山田洋次監督「市民の政治意識の衰えは日本を昔の姿に戻そうとする権力者たちには都合がいい」 | 千葉市議会議員 かばさわ洋平  GET BACK TO DEMOCRACY 

山田洋次監督「市民の政治意識の衰えは日本を昔の姿に戻そうとする権力者たちには都合がいい」



市民の政治意識の衰えは日本を昔の姿に戻そうとする権力者たちには都合がいい。

あの戦争の時代を生きた山田洋次監督が赤旗に登場して、戦争は他民族に対する憎しみや差別視というおぞましい国民感情をおおり立てることから始まることを語り、今の中国や朝鮮の差別視するようなやり方に関しても警鐘をならし、平和のために何をすべきかを語ってます。



思い悩む暑い夏に
映画監督  山田洋次さん(赤旗8/24)

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テレビで集団的自衛権や秘密保護法などのニュースをみてると、気持ちが暗くなってしまうので切ってしまったりして。その後、まてよこういう市民の政治意識の衰えはこの国を昔の姿に引き戻そうとしてる権力者たちには都合がいいのだろうな、などと思い悩む夏です。

僕は旧満州で戦前の軍国主義の教育をシャワーのように浴びながら育った世代です。あの頃の日本人は中国、朝鮮の人たちに恐ろしいような差別意識を持っていた、中国の兵隊が殺されるのは当たり前だし朝鮮の娘さんが慰安婦になっていることは小学生のぼくまでが知っていて、それは当たり前のことのように考えていた。あの恥ずべき差別意識は、資料では残されていなし、残しようもないけど、それがあの戦争の根底にあったことを、戦争は他民族に対する憎しみや差別視というおぞましい国民感情をおおり立てることから始まることを、ナチスのユダヤ人排斥の例を引くまでもなくぼくの世代は身にしみて知っているのです。

差別され迫害された側の記憶はいつまでも消えないということを、戦後生まれの日本の政治家はよく考えなければいけない。そして、なぜ戦争したのか、どうしたら平和を守れるのかをアジアの歴史学者が集まって研究する、その為の費用を日本政府が出す、戦闘機を一機買う費用で簡単にできることです。そういう努力をしないとぼくたちの国がアジアの国々と仲良く付き合っていくのはますます難しくなると思う。

69年前の戦争で3百数十万人が死んだ。一口に3百万人というけれど、それがどれほど膨大な人数なのか、その一人ひとりにどんな人生があり、どのような酷い死に方だったのか、家族の人たちはいかに悲しみ嘆いただろうかを考える、資料を調べ、想像する、イメージを懸命に浮かべる、そういう喪の仕事というべき作業を日本人は繰り返し繰り返しするべきです。それが平和を守り抜く力になる。そのイメージを持たずに「国の為に尊い犠牲」などという言葉で簡単にくくってしまうくらい死者に失礼なことはないと思います。