視察報告~長野県黒姫高原(C.W.ニコルのアファンの森と林野庁の国有林を徹底比較) | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

視察報告~長野県黒姫高原(C.W.ニコルのアファンの森と林野庁の国有林を徹底比較)

最初に申し上げますが、徹底比較というのは大げさです。ざっと比較してみました。

 

①無意味な砂防ダムへ

 

まず、初日はとある沢の砂防ダムへ。記録には一度も荒れたことのない、おとなしい沢に昨年、無理やり砂防ダムが作られました。ある地元議員が「地元の建設業者のために」と反対派に頭を下げたそうです。

 

その結果、沢は分断され魚は遡上が難しくなりました(学者の作った魚道はトンネルあり、急カーブあり、とある意味で大傑作です。)。とにかく、意味のないダムが6億で作られたあとは、魚も減り、川が手ひどいダメージを受けた状態になっています。

 

 

また、反対派に配慮して、3面張りの上に石を並べたフェイクの自然風の川が作られているのですが、どう見ても「ありえない」川でした。

 

 

②アファンの森へ

 

そもそものアファンの森の用地はC.W.ニコル氏が別荘地にしようと考えて買った黒姫高原のある森の一角。いろいろな経緯があって、とにかくニコル氏は荒れ果てた森を守る財団法人を作って、荒れ果てた森を100年後を見越して育てているのです。地元の森の達人、松木さんとともに。

その隣は国有林。

杉の植林が伸び放題。

境に農業用水路があるのですが、アファンの森は鳥がさえずる森。国有林は静かというか、静まり返っています。

とても同じ「森」という言葉では語りたくない差がありました。

役所の仕事と民間の仕事を比較するというのは、事前に結果の見えている試合のようなものですね。

 

また、ここの用水路は面白かったです。昭和になってから整備した区間はいわゆる3面張り。コンクリートで固めてあります。明治の頃の水路は土でできています。

 

機能は同じなんですが、明治の水路は小動物でも渡れるし、魚が住んでいます。昭和の3面張りは小動物の死の罠。落ちると自力では這い上がれないそうです。

今回の視察のおまけは、ニコルさん、松木さんとの夕食という、極上の時間。

私は医者から禁酒と言われているので、水をがぶがぶ飲んでいました。

高校生のときから読んでいた、ニコルさんの冒険を本人から聞くという不思議な感覚(内容は全部知っているんですが。何しろほぼ全部読んでいますから)。そして、松木さんの森の体験談。

酒を酌み交わしていた他の皆さんが本当に羨ましかったです。

最後に一言、ニコルさんが、「飲みすぎなんじゃない?」。

 

2020年4月3日、ニコルさんが逝去されました。本当にさみしくなります。