カップル | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


唐子浜海水浴場での出来事で、

そういえばこんなことがありました。

夜、海の家でみんな集まって食事していたときのことです。

突然、雨戸を激しく叩く音。

ただ事ではない叩き方に、叔父が立っていって雨戸を開けると、

そこには衣服の乱れた若い女の人が、

「助けてください!」

と泣きながら入って来ました。


なんか映画のワンシーンみたいだと思ってドキドキしていると、

そばにいた叔母が「子供が見るもんじゃないよ」

と僕を遠ざけました。

と、そこへ若い男の人が現れて、

「すいません、なんでもないんです」

「なんでもないことないわ」

「いいから、ほら行こう」

「いやっ!」

子供の僕には何があったのか皆目見当がつきませんでしたが、

なんだか、緊迫した空気だけは痛いくらいに感じていました。


中学生くらいになって、

あのときのお兄さんとお姉さんが何をしていたのか、

ハッキリ理解出来るようになりました。

最近になってあの時のことを思い出すと、

当時の若者は純情だったんだなあと、

あらためて思ったりします。



▶︎近景