主人公 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


現在は物語の主役という意味で使っていますが、

もともとは「禅」の中で使われている言葉で意味も違います。

本来は「自我を主張しないで没頭する」という意味なのです。


例えば蛇という生き物は岩場であろうと木の枝であろうと、

自然界の形に自分を合わせながら進んで行きます。

つまりどんな役にも成りきれることこそが、

主体的な人格であると「禅」では考えられているのです。


俳優の仕事こそまさにこれです。

俳優が自我を主張したのでは、

「役」に成りきることは出来ません。「小我を捨てる」

そして「大きなものに自分を溶け込ませていく」


誰かを羨んだり恨んだりしているときの、

心の状態はとても不自由です。

究極の受け身こそが心を自由にしてくれる。


演技だけでなく人生にも共通した極意のように感じます。



▶︎近景