相手によって求める情報が違う~情報ニーズに即した開示が必要だとあらためて感じさせられた出来事 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

相手によって求める情報が違う~情報ニーズに即した開示が必要だとあらためて感じさせられた出来事

某マスコミに吉田寛教授が公会計のレクチャー&意見交換に行くということで私もかばん持ちをかねて同伴していきました。

ある記者との会話の中であらためて印象に残ったのが、

「自治体のバランスシートとかそういう財務情報の議論の中で、橋とか道路とかの評価について、緻密にやっていこうという話があるけど、アレは資本市場の観点からはあまり意味がないと思うんです。特に債券市場の関係者が自治体に求めたいと思っているのは、公債の返還の担保となる財源の金額なんですよ」

「結局、売却可能資産の金額と将来の収入見込みが肝心ですから」

などという会話。

そうなんです。

地方債という形で金を出す方としては当然、このようなことを考えるのは当然でしょう。これはIR(投資家への情報提供の総称。IRのための財務情報等のリリースをおこなう)で対応するのか、あるいは財務情報として提供することになるのかというと、多分、今の議論を見ているとIRの充実かな、と思います。(和光市が単独でいわゆる一般の公募債を発行することはありえませんが。)

一方で、住民にとっては売却可能資産とか将来の収入見込みはさほど意味を持たないと思います。

いくら金を使って社会資本をどれだけ作ったか、また、それは役立つものなのか、また、提供したサービスの金額のみならず、その内容と品質はどうだったのか・・・・。

現在の予算、決算、主要な成果報告書という体系、あるいはバランスシート、行政コスト計算書を軸とした体系、双方が不十分です。

新しい方式での成果報告書が各所から提案されていますが、総務省は今のところこれらには関心を持ちません。

本当に住民が求める成果報告書として、地方でケースが蓄積され、総務省がそれに「気付く」のを待つしかないのかもしれません。優れたものなら普及するはずですから。

とりあえず、そういうことを期待する中で、相手によって求める情報が違うということ、そして、報告とはニーズによって進化していくことを忘れてはならないと思います。

総務省には情報に関する基本的な考え方を理解してもらいたいものです。