厨房設計-2/メニュープ計画と厨房区画、客席ゾーニングの関係
設計デザイナーにとっては、フードサービスのメニューにどのような料理内容が提供されるか云々については、さして興味がない事柄であり、ただ単に情報として内装デザインの要素をイメージ化するための題材でしかない。
しかし本来であれば、フードサービスを設計するデザイナーとしての役割は、その概略内容や情報では不十分であり、もっとデザインに関わるアドバイザーとしての意見とし計画に参加すべきであろう。もちろんそのためには、現実の業務としてフードサービスのメニュープランニングがどのように進められるかなど、その具体的な進行内容や全体のコンセプトとの関わりを理解把握しておくことが大切になるだろう。
一般的にフードサービスのメニュープランニングの基本は、まずフードサービスの業種・業態(業種=どんな料理を提供する店、業態=どのようにその料理を提供するのか)を具体化してから、メニューの具体的な計画に臨んでいくという段階を踏むことが常であることだ。業態によっては、その店のメニューの主軸になる料理工程や調理をその店のデモストレーションとして位置づける(特にオープンキッチンの演出に多い)場合もあり、そのメニューの具体的な料理内容や調理工程を知ることは大変重要な意味を持つことになる。
また業種・業態によっては、店の大きさや客席数によってもメニュー数を絞ったり、どのぐらいのメニューにするのかなどデザイナーのゾーニング計画業務に関わる部分は殊の外少なくないことだ。
特にメニュープランニングは、業態によっても料理数、調理方法は大きく変
わってくるものであり、料理の数が増えれば、おのずとキッチンスペースが広くなる可能性もあることを理解しておくべきだ。
しかし基本的には、メニュー数と客席数、キッチンの大きさはそれぞれの業態の機能や効率性など経営と関わる部分も多く、相互にバランスがとれていなければ、うまく店の運営ができないことも重要な要素のひとつであろう。
もちろん客席数が多くキッチンスペースが小さく、メニュー数が多い店は、繁忙時には料理をスムーズに提供できないという問題になることが多く、店が完成し店が開店して後々、店を改修し直すなどというチグハグな店も一般的に多くあることだ。
つまり設計デザインナーとしての役割には、メニュープランニング業務と密接に関係する部分も多く、そのメニュー内容や数などどのように進められていくのか、全体の内装デザインをイメージ化する上でも、最終決定されるまでにその内容を設計デザイナーとして理解しておくことが重要になろう。
内装デザインとはその店で提供される料理をより美味しくするための「隠し味」であることを認識し、設計デザイナーとしての役割を担ってほしいものだ。