の額によって、取引上の与信にも大きく関わってくるため、
 それも考えると、できるだけ資本金を大きく(だいたい300万円はほしいかも)
 とっておくのがいいかと思います。


⑤発起人について

 発起人というのは、簡単にいえば出資者のことです。
 全体の資本金のなかで、それぞれの出資者がどれぐらいの割合をだしており、
 どれぐらいの株をもつのかについては、ここで記載されることになります。

 
【その2】 定款をつくる

上記の①~⑤をまとめて、定款を作ります。
今の時代、ネットで大量に定款のひな形がおちており、会社の形態によって
いろんなパターンが垣間見えますので、いろいろと目を通しておくといいかと思います。

ちなみに、google大先生では 「定款 ひな形 filetype:doc 」で大量に収集できます。

会社によっては、取締役会をおかなかったり、
監査役や会計参与をおかないという方針であったりしますので、
その方針にあわせて、定款をつくったほうがいいですね。

さて、定款を作る上で、「自分でやる」と言った場合、かなり高い確率で陥る
落とし穴があります。そこは私自身がハマってしまいました。そちらは後述。


【その3】 会社の印鑑をつくっておく

会社の登記に必要なものの1つとして「印鑑」があります。
特に重要なのが「代表印」「銀行印」「角印」の3つ。
これは「会社登記における印鑑3点セット」とも言われるもので、
会社の意思表示の象徴でもある印鑑の重要なはじまりでもあります。

私は今回、楽天で「印鑑 登記 セット」で検索して、
一番よさそうな会社さんを選ばせていただきました。

フォントの好き嫌いあるとおもうので、いろいろ見比べてコストパフォーマンスもバランスで選んでみてください。
会社によってフォントや掘り込みの方法など違うみたいです。
また、動物愛護等の個々人の思想もあるかと思うので、素材選びはご自身の判断で!

会社登記の日までには必要になりますので、
用意はお早めに!


【その4】 いざ定款を公証役場で認証!その前に・・・

さて、定款は「公的に認められる」必要がありますため、
法務局にいかずに、まずは「公証役場 」という場所で、認証をうけます。

その前に、必要なことが3つあります。

(1)定款を印刷し、3部製本しましょう

公証役場で認証を受けるには、3部の同一の製本した定款が必要です。
しかも、その定款には、至る所に発起人の捺印が必要です。

製本と契印の押し方については、こちらのページを参考にしました

定款の内容を確認してもらい、問題なければ3部それぞれ
定款最終ページの発起人のところに、各発起人の印鑑と、
そして捨印(修正したことを示す予備印)を押してもらいましょう。


(2)発起人が複数いる場合は、委任状をもらいましょう

発起人が複数いる場合は、
「発起人による委任状」を作成し、印鑑を押してもらう必要があります。

なぜかというと、定款の認証には、発起人全員が出席する必要があるのです。

また、発起人が法人である場合は、その発起人の印鑑証明や
登記簿謄本が必要となりますので、事前に手配してもらう必要があります。

(3)自分の印鑑証明もとっておこう

登記完了にむけては、「公証役場」「法務局」の2箇所で印鑑証明を提出する
必要があります。これも事前に手配して入手しましょう。


【その5】 こんどこそ、定款を公証役場で認証!が、そこで落とし穴


公証役場は、会社を登記する行政区画である必要はありません。
私自身も、会社は目黒区にありますが、渋谷区の公証役場で
認証をうけています。

私自身は1発で定款認証が済むとおもってタカをくくっていたのですが・・・
猛烈な応酬をくらってしまいました。。。

自分で登記した場合、陥る落とし穴とは・・・


(1)文字は一字一句みられ、他の文書と少しでも差異があるとNG

たとえば、印鑑証明に登録されている住所と一字一句異なってはいけないのです。
何気なく日常で記載している住所は、あくまで略称であり、通称であります。

しかし、住民票や印鑑証明書に記載されている住所とまったく同様の表記をしないと、
定款や法務局では一切認証していただけません。

たとえば、

 東京都●●区◎◎5-2-12-201号室 と普段は略称で住所を表記していても、

印鑑証明では

 東京都●●区◎◎五丁目2番12-201号 ほげほげマンション と記載されていたりします。

定款の認証では
・五丁目 を 5丁目 と記載しているとNGです。
・2番 を 2番地 と記載してもNGです。

それぐらい細かい正式対応表記が求められますので、かなり神経質になる必要があります。



(2)適切な法律用語と使わないとNG

特に定款の条項の表題については、適切な法律用語で規定されているので、間違うとNGだされてしまいます。
たとえば、私の場合「価額」という表記を「価格」と表記してしまい、NGがでてしまいました。



(3)条文の番号はずれないように

いろんなひな形を参考にして定款をつくると、条文の番号が誤ってずれることがあります。
私のおっちょこちょいだったのですが、第6条から急に第11条に飛ぶなどやってしまい、
NGがでてしまいました。



結論として、定款の認証は1発OKはでないと思っていったほうがいいと思いました。
ただ、非常に細かく見ていただけるのと、細かくアドバイスしていただけますので、
私の場合、かなり大量の付箋で修正ポイントを指示していただけました。

あと、役場のお姉さんによって、結構対応が違います(汗)

強烈に厳しい人もいれば、強烈に親身になってくれる人もいて、
とてもハラハラしました(笑)

でも、昨今反社会勢力の会社への警戒を強めてるとのことで、
かなり定款の認証も結構シビアにやってるそうです。

ということで、「今日は無理そうだね」と言われてしまい、
大至急家にもどり、定款を再作成し、発起人に再度捺印いただくという
ドタバタ劇となってしまいました。。。


【その6】 再び書類再作成し、公証役場リベンジ。

そんなわけで、猛烈なスピードで定款を再作成し、印鑑ももらい、
再度公証役場へと向かいました。

・・・とおもったら、前日アドバイスいただいた公証人の先生が午前休とか・・・汗

別の方に認証いただくことになりました。

しかし、ここでも痛恨の誤字・・・ さきの法律用語の記載を間違えてしまいました・・・


しかし、捨印で修正が可能ということで、
文字削除、文字追加の処理をしていただき、訂正が完了。

無事、認証となりました。

しかし、ここでいよいよ「会社登記は金がかかる」ということを身を持ってしることとなります。

・郵便局で 収入印紙 4万円の購入が必要
・公証役場で 定款認証手数料 5万円を支払う
・謄本手数料2000円を支払う。

ようは、92,000円が最低でも必要ということなのです。
全て領収書をとることができるので、それは会社登記後
「会社登記費用」という形で、のちのち経費の精算ができますので、
設立費用関連の領収書はできるだけ残しておいたほうがいいかもしれません。


そして、無事定款が認証されたわけですが、
その後「会社登記」に向けても、一苦労ありました。


次回、会社登記編に続く!!!

ペタしてね


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