留守晴夫『常に諸子の先頭に在り』 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

留守晴夫『常に諸子の先頭に在り』

合理精神なき太平洋戦争を展開した日本軍にあって、数少ない合理的な戦いを実践した栗林忠道中将。
栗林中将の戦いや発言、行動について分析するとともに、日本(人)にありがちな、希望的観測から行動する、現状を正面から見ない・見て見ぬふりをする、事実の分析を十分に踏まえた作戦の構築を怠る、すぐに諦める、等々の非合理的な判断、行動の事例をえぐり出す、ある種の日本人論。
正直、言われると辛い内容が多いけれど、確かに的を射ていると感じる点が多い。
もちろん、外国人がそうではないかどうかは私は知らないけれど、本書から我々が得るものは大きい。

今、財政破綻に向かって突き進んでいるのに、現状をまともに踏まえた政策が採用されない状況、一昔前の合理的とは言い難いバブル崩壊期の企業の数多くの誤った戦略的判断など、いちいち胸に突き刺さる。
少なくとも、私には本当にためになった。

(ちなみに、和光市が現在検討している料金の値上げについては、必要以上の赤字垂れ流しの現実を正面から見据えた判断として、何卒ご理解賜りたいと思っています。)

ただ、肝心の栗林忠道について詳細に描けているかというと、物足りなかったのではあるけれど。
それと、旧字体を採用しているため「讀みにくい」。



ちなみに、本書のタイトルは「日本は戦に敗れたりと言えども、いつの日か国民が、諸君らの勲功を讃え、諸君らの霊に涙し黙祷を奉げる日が必ずや来るであろう。安んじて国に殉ずるべし。予は常に諸子の先頭に在り。」という栗林中将の言葉から来ています。
現代の楠公と言っても過言ではない栗林中将を心から尊敬しています。

*私はアメリカ映画「硫黄島からの手紙」で栗林中将を知りました。本来、もっと昔に知っておくべきでした。この点、日本人として恥ずかしいです。



↓amazonのリンクです。

常に諸子の先頭に在り―陸軍中將栗林忠道と硫黄島戰