市民に情報を出さない自治体は破綻する | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

市民に情報を出さない自治体は破綻する

以前も何回か話題にしましたが、私が本を書く際に、夕張市に取材を申し込み、拒否されました。(ある人には夕張市から、「この松本という市議は何者で何の目的で取材に来るのか」という問い合わせが行ったようです。)

その時、それでは情報公開コーナーなどで調べ物をして情報を得ようかと思い、問い合わせをしたのですが、市当局は「そんなものはない」という回答。

また、夕張市の市議会の議事録はネットに公開されておらず(普通、市なら市議会の議事録はネットで公開しているし、情報公開コーナーの充実に努めているはず。やっていない自治体は意識の低いダメ自治体と考えてよいし、改善すべき)、その他の情報もきわめて貧相でした

私はやむなく、マスコミ情報と乏しい夕張市のウェブサイトから引っ張った情報から概要のみ説明しました。

現在、夕張市の財政再建に関して、厳しいサービスカットと料金値上げが話題になっています。

また、夕張市民の涙ながらの訴えには胸が詰まるものがあります。

一方で、なぜそうなってしまったか、市民は本当に何もできなかったのか、というところについてはマスコミはまったく話題にしません。

そこで、和光市民など、夕張市の人以外にも役立つ話であることから、少し私見を述べてみたいと思います。


市民は(法令の範囲内で)どこに住もうと自由であり、また、どのような人に行政の意思決定をさせるか、を投票によって表明する権利があります。

しかし、自治体の情報が十分にないと、住む場所が選べません。また、引越し先の自治体の情報が十分にないと安心して引っ越せません。

情報の十分な提供は、市民の住むところを選ぶ大切な権利を保証するものです。

ところが、それを積極的に行わない自治体がたくさんあります。

私の住む和光市も、私が口うるさく言うことでかなり情報を積極的に出すようになりましたが、そもそも情報の提供を積極的に行うことの大切さについては、意識されていませんでした。

夕張市はその典型でした。

逆に、夕張市の資金繰りや財務情報をしっかり示していればこのような粉飾による財政の破綻と自治体の突然死は防げました。

市民は何が出来たでしょう。

夕張市民は突然の出来事に呆然としています。

しかし、出来ることがあったのです

それは、情報公開をする首長を選び、あるいはそれをやらせる議員を選ぶことだったのです。

主体的に自治体を監視し、必要に応じて介入する市民とその代表としての政治家がいれば、もっと早く、抜本的な改革が出来、あのような有無をも言わせぬコストカットは避けられました。

つまり、地元の自治体の財政などの健全性を担保するためには、積極的に情報を出す市役所をつくる必要があり、それを可能にする政治家を選ぶ必要があったのです。

こんな当たり前のことが、それでは全国で出来ているかというと、残念ながら違います。

今後、ここを読んでいただいている皆さんは是非、この点をしっかりと意識して政治家の選択を行っていただきたいと思います。

「そんな人候補者にいないよ~」という方がおられると思います。

一番ましな候補者にこの大切さを語りかけて説得してください。

それが出来なければ、あなたの街が夕張になります。

自治体が破綻すると、行政サービスの選択権は地元から奪われます。まさに、地方自治の死です。まず、破綻の前にら引き返せる仕組みを作ること、その第一歩は情報提供の徹底が出来る政治家選びなのです。

一方で、行政は基本的に情報を出すことを嫌います。なぜなら、権力は情報の大きさに左右されることを役人は熟知しているからです。そんな役人の性向と意識的に対決出来る政治家を選んでください。


「自宅に挨拶に来た」

「一緒にコーラスをやったことがある」

「酒を飲んだことがある」

「友人」

「商工会議所の仲間」

「いい人」

「イケメン」

「共同購入の仲間」

「美女」

「女性(あるいは男性)の代表」

「若いから」

「耳ざわりのいい公約をたくさん並べている」

などの理由だけで人を選ぶと後で痛い目にあいます。

政治家とは、税金の使い道の方向性と大元を決め、事後もチェックする大切な人間なのです。

大前提として、役所に情報公開させる人を選んでください!