「日本の政府のやり方はナチスのまねばかり」半藤一利さん | 千葉市議会議員 かばさわ洋平  GET BACK TO DEMOCRACY 

「日本の政府のやり方はナチスのまねばかり」半藤一利さん

 

日本の政府のやり方はナチスのまねばかり!

 

ベストセラー『昭和史』で知られる昭和史研究の重鎮で作家の半藤一利さんが、安保法制を強行した安倍政権の手法はナチスのまねだと厳しく批判しています。内政がうまくいかないときは外国に対する危機感や恐怖感をあおり、愛国心をあおり国民の意識を外にそらすという権力者が使う古典的な手法についても言及されています。自身の戦争経験も赤裸々に語られており、改めて失敗の歴史を学ばなければならなと強く思います。

 

 

 

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赤旗日曜版 5/1・8号

 

 

 

秘密保護法が出来たあたりから、これは危ない時代に入りつつあると感じていました。ただ、戦前と違い、まだいくつかのメディアはがんばっています。戦後、言論の自由を大事にしてきたことで、日本は戦前と根本的に違う国家になりました。憲法の一番大事なところは、9条の平和主義と言論の自由、そして基本的人権の尊重だと思います。この三つはこれからも大事にしていかなければ。

 

一内閣の勝手な判断でこれまでの憲法解釈を変え、安保法制=戦争法を強行した安倍政権の手法は、あれはヒトラーのまねですよ。日本の政府のやり方はナチスのまねばかり。例えばナチスは国会議事堂放火事件の後、政府が立法権を行使できる授権法を成立させ、民主的なワイマール憲法を骨抜きにして独裁体制を固めました。麻生大臣の『ナチスの手口を学ぶ』という発言は冗談ではなく本音で、本当に政権内部で話し合っていたのだろうと思います。

 

私は3月10日の東京大空襲で火と煙に追われ、川に落ちて死ぬ思いをしました。何とか助かりましたが、たくさんの人が死んでいくのを見ました。お母さんと子どもの死体などがごろごろしていた。それを見ても、何の感情もわかなかったんです。後で思うと不思議でしょうがない。疎開先の新潟県長岡市でも、空襲による死体をたくさん見ました。でも何とも思わなかった。終戦を伝える8月15日の天皇の放送を聞いた時も、助かったとは思ったけど、たくさんの犠牲者のことは考えませんでした。

 

私は戦争で、実に非人間的な男になっていました。戦争は人間を殺すことでしかない。戦争は、人間をとことん非人間的にする愚劣なものです。そのことを、戦後しばらくたってから、やっと痛感しました。こうした体験は、ちゃんと残しておかなければ。それが昭和史に食いつくようになった始りです。空襲で逃げる時、川のなかで人を蹴飛ばしたり、はねのけたりしました。歴史の本を書きながら、自分自身の戦争体験は戦後何十年も書いたり、話したりしませんでした。こういうことは、好んで話したいようなことではないですよ。でもやがて、歴史を書いているものとして、自分はどういう体験をしたのかを、東京の下町の戦争を知る者として伝えなければ、と思うようになりました。

 

昭和前期の歴史のような、失敗の歴史のなかにこそ、教訓がたくさんあります。これをよく学んでほしいですね。内政がうまくいかない時は、外国に対する危機感や恐怖感をあおる。国民の意識を外にそらす。これは権力者がよくやる古典的な手であり、これがなかなか有効なんです。

 

今度の選挙で共産党さんが本当に共闘してくれるのなら、ありがとうございますと、お礼を申し上げたい。よくぞ踏み切ってくれたと思います。第2次大戦前のドイツでは、小党分立でバラバラでナチスの台頭を許していまいましたから。参院選で野党が共闘して、戦争に向かいかねないこの流れを止めてほしい。いまの日本にはまるで昭和13、14年ごろのような不気味さも感じます。同時に、戦前と違い現在は、戦後70年間で築いてきた民主主義の理念がまだ大きく根付いています。若い人たちの間にも、シールズのように自分の頭で考え自発的に行動を起こす動きが出ている。私はとても期待しています。